コンサートが作られるまで、どのくらいの時間がかかるか知っているかな?実は、コンサートは1年以上(いじょう)前から準備(じゅんび)が始まっているんだ。大きなコンサートでは数年がかりのことも。どういうコンサートを行うかを考えるところから、コンサートの日程(にってい)と、演奏(えんそう)する人や曲目を決めたり、チケットの効果的(こうかてき)な売り方を考えたり、チラシやプログラムづくり、リハーサルの立会い、スケジュールやお金の管理(かんり)など、コンサートがうまくいくためのさまざまな準備をしている人のことを、サントリーホールではプログラミング・ディレクターとよんでいます。
サントリーホールのプログラミング・ディレクターは現在(げんざい)7名。その中の1人、長谷川亜樹(はせがわあき)さんに、お話を聞いてみたよ。長谷川さんは、4月2日に行う「オープンハウス~サントリーホールで遊ぼう!」やアートキッズクラブの夏休み企画(きかく)「いろいろドレドレ―美術(びじゅつ)と音楽に親しむワークショップ&コンサート」などこども向けの公演(こうえん)をたくさん担当(たんとう)しています。
―オープンハウスではどのようなお仕事をしているのですか?
春の無料(むりょう)イベント、オープンハウスは、サントリーホールのお客様感謝(かんしゃ)デー。スタッフ全員で、協力(きょうりょく)して準備をし、おもてなしをします。プログラミング・ディレクターは、このイベント全体の企画にかかわり、各(かく)チームをまとめています。
また、今年は大ホールで『「第九(だいく)」をうたおう!きいてみよう!』というサントリーホール開館30周年(しゅうねん)を記念(きねん)した特別(とくべつ)な企画があります。ふだんは、お客さんは客席(きゃくせき)で静(しず)かに演奏を聴(き)いているだけですが、このコンサートでは、ベートーヴェンの交響曲(こうきょうきょく)第9番の第4楽章を、希望(きぼう)する人はいっしょに歌うことができます。オーケストラと人の声が重なるすばらしさを感じてもらいたい、そしてふだん「第九」になじみのない人にも、気軽に楽しんでもらいたいと思っています。
―プログラミング・ディレクターのお仕事でやりがいを感じるのはどんなときですか?
何よりお客さんの喜(よろこ)ぶ顔を見たときです。こども向けのコンサートでは、聴きにきてくれたみんなの目がキラキラしていたり、お父さんやお母さんと楽しそうにコンサートのことを話す様子を見たときに、やりがいを感じます。コンサート中は舞台(ぶたい)の袖(そで)(=演奏する人が出てくるところ)にいますが、コンサートの始まる前や休憩(きゅうけい)中はお客さんの表情(ひょうじょう)が見られるよう、ロビーに出るようにしています。また、演奏者のみなさんの満足(まんぞく)した表情が見えた瞬間(しゅんかん)も、本当にうれしいですね。
―プログラミング・ディレクターのお仕事で大切なことは何ですか?
プログラミング・ディレクターは、演奏家をはじめ、ステージマネージャーや音響(おんきょう)、照明(しょうめい)のスタッフ、チケットの販売(はんばい)スタッフ、レセプショニストのマネージャーなど、たくさんの人と関(かか)わりを持つ仕事です。お互(たが)いに気持ちよく仕事ができるよう、日ごろからコミュニケーションを多く取るよう心がけています。
―どのような人がプログラミング・ディレクターに向いていると思いますか?
まずは、音楽が好(す)きで人が好きであること。それから、どのようなコンサートを作りたいか、想像力(そうぞうりょく)ゆたかに、シミュレーションができる人が向いていると思います。プログラミング・ディレクターは"形のないものを形づくっていく"仕事です。コンサートを通して、自分の中にあるイメージを形にできることが、この仕事の魅力(みりょく)だと思っています。
コンサートを一から作りあげるプログラミング・ディレクターはコンサートの産(う)みの親(おや)と言えるかもしれないね。今度コンサートを聴きに行くときは、どんな人がどんな思いでそのコンサートを作ったのか想像してみよう。