1872年、モスクワの貴族の家庭に生まれる。モスクワ音楽院に学び、卒業後はピアニスト兼作曲家としてロシア・西欧で活動した。彼の作風は概ね3つの時期に分けられる。1900年頃までは前期と呼ばれ、ショパンを模範としてサロン風の軽妙な小曲集と重厚な大規模ピアノ作品に傾注した時期。08年ごろまでは中期とされ、ロシアと西欧を行き来しながらリストやワーグナーを音楽語法の手本とすると同時に、ニーチェ、ショーペンハウアーなどの読書体験や神智学への興味から、独自の宗教的哲学観を生み出した。後期となる10年以降はモスクワに住居を定め、同時代的思潮に共感を持つ詩人・画家・音楽家たちを招いて交流と思索を深め、同時にその音楽語法も理知的かつ斬新なものへと研磨させていった。超大作の総合芸術作品『神秘劇』の構想のさなか、15年に43歳で急死。その突然の死と作品の美しくも特異な響きは、17年の十月革命をまたいで同時代人、後の世代の音楽家に深く作用した。創作のなかで大部分を占めるのは10曲のソナタをはじめとするピアノ作品だが、大規模な管弦楽曲もよく知られており、特に『法悦の詩』(05〜08)と『プロメテウス:火の詩』(08〜10)では、彼の中・後期の作風の魅力がいかんなく発揮されている。
[山本明尚]
ストックホルム出身。15歳のとき、父が修理した古いシンセサイザーを手にして音楽に開眼。ピアノをスタッファン・シェイヤに学ぶが、読字障害(ディスレクシア)のために音楽理論と作曲の学習は遅れた。スヴェン゠ダーヴィド・サンドストレムに個人的に師事したあと、ゴットランド作曲学校およびストックホルム王立音楽院を卒業、英国王立音楽院にも短期留学した。これまでに発表した約25の作品の多くは、幼少期から熱心に信仰してきたユダヤ教を着想の源とする。2作目である『Anim Zemirot』(2012)、スウェーデン放送合唱団が初演した『Nigun』(14)などの合唱曲が評価され、キャリアを築く。21年にはドイツ・グラモフォンから、スウェーデン放送合唱団が録音した合唱作品集『TIME』が発売され、一挙に名声を高めた。信仰表明のごとく真摯な表情をたたえるその音楽では、巧みな明暗の設計が深遠な抒情を醸しだしている。彼が尊敬する、やはりユダヤ系のノイヴィルトと同じく、領域横断にも積極的に取り組む。これまでにラッパーやハウス・ミュージックのグループ、各種企業とのコラボレーションを行い、22年には映画『Burn All My Letters』(監督ビョルン・ルンゲ)のための音楽を作曲した。
[平野貴俊]
東京藝術大学大学院を卒業後、瀬木芸術財団奨学生に選ばれ、2017年より渡欧。カール゠ハインツ・シュッツのもとでソロ・フルートを、グラーツ国立音楽大学にてクラングフォルム・ウィーンのフルート奏者、エヴァ・フラー、ヴェラ・フィッシャーのもとで現代音楽を学び、共に最優秀の成績で卒業した。クラングフォルム・ウィーン、Ensemble Zeitfluss、Synchronos Ensembleなどの現代曲アンサンブルのグループに客演し、現在はEnsemble Toneseekメンバーとして活動している。
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国立音楽大学、バーゼル音楽院音楽大学を卒業。第78回日本音楽コンクール第1位、第2回ジャック・ランスロ国際クラリネットコンクール第2位、第3回トリノ国際音楽コンクール第2位、第3回カール・ニールセン国際音楽コンクール特別審査員賞受賞。ソリストとしてバーゼル響、バーゼル室内管、オーデンセ響、東響、東京フィル、九響などと共演。スウェーデン室内管弦楽団契約首席奏者(2013/14)。元バーゼル音楽院音楽大学講師。10年に渡るヨーロッパでの活動を経て14年秋に帰国、現在ソロ・室内楽・現代音楽の分野で活動中。国立音楽大学講師。
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桐朋学園音楽大学卒業、同大学研究科修了。現代音楽演奏コンクール〈競楽Ⅴ〉第1位入賞。第12回朝日現代音楽賞受賞。2003年度青山バロックザール賞受賞。ドイツ・ダルムシュタットにて、クライニヒシュタイナー賞受賞。アンサンブル・ノマド・メンバーとして、第2回佐治敬三賞受賞。国内外の音楽祭に出演、数々の初演、録音を行っている。ジパングレーベルより3枚のCDをリリース。コジマ録音よりリリースの『アイヴス:ヴァイオリンとピアノのための4つのソナタ』が第75回文化庁芸術祭レコード部門優秀賞受賞。神奈川県立弥栄高等学校、東京藝術大学(ソルフェージュ科)非常勤講師。
