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3・11郡山の祈り実行委員会「3・11郡山の祈り ~鎮魂そして明日へ~」

  • 実施日時
    2021年3月11日(木)14時
  • 実施場所
    けんしん郡山文化センター(郡山市民文化センター)大ホール
  • プログラム

    ピアソラ ブエノスアイレスのマリア
    ルフ・ラヴランド ユー・レイズ・ミー・アップ
    モーツァルト アヴェ ヴェルム コルプスK.618
    モーツァルト レクイエムニ短調K.626

  • 出演

    指揮:佐藤守廣
    ソプラノ:渡邉奈保子 アルト:紅林美枝 テノール:結城博生 バス:作田秀二
    キューティーストリングス
    3・11郡山の祈り合唱団&管弦楽団(合唱指揮:今泉一八)

主催者からのレポートをお届けします。
2020年3月10日…東日本大震災10年目を迎え、合唱団はもる・かい主催の追悼・慰霊演奏会[3・11に捧げるレクイエム]が行われる予定のけんしん郡山文化センターは静まり返っていました。
その10日前の練習で、新型コロナウイルス感染拡大による全国的な緊急事態宣言を受けた当局からの中止要請を受け入れることが発表され、集まっていた団員や合唱仲間たちは安心と落胆の入り混じった複雑な心境ながら、1年後の再会を期して解散となったのです。
演奏会予定日当日、コロナ禍でも震災犠牲者へ黙祷したいとご来場いただいた方が数名おられ、お詫びしながら「必ず来年には開催しなければ!」との想いを強く抱かされました。

そして「震災10周年に郡山で犠牲者への追悼・慰霊の演奏会を!」との想いは、3・11郡山の祈り実行委員会(郡山文化協会/郡山市音楽連盟/郡山市おかあさん合唱連盟/郡山商工会議所/楽都郡山を考える会)に引き継がれ、郡山市と郡山市教育委員会の共催を得て、[東日本大震災10周年 3・11郡山の祈り ~鎮魂そして明日へ~]として実現する事になったのです。

コロナ禍での合唱練習は、不安や家族・職場等の反対から参加を取りやめる仲間の続出や、マスク着用やソーシャルディスタンスの遵守、寒風の中でも換気するなど戸惑うことばかりでした。
特にマスクで声を遮られて歌うこと、感染防止の為に前後2メートル離れて歌うことは、最後まで音量不足とアンサンブルに悩まされました。

更に本番まで1ヶ月を切った2月13日、福島県沖を震源とする震度6弱の地震が郡山を襲い、けんしん郡山文化センターが使用出来なくなりました。
幸い郡山ユラックス熱海多目的ホールに会場を移すことが出来ましたが、諸準備完了しチケット配布後の事でもあり、すでにお誘いしたお客様への周知と新たな収客作業に、皆で対応に追われました。
そうして、新型コロナウイルス感染者の増加による演奏会中止の不安も覚えながら、またここまで頑張って再び中止になったらもう仕方ないと思いつつ当日を迎えることが出来ました。

当日は好天。お客様やスタッフ、演奏者全ての感染対策を取りながら、準備やリハーサルを進め、追悼・慰霊の為の演奏会開演を迎えます。
事前に市長さんの挨拶があり、主催者代表の挨拶後に、ウィーン・フィル&サントリー音楽復興祈念賞受賞のご紹介と担当の方のメッセージが読み上げられ、キューティーストリングス(郡山出身の高校生、大学生、音大生)の若い音楽家達による弦楽合奏の見事な演奏がありました。

会場内換気の為の休憩を挟み、いよいよあの時刻になりました。
2021年3月11日14時46分…会場全員での黙祷です。

あの日犠牲になった方の命と共に絶たれた、明日への夢や希望、幸せな日々、友情や愛を想いながら、モーツァルトのアヴェ・ヴェルム・コルプスを弦楽の演奏と共に歌い静かに悼みます。
続いて同じくモーツァルトのレクイエムを、各地から参集したプロ・音大生奏者等を交え地元音楽講師・音楽愛好者等によるソリスト・オケ・合唱が一体となり演奏しました。
震災で逝った多くの御霊に鎮魂の祈りを捧げるために。
原発事故による放射能汚染も合わさって重苦しい雰囲気の中、死んだように静まり返った日常が街を包んでいたあの頃を、沢山の尊い命が失われ、沢山の方が癒されることの無いような悲しみにくれた事を決して忘れない様に。
安寧の祈りの一時を皆で分かち合うために。
それぞれがそんな思いを胸に演奏出来たと思います。
そして会場変更にも拘らず、しかもコロナ禍の不安の中、哀悼の意を持ってご来場くださったお客様(341名)とも祈りの時を共有することが出来たと思います。

鎮魂の集いである当コンサートは入場料をいただかない形で行いましたが、多くの方々や団体から寄せられた「協賛金」、そして「第8回ウィーン・フィル&サントリー音楽復興祈念賞助成金」及び「郡山市・郡山市教育委員会の共催」のサポートにより実現することが出来ました。
私達の呼び掛けに応えてくださった関係の皆様、参集してくださった皆様が、あの日の14時46分の自分と逝った人の鎮魂に心を寄せてくださいましたことに、深く感謝を申し上げます。