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くまもと音楽復興支援100人委員会 「音楽の「力」で熊本の復興を!地震1年後に熊本の「復活」を祈るコンサート」

ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団の団員は、2012年から毎年、助成事業としてウィーン・フィル&サントリー音楽復興祈念賞受賞活動への参加、公演事業として継続的に被災地を訪れ、「こどもたちとその家族のためのコンサート」を開催するとともに、次世代の音楽愛好者と演奏者育成のための音楽指導に取り組んできました。今回は熊本地震から1年のタイミングでの来日のため、祈念賞受賞活動への参加に加え、熊本市内で演奏を行いました。

〈参加メンバー〉

ヴァイオリン ダニエル・フロシャウアー(Daniel Froschauer)
ハラルド・クルンペック(Harald krumpöck)事務局長
ヴィオラ マリオ・カルヴァン(Mario Karwan)
チェロ 直樹・ヘーデンボルク(Naoki Hedenborg)
嘉島町コンサート
  • 実施日時

    2017年 4月13日(木)11:00~12:00

  • 実施場所
    嘉島町民会館ホール アクア
  • プログラム

    モーツァルト : 弦楽四重奏曲第17番 変ロ長調 「狩」K458 から第1楽章
    ハイドン : 弦楽四重奏曲 ニ長調 「ひばり」 Op. 64, No. 5 から第3・4楽章
    (アンコール)シュランメル : ウィーンはいつもウィーン
    ヨハン・シュトラウスⅡ : アンネン・ポルカ
    故郷*

  • 出演

    ヴァイオリン : ダニエル・フロシャウアー、ハラルド・クルンペック
    ヴィオラ : マリオ・カルヴァン
    チェロ : 直樹・ヘーデンボルク
         嘉島中学校吹奏楽部*

    主催 : サントリー水の国くまもと応援プロジェクト
        ウィーン・フィル&サントリー音楽復興基金
    共催 : 嘉島町、嘉島町教育委員会

サントリー熊本工場のある嘉島町(かしままち)の皆さんに演奏を聴いていただきたく、嘉島町と教育委員会のご協力を得て、嘉島町に在住または在勤者と嘉島中学校生の合計500を対象にコンサートを開催しました。サントリーホールディングス(株)福本執行役員よりの挨拶に続き、クルンペック事務局長から「ウィーン・フィルは1956年から来日しているので、多くの日本の方々と深い友情を育んでいます。東日本大震災を機にサントリーとウィーン・フィル&サントリー音楽復興基金を設立しました。そして、昨年の熊本地震が起こり、今回祈念賞受賞の「復活」コンサートの話を聞いて、応援に行こうと即決しました。今日はどうぞお楽しみください。」と挨拶。自ら曲目や楽器の紹介も行い、明るく親しみやすい公演となりました。選曲したハイドンの「ひばり」は、嘉島町のシンボルの鳥と聞いて選んだそうです。また、嘉島中学校の吹奏楽部が上手だと知り、共演することになりました。部長の岡本さんは、「部員は19名で、元気で明るく仲良しの吹奏楽部です。昨日、ウィーン・フィルの方に指導していただけるということで、とても緊張していましたが、優しく笑顔で教えてくれました。演奏を間近で聴くと表情が豊かで、美しい音で感動しました。今日は、楽しんで、嘉島町の皆さんに元気を与えるような演奏をしたいと思います。」と話し、演奏へ。松山先生の指揮で、まずはウィーン・フィルメンバーと吹奏楽部で、次は客席の合唱とともに、最後は客席の中学生が立ち上がり合唱し、会場が一体となった感動的な演奏会となりました。その後、中学生との記念撮影も行い、元気な中学生達に囲まれ、楽しそうなウィーン・フィルメンバーが印象的でした。


