Forum Report
日本は世界で最も急速に高齢化が進んでいる国の一つである。世界でも高水準の平均寿命を持つと同時に、20世紀後半から出生率は低いままに留まっている。その結果、人口に占める高齢者の割合は過去数十年間、着実に増加している。高齢者は若い世代に比べて生産性が低いとされており、このままでは社会の維持が難しくなるのではないかと危惧する声も多い。この急速に高齢化する社会の課題にどう対応していくかという問題は、今日の日本において頻繁に議論されている。
2019年5月17日、東京の国際文化会館で第15回となる「グローバルな文脈での日本」のフォーラムを開催し、4人の報告者を招いて、高齢化が進む日本社会で「幸福」をどのように促進していくかについて議論を行った。エコノミスト誌の元編集長でジャーナリストのビル・エモット氏による基調講演の後、他の3人の講演者はエモット氏が提起した主要な問題について詳しく述べた。ジャーナリストでアトランティック誌編集者のジョナサン・ラウシュ氏は、高齢者の多くが社会から孤立しがちな問題にどう取り組むかを取り上げ、彼らの社会参加を奨励すべきだと主張した。シラキュース大学政治学部准教授であるマルガリータ・エステベス・アベ氏は、日本社会の「幸福」を促進するために男女格差をなくすことの重要性について主に論じた。立正大学学長で東京大学名誉教授の吉川洋氏からは、現在の日本社会が直面している経済的困難にどのように対処していくべきかと将来の展望についての見解が示された。
この国際シンポジウムは、サントリー文化財団設立40周年記念事業の一環として開催された。
Aging Society as an Opportunity