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「より高い頂を目指し、
全霊を傾ける」
フレッド・ノウ
真夏の1日の平均気温が31度以上にもなり、冬は反対に0度以下を記録するケンタッキー。この寒暖の差が激しい地でのオーク樽貯蔵熟成管理は難しいものがある。とくに夏は原酒の樽材を通しての呼吸も活発で熟成も早く進むため、長期にわたる香味品質維持は困難を極める。
貯蔵の環境条件から見ると、バーボンのバレルという約180リットルの小さな樽での熟成はとても理にかなっている。オーク材のパワーがみなぎっている新樽のみを使い、それをメーカーの多くが樽の内面をアリゲーターといわれるワニ皮を連想させるほどに焼く。バーボン樽内面は実は焦がすというよりもカリカリに焼くのである。これによってオーク材成分の原酒への溶出も早くなり、独特のバニラ様の甘さを強く感じさせる。
これによってジャパニーズやスコッチのように10年以上の歳月をかけて貯蔵しなくても、バーボンは小さな樽を使い短い年数で熟成のピークを迎えることになる。
こうした条件下で長期熟成のクラフトバーボンを誕生させるために、フレッド・ノウはホワイトオーク樽の品質にはじまり、チャーといわれる樽の内面焼きはもちろん、貯蔵熟成中の樽の状況を厳しく見守り、さらには常に原酒熟成の進捗や品質維持のためのチェックを厳しくおこなっている。
バーボンウイスキーとは
トウモロコシを主原料とするウイスキーをバーボンと呼んだのは当初バーボン郡(ケンタッキー州)でつくられたからのようだ。郡名は、アメリカ独立に貢献したフランス・ブルボン王朝に敬意を表したものである。
バーボンの穀類原料はトウモロコシ、ライ麦もしくは小麦、そして大麦麦芽である。アメリカンウイスキーは連邦アルコール法により、ウイスキーのタイプごとに製造上の規定があるが、ストレートバーボンウイスキーは次の通り規定されている。
ビーム家は製法を明かすことがない。フレッド・ノウは「製法は門外不出」と言う。
わかっているのは厳選した最高品質のコーン、清冽な天然水、そして創業時から200年以上にもわたり自家培養してきた酵母を使うことだけだ。
貯蔵熟成に関していえば最上質のアメリカン・ホワイトオーク材を製樽し、数回に分けてじっくりとおこなう内面焼き(チャー)まで熟練の職人の手作業がつづく。
樽内面は最高レベルまで強く焦がす。これがバーボンを深い色合いに変え、特有の温かみのある香味へと変貌させる。
貯蔵年数はスタンダードな「ジムビーム」でさえ法定の2年を超え、最低でも4年超の熟成期間を取り、香味が基準を満たしていない場合は熟成のピークを迎えるまで見守りつづけている。
クラフトバーボンにおいては貯蔵庫内での熟成樽の位置まで厳密に考えられている。
フレッドは「ウイスキーづくりに妥協はゆるされない。とくにクラフトバーボンと呼ばれ長期熟成のプレミアムな製品には、自分の感性を信じつつもより高いレベルの品質を生むようにと全霊を傾注している」と語る。
ビーム家の200年を超えるクラフトマンシップが、不朽の名作を生みだしつづける。
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