熊本県庁
  • 実施日時

    2017年 4月14日(金)12:10~12:40

  • 実施場所
    熊本県庁 新館ロビー
  • プログラム

    パッヘルベル : カノン
    モーツァルト : 弦楽四重奏曲第17番 変ロ長調 「狩」K458 から第1楽章
    ハイドン:弦楽四重奏曲 ニ長調 「ひばり」 Op. 64, No. 5 から第3・4楽章
    (アンコール)ヨハン・シュトラウスⅡ : アンネン・ポルカ

4月14日は、熊本地震前震発生からちょうど1年です。まず県庁を訪問し、地下大会議室において執り行われた犠牲者追悼式で、献花を行いました。その後、新館ロビーで蒲島県知事・田嶋副知事との挨拶の後、ミニ・コンサートを開催しました。階段をステージにした狭い空間でしたが、立ち見の方や吹き抜けの2階からも取り囲むように約400名のお客様にお楽しみいただきました。サントリーホールディングス(株)執行役員で(公財)サントリー芸術財団の濱岡専務理事の挨拶に続き、クルンペック事務局長が挨拶、フロシャウアー氏が曲目紹介をしながら、進んでいきました。メロディーに合わせ体を揺らして、笑顔で、涙を浮かべながら、と思い思いにお聴きいただき、鳴り止まぬ暖かい拍手にアンコールの「アンネン・ポルカ」で幕を閉じました。お客様にお話を伺うと、「遠いところから来てくれて、本当にありがたいです。是非、またお願いします。」「すごく感動しました。こんな演奏に出会えて、県庁の近くに住んでいて良かったと思いました。」などと答えてくれました。


熊本城
  • 実施日時

    2017年 4月14日(金)14:00~14:15

  • 実施場所
    熊本城二の丸広場 特設ステージ
  • プログラム

    パッヘルベル:カノン
    ハイドン : 弦楽四重奏曲 ニ長調 「ひばり」 Op. 64, No. 5 から第3楽章

県庁に続いては、熊本城二の丸広場の特設ステージでミニ・コンサートを開催しました。澄み渡る青空、修復中の熊本城を背に、サントリーホールディングス(株)執行役員で(公財)サントリー芸術財団の濱岡専務理事の挨拶に続き、クルンペック事務局長が日本語で「こんにちは」からスタート。「シンボルである熊本城、被害が大きく今この時も復旧がなされているその前で演奏出来るのは光栄です。強風で楽譜や弓が飛びそうですが、頑張って演奏します。」との挨拶後、演奏をしましたが、予想通り楽譜が飛ぶハプニングもあり、当初の予定より短くなってしまいました。しかしながら、約600名という多くの方々にお聴きいただきました。地元の方からは「演奏を聴いて世界中からの支援で熊本が元気になっていることを改めて感じました。」「この1年のことを思い出しながら聴きました。この美しい景色の中、美しい音を聴けて感動しました。」などとお話しくださいました。しばらく会場でウィーン・フィルのメンバー達と交流する方たちもいて、バスに乗った一行に手を振り見送ってくださいました。 これからも、引き続き、復興支援活動を続けてまいります。


くまもと音楽復興支援100人委員会
「熊本地震復興祈念コンサート マーラー:交響曲第2番「復活」」
  • 実施日時

    2017年 4月14日(金)20:00開演

  • 実施場所
    熊本県立劇場コンサートホール(熊本市)
  • プログラム

    マーラー : 交響曲第2番ハ短調『復活』

  • 出演

    山下一史(指揮) 並河寿美(ソプラノ) 福原寿美枝(アルト)
    九州交響楽団を中心とした国内外のプロオーケストラ*、熊本の音楽家
    九州の有志(合唱)
    *の中のウィーン・フィルハーモニー管弦楽団メンバー
    ダニエル・フロシャウアー、ハラルド・クルンペック(ヴァイオリン)
    マリオ・カルヴァン(ヴィオラ) 直樹・ヘーデンボルク (チェロ)

