サントリー食品インターナショナル(株)は、特定保健用食品の清涼飲料(トクホ飲料)に関する消費者飲用動向調査と、トクホ飲料の飲用者と非飲用者における健康に対する意識等の比較調査を実施しました。
I.トクホ飲料市場について
II.トクホの認知率とトクホ飲料の飲用率
III.トクホ飲料の消費者飲用動向調査
IV.トクホ飲料飲用者と非飲用者の比較調査
I.トクホ飲料市場について
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特定保健用食品(以下、トクホ)とは、健康増進法※第26条第1項の許可又は同法第29条第1項の承認を受けて、食生活において特定の保健の目的で摂取をする者に対し、その摂取により当該保健の目的が期待できる旨の表示をする食品のことです。 |
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健康増進法は高齢化の進展や疾病構造の変化を背景に、国民の健康づくりや疾病予防の増進を目的として、2002年(平成14年)に公布・制度化されました。 |
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トクホは、摂取することにより期待できる保健の目的を表示できますが、そのためには、国の審査を受け、消費者庁長官の許可を受ける必要があります。2014年5月時点で約1,100件の許可が下りています。 |
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トクホの中でも、トクホ飲料は近年多くの新商品が開発・製品化され、一時期横ばい状況であった市場が2012年頃から再度活性化してきました。2013年度の主要トクホ飲料市場(整腸ヘルスクレームの商品を除く)は、1,000億円を超える規模にまで成長しました。 |
II.トクホの認知率とトクホ飲料の飲用率
〈調査概要〉
トクホ飲料に関する具体的な調査に入る前に、トクホの認知率や過去1年間のトクホ飲料の飲用率などについて、調査を実施しました。
1.調査対象
全国に居住する20~79歳の男女個人
2.調査対象者数
25,335人(男性12,887人、女性12,448人)
3.調査方法
インターネット調査(スクリーニング調査)
4.調査期間
2014年4月18日(金)~4月21日(月)
〈調査結果〉
(1)トクホの認知率
トクホの認知率は9割以上(93.9%)。
70代を除く全ての年代で、認知率は9割を超える。 |
トクホについて、どの程度知っているのかを聞いたところ、認知(「内容や特徴を明確に知っている」「ある程度の内容や特徴を知っている」「名前を聞いたことがある程度」の合計 TOP3BOX)率は93.9%で、9割以上の人がトクホを認知していることがわかりました。年代別にみても認知率に大きな差はなく、トクホが、広く世の中に浸透していることがうかがえます。
一方で、理解(「内容や特徴を明確に知っている」「ある程度の内容や特徴を知っている」の合計 TOP2BOX)者は半数強(53.5%)で、年代別では50代以下の年代が高い傾向です(図1)。
(2)トクホ飲料の過去1年間の飲用率
トクホ飲料の過去1年間の飲用率は、半数弱(47.1%)。
性別での差はほとんどなく、男性は40代以下で5割を超える。
女性は年代による差は見られず、老若男女を問わずにトクホ飲料が浸透。 |
過去1年間に「トクホ飲料を飲んだことがある」と回答した人は、半数弱となる47.1%でした。性年代別では、男性は40代以下の年代で5割を超えて高く、女性は年代による差はあまりみられません。トクホ飲料の飲用率が他の年代よりは低い60代以上でも4割を超えており、どの年代でもトクホ飲料が浸透していることがわかりました(図2)。
(3)過去1年間の飲用率が高いトクホ飲料の種類
過去1年間の飲用率が高いトクホ飲料の種類は、
1位「緑茶」、2位「ウーロン茶」、3位「コーラ」。 |
トクホ飲料飲用者の中で、過去1年間に飲用したトクホ飲料の種類を聞いたところ、「緑茶」が61.6%と最も高く、以下、「ウーロン茶」(56.6%)、「コーラ」(41.7%)、「ブレンド茶」(40.8%)、「コーヒー」(29.9%)の順でした(図3)。
