前回は、サントリーホールのホワイエ(ロビー)で見つけることができる、お酒にまつわるデザインや場所を紹介しました。サントリーホールをつくったサントリーグループは、もともとウイスキーやビール、ワインといったお酒の製造(せいぞう)や販売(はんばい)で大きくなった会社だからなんだよ。今回は客席から探(さが)せる、お酒にまつわるあれこれを紹介するね。
大ホールはとても天井(てんじょう)が高くて大きな空間だけど、見わたすと木がたくさん使われているのがわかるね。壁(かべ)はホワイトオークといって、ウイスキーを何年もの長い間ねかせておく樽(たる)に使われる木材(もくざい)と同じだよ。床や客席の背(せ)もたれの部分にもその仲間(なかま)のオーク材が使われているんだ。
2006席ある客席は、すべてステージの方をとりかこむように並んでいるよ。太陽の方にむかってだんだん畑でぶどうを育てるのに似(に)ているので、"ヴィンヤード(ぶどう畑)形式"とよばれています。これは有名な指揮(しき)者、カラヤンのアドバイスをとりいれたもので、音楽のひびきが太陽の光のようにすべての席にふりそそいで、演奏(えんそう)家と一体になって音楽を楽しむことができるよ。
客席のいすをもっとよく見ると、ヴィンヤード形式にちなんで、赤ワインのような色の生地にぶどうのふさをデザインしているのがわかるかな。みんなは"食べるくだもの"としてぶどうのことを知っていると思うけど、ワインやブランデーといったお酒の原料(げんりょう)に古くから使われてきたんだよ。
ステージの上には、10のシャンデリアが下がっているね。これは乾杯(かんぱい)のときによく飲まれるシャンパンやビールの、グラスから立ち上がる泡(あわ)をイメージしたものだよ。それから泡の一つ一つにあたる部分は、ぶどうの葉がモチーフになっているんだ。
お酒にまつわるものがたくさんあったね。今度コンサートで来る機会(きかい)があれば、紹介(しょうかい)した場所やデザインをぜひ見つけてみてね。コンサートの楽しみが広がると思います。