主催者からのレポートをお届けします。
熊本地震からちょうど一年後の2017年4月14日。
熊本県立劇場でマーラーの交響曲第2番「復活」のコンサートを開催しました。指揮:山下一史、ソプラノ:並河寿美、アルト:福原寿美枝、オーケストラは九州交響楽団を中心とした日本各地のオケ(22団体)や海外のオケ(ウィーン・フィルからの4人を含む4団体)そして熊本の音楽家を含む113人、合唱は主に熊本と福岡から150人、総勢約270人のボランティアで演奏されました。大きな被災をされた方300人をご招待したコンサートは大きな感動を呼ぶものとなりました。地震が発生した午後9時26分に終了し、その時会場にいた全員が黙祷をささげ、犠牲になった方に哀悼の意を表し、熊本の「復活」を新たに誓いました。
このコンサートの基盤は昨年5月に発足した「くまもと音楽復興支援100人委員会」です。「音楽の力」で熊本の復興にできることをやっています。例えば「音楽の炊き出しコンサート」と銘打ち、避難所や仮設住宅はじめいろいろなところで演奏をしてきました。その活動を通じて、人間にとって音楽がいかに心を動かし、生きるために必要なものか、ということを肌で感じることができました。
2016年5月末からこのコンサートの準備を始めました。規模が大きいコンサートなので準備も大変でした。しかし、最終的には非常に多くの人のご支援をいただき素晴らしいコンサートになりました。音楽の力もすばらしいですが、やはり多くの人間がひとつの方向を向いた時には無限大の力になると、人の素晴らしさにも感動を覚えました。


またこの公演は栄えある第5回ウィーン・フィル&サントリー音楽復興祈念賞を受賞し、当日は蒲島郁夫熊本県知事、大西一史熊本市長のご挨拶のあと受賞セレモニーを行いました。今回のように、ひとつメインとなるオケに日本各地のオケから集まって大きなオケを編成することは珍しいということですが、日本オーケストラ連盟と九響事務局に骨を折っていただき、一回きりの素敵なオケが誕生しました。海外もタイ、マレーシア、ノルウェー、オーストリアから熊本のために来ていただきました。ウィーン・フィルから弦楽器奏者4人の方にも加わっていただき、オケの音の美しさに磨きがかかりました。


みなさんが熊本の復興に音楽でできることを支援しようという気持ちで集まりました。その思いでできた113人のオケは日ごろ一緒に活動しているわけではありませんが、本番では見事に一つの方向に結集しました。合唱は福岡と熊本、普段は別の合唱団で活動している人たちの集まりでしたが、練習の最初から熱いものとなりました。熊本の人たちはわが町熊本の未来へ向けた気持ちで歌い、福岡の人たちは熊本を音楽で支援しようという気持ちで歌い、お互いに一瞬で心の絆ができました。その合唱は気持ちがこもった素晴らしいものとなりました。
指揮の山下さんは1989年以来熊本で度々演奏されてきた、とても縁の深い指揮者です。その山下さんが滝のような汗を流されながら渾身の力で指揮され、大人数の「復活」をあのような高みに導いていただきました。日本を代表するソリストの二人も深く美しい歌は、会場の多くの人の心奥底に直接届きました。
チケットは1月の発売日から3日で完売しました。多くの方が熊本の「復活」に強い気持ちを持たれていたからだと思います。県内はもちろんですが、県外からもたくさんの方が会場に足を運ばれました。遠くは北海道、山形、群馬、東京、金沢などからも熊本の復興支援のために聴きに来ていただきました。
このように演奏する側、聴く側みなさんが特別の思いで空間と時間を共有した演奏が終了しました。会場の照明が落ち全員が無言で起立しての黙祷。そのあとは割れんばかりの拍手と歓声でした。「ブラボー」にまじって「ありがとう!」という声も聞かれました。そしてたくさんの人が涙を流されていました。クラシック音楽は馴染みがなく、マーラーの名前すら知らなかった方から「体が震えるほど泣いた。」との感想をいただきました。
やはり音楽には力があります。それもとてつもない力があります。その力は今の熊本のような状況だけにとどまらず世界中の全ての人にとって大切な力になりえるものだ、と今回の「復活」のコンサートから確信しました。
これからも「音楽の力」でできることを続けていきたいと思います。