III.トクホ飲料の消費者飲用動向調査
〈調査概要〉
トクホ飲料について、飲用実態や飲用に対する意識を明らかにすることを目的に、調査を実施しました。
1.調査対象
全国に居住する20~79歳の男女個人
2.調査対象者数
過去1年間にトクホ飲料を飲用した人1,146人(男性590人、女性556人)
※トクホ飲料の今後の飲用意向は、非飲用者1,254人を含む計2,400人で集計
3.調査方法
インターネット調査
4.調査期間
2014年4月18日(金)~4月21日(月)
〈調査結果〉
(1)トクホ飲料を飲み続けるために重視する点
トクホ飲料を飲み続けるために重視する点は、「効果」「飲みやすさ」「味」。
効果とおいしさの両方を期待。
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トクホ飲料を飲み続けるために重視する点は、「効果があること」が44.7%と最も多く、以下「飲みやすさ」(38.3%)、「続けて飲むと効果が実感できる」(38.2%)、「どこでも買える」(32.2%)、「おいしさ」(31.5%)と続きます。効果と味の両方を期待している様子がうかがえます(図4)。
(2)トクホ飲料に効果を期待する人の割合
トクホ飲料に効果を期待する人の割合は、3人に2人(67.5%)。
女性が男性より効果を期待する傾向。
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トクホ飲料に対して効果を“期待する”(「とても期待する」「期待する」「やや期待する」の合計 TOP3BOX)人は、3人に2人(67.5%)で、“期待しない”(「あまり期待しない」「期待しない」「まったく期待しない」の合計 BTM3BOX計)(16.0%)の4倍以上の人が“期待する”という結果でした。
性別では、女性が男性より、“期待する”(男性64.6%、女性70.5%)が高くなっています(図5)。
(3)トクホ飲料を飲用するシーン
トクホ飲料を飲用するシーンは、「夕食時」、「昼食時」、「食後」がトップ3。
食事時にトクホ飲料は飲用されている。
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トクホ飲料を飲用する時間帯やタイミングは、「夕食時」(25.4%)、「昼食時」(23.1%)、「食後」(21.3%)がトップ3で、トクホ飲料は食事時に飲用される傾向が高いことがわかりました。トクホ飲料の飲用頻度別では、「夕食時」や「昼食時」は飲用頻度が高いほど高く、飲用頻度が高い人ほど、食事の一部になっている傾向がみられました(図6)。
また、トクホ飲料の飲用理由を聞いたところ、「脂っこいものを食べたから」が4割を超える(40.2%)ほか、「太りたくないから」(32.2%)、「のどが渇いたから」(24.9%)、「やせたいから」(22.6%)と続き、肥満対策として飲用している人が多いようでした(図7)。
(4)トクホ飲料の飲用開始時期
トクホ飲料の飲用開始時期は4人に1人(25.4%)が「2年以内」で、
2割(19.5%)が「5年以内」と回答。
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トクホ飲料をどのくらい前から飲用しているのかを聞いたところ、トクホ飲料の飲用開始時期は、4人に1人(25.4%)が「2年以内」で最も多く、トクホ飲料総市場が2~3年前から活性化していることを裏付ける結果となりました。次いで、「5年以内」(19.5%)など、比較的早い時期から飲用している人が多いことがわかりました(図8)。
(5)トクホ飲料の今後の飲用意向
トクホ飲料の今後の飲用機会は、3割(29.9%)が「増える」と回答。
トクホ飲料非飲用者でも約2割(20.7%)が「増える」としている。