名古屋市生まれ。3歳よりチェロを始める。第22回日本クラシック音楽コンクール弦楽器中学生部門第1位(グランプリ)、第75回全日本学生音楽コンクール東京大会チェロ部門大学の部第1位。これまで故 星野明道、林俊昭、山崎伸子、中木健二、花崎薫に師事。東京藝術大学音楽学部附属音楽高等学校を経て、東京藝術大学を卒業、同大学院修士課程修了。アンサンブル・トーンシークメンバー。新作初演に多数携わり、レコーディングや即興演奏も行うなど、時代とジャンルに囚われず活動している。
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ヴァイオリニストから転身した、現在最も人気のあるフィンランド人歌手の一人。2009年ザルツブルク音楽祭でデビュー後、ミラノ・スカラ座やベルリン国立歌劇場ほか世界各地のホールにて、ウィーン・フィルやオランダ室内管などの著名なオーケストラと共演。伝統的なメゾ・ソプラノのレパートリーに加え、現代音楽の第一人者としての地位も確立。多数の世界初演に携わり、彼女のために書かれた作品も多い。歌とヴァイオリンを同時に演奏するプロジェクトVIULAJAを発足。23年には、マティアス・ピンチャー指揮ベルリン・フィルなどと共演。
1971年生まれ。ドイツ出身の作曲家、指揮者、教育者。20代前半で作曲家として頭角を現す。アンサンブル・アンテルコンタンポラン(以下、EIC)の音楽監督に就任した2013年前後から指揮活動を本格化させ、世界各地のオーケストラを指揮、若手音楽家の教育にも携わる。40代にして「第二のブーレーズ」(ル・モンド紙)と評されたピンチャーが展開する多角的で国際的な活動は、世界の音楽界の注目を集めている。
指揮者としては1994年の実質的なデビュー以来、古典派から現代に至る広範なレパートリーを手がけており、近年はオペラにも取り組む。2019年にウィーン国立歌劇場でオルガ・ノイヴィルトの話題作『オルランド』(世界初演)、ベルリン州立歌劇場でワーグナー『ローエングリン』(20年12月)、『さまよえるオランダ人』(23年5~6月)を指揮するなど、存命の作曲家兼指揮者としてホリガー、エトヴェシュ、サロネンに匹敵する存在となりつつある。22/23シーズンは、ウィーン響、ケルン・ギュルツェニヒ管、フィラデルフィア管、カンザスシティ響にデビュー。
21/22シーズンは、サントリーホール サマーフェスティバルのテーマ作曲家として8月に来日し、委嘱新作の『河[ネハロート]』を自ら指揮。また、ヴァイオリン協奏曲第3番「Assonanza」も作曲し、自身の指揮により、リーラ・ジョセフォウィッツの独奏、シンシナティ響によって初演。22/23シーズンは、EICの音楽監督として最後のシーズンとなり、パリ国立高等音楽院、IRCAMとのコラボレーションを含むパリでのコンサートや欧米各地でのツアーが予定されている。
1946年創立。音楽監督にジョナサン・ノット、正指揮者に原田慶太楼を擁する。文部大臣賞、毎日芸術賞、サントリー音楽賞、川崎市文化賞などを受賞。サントリーホールで定期演奏会を行なうほか、川崎市、新潟市と提携し、定期演奏会やアウトリーチを展開している。サントリーホールとの共催による「こども定期演奏会」も注目されており、「サントリーホール サマーフェスティバル」では毎年出演を重ね、高い評価を得ている。新国立劇場では毎年オペラ・バレエ公演を担当。音楽・動画配信サービスをスタートするなどITへの取組みでもクラシック音楽界をリードしている。
日本音楽コンクールなど、国内外で受賞多数。題名のない音楽会、NHKクラシック音楽館などメディア出演多数。東響、都響、読響、日本フィル、ブラショフ国立響など内外で多数のオーケストラと共演。長岡京室内アンサンブル、アンサンブル九条山メンバー。Ensemble Amoibe主宰。京都市芸術新人賞、音楽クリティック・クラブ賞、大阪文化祭賞、青山音楽賞、藤堂音楽賞受賞。日本コロムビア、ALTUSよりCD好評発売中。
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桐朋学園大学ソリスト・ディプロマ・コース卒業後、ハンブルク音楽演劇大学、バーゼル音楽院、バーゼル・スコラ・カントルム(古楽科)に留学。日本音楽コンクール第2位、イタリア・トレヴィーゾ国際音楽コンクール、インディアナポリス国際バロック・コンクール優勝など入賞歴多数。第23回ホテルオークラ音楽賞受賞、国内外のオーケストラとの共演や霧島国際音楽祭、宮崎国際音楽祭、チェロ・ビエンナーレ・アムステルダムなどの音楽祭に出演。バッハ・コレギウム・ジャパンのメンバーとしても活躍中。ピリオド楽器を用いた歴史的演奏法にも取り組み、活躍の場を広げている。
愛知県立芸術大学、シュトゥットガルト音楽演劇大学、アンサンブル・モデルン・アカデミー、パリ国立高等音楽院で学ぶ。2016年オルレアン国際ピアノコンクール優勝。その後ヨーロッパ各地で多くのリサイタルや音楽祭に出演。20年には日本演奏連盟主催のリサイタルを東京文化会館小ホールで行い、音楽の友誌にて高い評価を得る。現在東京を中心にクラシックから現代音楽のアンサンブルまで幅広く演奏活動を行う。愛知県立芸術大学非常勤講師。
