〇一、
鳥は言った。
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氷河は、
遠い国の
話ではない。
「氷河」と聞いて思い浮かべるのは、北極や南極、グリーンランドといった、遠く離れた極寒の地ではないだろうか。
実は、ここ日本にも氷河がある。
そして日本に現存する氷河は全部で7つ。
その7つすべてが、北アルプスにある。
そもそも氷河には、南極大陸にあるような大陸氷河のほかに、高地にできる山岳氷河がある。
北アルプスにあるのも、その山岳氷河のひとつ。
しかしこのような緯度も標高もそこまで高くない場所にある氷河は、世界的にも珍しく、この北アルプスの氷河は、極東地域の最南端。
そんな、ここだけにしかない氷河のある山が、ここだけにしかない水を生み出しているのかもしれない。
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2万年を
発見したのは、
たった10数年前。
氷河ができあがったのは数万年以上も前とも言われているが、発見されたのは2012年のこと。
そのかげには半世紀以上、この地の氷河を信じていた男たちがいた。
雪渓の構造を調べ、氷河特有の“ムーラン”という穴が開いていることを発見。
時を経て、軽量化したレーダーやGPSが使えるようになって、氷河の絶対的条件である“流動”を確認した。
インターネットで調べればすべてがわかった気になる時代に、まだ誰も知らない地球があったことに驚く。
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あなたも
知らない地球を、
その鳥は
知っている。
はるか昔の氷河期から、この北アルプスの空を飛びつづけている鳥がいる。
ライチョウだ。
真っ白な羽に包まれたこの鳥は、標高が高く、寒い場所にしか生息できない。
特別天然記念物にも指定されているライチョウがいるということは、貴重な生態系が、この山には残されていることを示している。
ライチョウがもしも話せたら、私たちの知らない地球の秘密を教えてほしいものだ。
〇一、
鳥は言った。
〇二、
雲は言った。
〇三、
海は言った。
〇四、
谷は言った。
〇五、
土は言った。
信じられる水の山から