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トクホ飲料の今後の飲用意向は、3割(29.9%)が“増える”(「とても増えると思う」「増えると思う」「やや増えると思う」の合計 TOP3BOX)としています。一方で、“減る”(「やや減ると思う」「減ると思う」「とても減ると思う」の合計 BTM3BOX)と回答した人は3.4%にとどまりました。飲用頻度別で見ると、すでに週1回以上飲んでいる人の半数以上(56.7%)が“増える”と回答しており、今後の飲用意向がより高くなることがわかりました。また、「トクホ飲料の非飲用者」であっても約2割(20.7%)の人が“増える”と回答していることがわかりました(図9)。
IV.トクホ飲料飲用者と非飲用者の比較調査
〈調査概要〉
トクホ飲料を過去1年間に飲用した人(以下、「飲用者」)と、トクホ飲料を過去1年間に飲用していない人(以下、「非飲用者」)の、健康に対する意識と実態を明らかにすることを目的に、調査を実施しました。
1.調査対象
全国に居住する20~79歳の男女個人
2.調査対象者数
2,400人(男性1,200人、女性1,200人)
3.調査方法
インターネット調査
4.調査期間
2014年4月18日(金)~4月21日(月)
〈調査結果〉
(1)トクホ飲料飲用者と非飲用者のBMI値比較
BMI値を比較すると、肥満(BMI値25以上)の人の割合は、
飲用者(21.0%)が非飲用者(17.6%)よりやや高い傾向。
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飲用者と非飲用者で、BMI値を比較すると、肥満(BMI値25以上)の割合は、飲用者(21.0%)の方が非飲用者(17.6%)より高い傾向がみられました。飲用頻度別にみると、飲用頻度が高い人ほど、肥満の割合がわずかながら高くなっています(図10)。
※BMI値=体重(kg)/身長(m)の2乗で算出
(2)健康に対する意識と健康管理
「健康には人一倍、気をつけている」
(トクホ飲料の飲用者47.2%、非飲用者40.2%)、
「健康のためなら、手間や時間を惜しまない」(同35.1%、28.8%)など、
トクホ飲料の飲用者は健康への意識が高い。 |
健康に対する意識は、「健康には人一倍、気をつけている」、「健康のためなら、手間や時間を惜しまない」で“あてはまる”(「とてもあてはまる」「あてはまる」「ややあてはまる」の合計)と回答した人は、トクホ飲料の飲用者の方が非飲用者より高い結果となり、飲用者の方が健康に気を使っている状況が明らかになりました。飲用頻度別にみても、いずれの項目でも、飲用頻度が高い人ほど“あてはまる”が多く、健康に対する意識が高いからこそ、トクホ飲料を飲用していることがわかりました(図11)。
(3)食生活への意識
「食事をする際にはカロリーを気にする」
(トクホ飲料の飲用者59.0%、非飲用者49.6%)、
「食べ物は製法・素材にこだわる」(同48.5%、39.0%)と、
トクホ飲料の飲用者は食生活への意識も高い。 |
食生活への意識について、トクホ飲料の飲用者と非飲用者で比較すると、飲用者の方が非飲用者より高い傾向がみられました。特に、「食事をする際にはカロリーを気にする」や「食べ物は製法・素材にこだわる」で“あてはまる”(「とてもあてはまる」「あてはまる」「ややあてはまる」の合計)と回答した人は飲用者の方が非飲用者より10ポイント程度高くなっています。飲用頻度別でみても、トクホ飲料を飲む頻度が高い人ほど、食生活への意識が高い傾向がみられました(図12)。
(4)運動習慣
「定期的に運動をしている」(トクホ飲料の飲用者47.2%、非飲用者43.7%)、
「エレベーターではなく階段を使うなど、なるべく体を動かすようにしている」
(同 56.4%、49.1%)と、飲用者は体を動かして健康を維持する傾向も。 |
運動習慣について、「定期的に運動をしている」「エレベーターではなく階段を使うなど、なるべく体を動かすようにしている」の項目で、“あてはまる”(「とてもあてはまる」「あてはまる」「ややあてはまる」の合計)と回答した人は、トクホ飲料の飲用者が非飲用者よりも高く、食生活だけでなく、体を動かして健康を維持する意識も高くなっています(図13)。
トクホ飲料を飲用するだけでなく、食生活に気遣い、体を動かして健康を維持するよう心掛けるなど、健康への意識が全体的に高いことが明らかになりました。
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