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男声合唱団 トリンクリート
「男声合唱団 トリンクリート 第3回定期演奏会」
- 実施日時
- 2016年2月14日 14:00開演
- 実施場所
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福島テルサFTホール
- プログラム
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I、ショスタコービッチ:男声合唱のための8つのバラード「忠誠」作品136から
第1曲、第2曲、第3曲、第7曲II、アルコール名曲集から
ドイツ民謡:乾杯
メンデルスゾーン:酒宴の歌
福岡県民謡:黒田節
岡野貞一:春の小川
ヴェルディ:乾杯の歌III、 フォーレ:レクイエム 作品48から
入祭唱とあわれみの賛歌、聖なるかな、やさしきイエスよ
私を解き放ちたまえ、楽園にてIV、ミシュキニス:神よ、私を弁護してください
ブラームス:三つの宗教的合唱曲 作品37
シューマン:ロマンス第2集 作品91から
水の精、海の底には
小倉 朗:ほたるこい
日本民謡:さくら さくらV、多田武彦:男声合唱組曲「遠い母に」
VI、モーツァルト:レクイエム 作品626から
入祭唱、あわれみの賛歌、呪われた者、涙の日、祝福の賛歌、聖体拝領唱
- 出演
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I:高麗正宣(指揮)、男声合唱団トリンクリート
II:高麗正宣(指揮)、男声合唱団トリンクリート、吉村朋子(ソプラノ)、菊地和彦(テノール)
III:高麗正宣(指揮)、ムジカンテン・コア・ふくしま
星 英一(ピアノ)、竹田朗子(ソプラノ)、村上直樹(バリトン)IV:高麗正宣(指揮)、福島室内合唱団(賛助出演)、竹田朗子(ソプラノ)、枡 智美(アルト)
V:関 成利(指揮)、男声合唱団トリンクリート
Ⅵ:高麗正宣(指揮)、ムジカンテン・コア・ふくしま
星 英一(ピアノ)、長谷川規子(ソプラノ)、枡 智美(アルト)、菊地和彦(テノール)、村上直樹(バス)
主催者からのレポートをお届けします。
私たち男声合唱団「トリンクリート」は2009年に結成した、10代から60代までの男声合唱愛好家による合唱団です。私たちは2011年2月に第1回定期演奏会を開催した直後、東日本大震災の直撃を受けました。被災した当時は活動場所の確保もままならない極限状態の中、集まれるメンバーだけで避難所の訪問演奏等をしながら、男声合唱の灯を消さないよう歌い続けてきました。
あの震災から間もなく5年。今回の演奏会の前半はまずロシアの力強いア・カペラで幕を開け、次はお酒にちなんだポピュラーステージ、そしてフォーレのレクイエムを抜粋で歌いました。祈りにも似た敬虔な旋律が会場を包み、終曲の「楽園にて」では天国への扉が開いたかのような感動を覚えました。演奏会の後半は賛助出演の女声合唱に始まり、次は重厚な邦人作品、そしてハイライトであるモーツァルトのレクイエムを抜粋で歌いました。静謐な「入祭唱」から緻密なフーガによる「あわれみの賛歌」へ、重々しい「呪われた者」からモーツァルトの絶筆である美しい「涙の日」、そして四重唱の「祝福の賛歌」と冒頭の主題の再現による「聖体拝領唱」の6曲を歌い、会場からは惜しみない拍手が寄せられ、アンコールの「アヴェ・ヴェルム・コルプス」を歌ってコンサートは盛況のうちに幕を閉じました。
震災というあまりにも大きな受難に対して、合唱団である私たちに何が出来るでしょうか。今回は2つの鎮魂ミサ曲を福島の地で歌わせていただきました。犠牲になられた尊い魂の救済、そして生き残った私たちの心の復興、そういったメッセージが私たちの合唱を通して、お聴きいただいた皆様に少しでも感じ取っていただけけたら幸いです。今回の「第4回ウイーン・フィル&サントリー音楽復興祈念賞」を頂く事ができましたのは、私たちにとって大きな喜びであり、励ましです。震災から5年経った今でも変わらず私たちをご支援してくださっている事に対し、厚く御礼申し上げます。この受賞に恥じぬよう、今回は抜粋の演奏でしたが、いつの日かこの2大レクイエムの全曲演奏を目指して、更なる精進と前進を続けていくことを改めて心に誓いました。本当にありがとうございました。