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公益財団法人南相馬市文化振興事業団「ゆめはっと ジュニア・ウインド・オーケストラ 第8回定期演奏会」
- 実施日時
- 2014年3月30日(日)14:00開演
- 実施場所
- 南相馬市民文化会館(ゆめはっと)大ホール
- プログラム
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ミュージック・メーカーズ:A.リード
さくらのうた:福田洋介
ノガケ侍:福田洋介
交響組曲もののけ姫よりアシタカとサン:久石譲
花は咲く:菅野よう子
エル・クンバンチェロ:エルナンデス
星条旗よ永遠なれ:J.P.スーザ ほか
- 出演
山下一史(指揮)
ゆめはっとジュニア・ウインド・オーケストラ
ゆめはっとジュニア指導者陣(菊池公佑、菊池澄枝、佐々木祥)ほか
2004年に設立されたゆめはっとジュニア・ウィンド・オーケストラですが、南相馬市は、東日本大震災とそれに伴う原発事故により大きな被害を受け、活動が中断されていました。活動を再開し、震災後初となる第8回定期演奏会が、本賞を受賞され、公演に先立ち、選考委員の礒山雅先生(写真向って左)より、南相馬市教育委員会教育長青木紀男氏へ賞状が手渡されました。
主催者からのレポートをお届けします。
南相馬市は福島県の浜通り地方に位置しています。東は太平洋に面し、西は阿武隈高地に接する自然豊かな土地です。国の重要無形民俗文化財に指定されている相馬野馬追が行われています。
南相馬市民文化会館ゆめはっとは、東日本大震災に伴う福島第一原子力発電所の事故により、半径30km圏内の緊急時避難準備区域に指定され、9か月間の休館を余儀なくされました。2004年のオープン当初からゆめはっとで活動するゆめはっとジュニア・ウインド・オーケストラにおいても、避難でメンバーが全国各地へ散り散りになり、とても音楽活動を再開できる状況ではありませんでした。
震災から1年余り経過した頃、復興の最中である今だからこそ子どもたちの音楽活動を絶やしてはならないとの思いから、活動を再開することを決断しました。子どもたちだけではとても人数が足りず、足りないパートを補うために、主旨に賛同してくれる成人の力を借りようと、新たにサポートメンバーの募集も行いました。再開当初は放射能の心配や交通事情等もあり、集まったメンバーは10名にも満たない人数でした。練習日に講師を招いても2、3人で練習をする日もあり、再びオーケストラとして活動ができるか、模索する日々が2年間続きました。
月日の経過とともに、新しいメンバーも増え始め、また、避難していたメンバーが、東京をはじめとする避難先から、練習に通い始めるようになりました。震災から3年を目前になんとか演奏会を開催し、復活を果たしたいと、卒団生や以前お世話になっていた講師の皆様にも協力していただき出演者を募りました。
演奏会当日は小学3年生から成人者まで、総勢45名の出演者がホールいっぱいに演奏を響かせ、世代間を超えた幅広い交流を実現することができました。参加型の企画も数多く用意し、会場の皆さんが演奏に合わせて「花は咲く」を歌うコーナーや、あらかじめ配布していたペットボトルのシェーカー(マラカスのような楽器)を使って「エル・クンバンチェロ」のリズムをとるコーナーなどひと時だけでも日常を忘れて音楽に夢中になっていただくことができました。
今回の演奏会では、音楽が持つ力を改めて感じることができました。この活動を長く続けていくために、長期的なメンバー確保などの課題は多いですが、未来を担う子どもたちに音楽を通じて人とふれあい、希望を抱けるこの活動をこれからも続けていきたいと考えています。