エレクトロニクスやコンピュータを用いた音響表現を中心に現代音楽、即興演奏などジャンルを横断する活動を展開、多くの演奏会で音響技術や演奏を手がけ高い評価を得ている。第63回芸術選奨文部科学大臣新人賞(芸術振興部門)受賞。また東京現音計画、東京シンフォニエッタ、秋吉台国際芸術村「ペルセポリス」ソリストとして佐治敬三賞受賞。現在、東京音楽大学准教授、帝塚山学院大学、京都市立芸術大学非常勤講師。
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2015年桐朋女子高等学校音楽科を卒業後、渡仏。パリ国立高等音楽院第一(学士)課程、第二(修士)課程を修了後、第三課程アーティスト・ディプロム現代音楽演奏科、フランクフルト音楽舞台芸術大学大学院修士課程を修了。22年に完全帰国し、現在東京藝術大学大学院音楽研究科博士後期課程に在籍。これまでに欧州の音楽祭(プレザンス、メシアン、アンサンブル・フェスティバル、ダルムシュタット、トライエットーリエ、クラングシュプーレン、ダブリン)などで演奏するほか、パリ管弦楽団、アンサンブル・アンテルコンタンポランでの賛助出演、ライヴ・エレクトロニクスとの演奏、多数の初演に携わる。
東京藝術大学打楽器科卒業。ソリストとして読売日本交響楽団、吹奏楽団体、現代邦楽団体と共演し高い評価を得る。作曲家の新曲初演を多数演奏。幼少期よりピアノコンクール、打楽器コンクールで数々の賞を受賞。DTM打ち込み作曲、電子パーカッション、パーティー演奏、イベントの司会など活動の場を広げている。映画『大仏廻国』の音楽担当。和楽器奏者として歌舞伎・邦楽演奏会に多数出演。千葉商科大学、尚美ミュージックカレッジ専門学校非常勤講師。音楽教室「PASSION MUSIC」代表。川口市内の幼稚園で音楽教室を主宰。
桐朋学園大学卒業後、2005年より渡仏。国立オルネイ・スー・ボワ音楽院にて世界的フルーティストのパトリック・ガロワの元で鍛錬を積む。11年同音楽院最終課程を一等賞を得て修了。同時にディジョン国立地方音楽院の最終課程を一等賞を得て修了。フランス国内のオーケストラの客演、また室内楽奏者として長きにわたり活動を行う。22年より活動の拠点を日本に移し、バロックから即興、現代作品まで、色彩豊かなパフォーマンスが好評を得ている。
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2009年ザルツブルク国際マリンバコンクール第1位受賞をはじめ、08年第25回日本管打楽器コンクール第1位、07年ベルギー国際マリンバコンクールソロ部門第2位、10年現代音楽演奏コンクール“競楽ⅩⅠ”第3位・聴衆賞など数多くのコンクールで受賞。東京音楽大学、同大学院を特別特待奨学生として修了。10年、11年度ローム ミュージック ファンデーション奨学生。「オーケストラ・トリプティーク」ティンパニ・打楽器奏者。現在、大阪音楽大学特任准教授。
2008年、洗足学園音楽大学卒業。第81回日本音楽コンクールトランペット部門第1位、E. ナカミチ賞受賞。08年より、大阪フィルハーモニー交響楽団トップトランペット奏者。これまでにリサイタルを、東京、神奈川、徳島、各都市で開催。ソリストとして、東京フィルハーモニー交響楽団、大阪フィルハーモニー交響楽団と共演。トランペットを津堅直弘、栃本浩規、高橋敦、杉本正毅に、室内楽を秋山鴻市に師事。洗足学園音楽大学、大阪音楽大学、大阪芸術大学、各講師。関西トランペット協会常任理事。
桐朋学園大学音楽学部卒業。ドイツ学術交流会(DAAD)給費留学生としてベルリン芸術大学卒業。内外の主要な現代音楽祭に出演。モーションセンサーとリアルタイム・エフェクト、またグロボカール作品に焦点をあてたシリーズリサイタルを継続中。ユニット「コンテンポラリー・デュオ 村田厚生&中村和枝」ではドイツ、スイス5都市でリサイタルを行った。桐朋学園芸術短期大学非常勤講師。
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1992年東京都北区生まれ。3歳より父からギターの手ほどきを受ける。これまでに村治昇、新井伴典、荘村清志、江間常夫に師事。同時に国内外のギタリストのマスタークラスを多数受講。作曲を塩崎美幸、植田彰、伊左治直に師事。指揮を本多優之に師事。2007年フォンテックよりCD『バルトーク/ルーマニア民族舞曲』を発表。08年、ドイツ3都市(ボン、ケルン、デュッセルドルフ)にてソロコンサートを行う。14年、作曲家今村俊博とのパフォーマンスデュオ「s.b.r.」結成。趣味は囲碁。