2025.02.12
すべてのサントリアンを繋ぐ! いち社員が発案した「サントリーサイン」の輪

さまざまなフィールドで活躍するサントリーの社員=サントリアンにスポットを当て、「挑戦」をテーマにインタビューしていくシリーズ企画。第12回目は、手話をベースにサントリーの社名を表す「サントリーサイン」プロジェクトを推進するサントリーホールディングス株式会社 コミュニケーションデザイン本部 お客様志向経営推進部の森下 利来彩(もりした りきさ)さんにお話を伺いました。
ひとりの発案から生まれた「サントリーサイン」
サントリーグループでは、2025年より手話をベースにサントリーの社名を表す「サントリーサイン」を公開。耳の聞こえない人だけでなく、多くの社員がいろいろな場面で「サントリーサイン」を使うことで、サントリーの一体感を高めていきます。
「サントリーサイン」を発案した森下さんはサントリーに入社して13年目。現在は、サントリーに寄せられるお客様の声をもとに、社員一人ひとりが「お客様志向」で考動することを目指して、グループ全体に啓発する業務に携わっています。
そんな森下さんが、「サントリーサイン」に取り組むきっかけとなったのは、上司とのOne on Oneでの会話がきっかけでした。
森下さん:私は幼少期から耳が聞こえなく、大学時代に手話を覚えました。手話の世界では、名前や社名を表す「サインネーム(手話によるあだ名)」というものがあります。しかし、サントリーではサインネームが定まっておらず、聞こえない友人にたずねられても答えられませんでした。
大好きな自分の会社の名前なのに……と入社当時から歯がゆい思いをしていて、つくるなら企業側から正式なサインをつくり、多くの方に知って使ってもらいたいと思っていました。
そこで、思いきって「手話をベースとしたサントリーの社名を表すサインを企業側からつくってみたい」と話したところ、上司が「ぜひ、やってみたら」と大賛成してくれました。もともとサントリーの「やってみなはれ」に惹かれて入社したのですが、実際に自分がやりたいことに大きく背中を押してもらえる。そんな風通しの良さを感じました。
ちょうどその頃、2023年春に「万博Action!」という社内公募で、サントリーとして万博を盛り上げ、レガシーとして残る取り組みを募っていました。森下さんは自由部門に応募し、採択されました。
社員たちの前で、「サントリーサイン」に関するプレゼンを実施。
森下さん:社内公募には担当業務に関係なく、個人で応募しましたが、上司や周りの人たちからたくさん協力してもらうことで、実現に向けて走り出すことができました。
グローバルで誰もが得られる「一体感」を生み出すサイン
「サントリーサイン」をつくるにあたっては、手話監修第一人者の江副 悟史(えぞえ さとし)さんに協力を仰ぎ、骨子を作成。「サントリーらしさ」をわかりやすく表現することにこだわって、第一案ができあがりました。
サントリーグループ全体で広く使われるサインとなるため、森下さんは経営陣やグローバルの上層部の前でもプレゼンすることになります。
江副さん(株式会社エンタメロード代表)との打ち合わせの様子。納得いくまでサインについて話し合った。
国内・海外の経営層・上層部が集まるカンファレンスにて、「サントリーサイン」に込めた想いを熱く発表。
森下さん:「サントリーサイン」は、耳の聞こえない人はもちろん、言葉が違う人たちとのコミュニケーションも活性化させるもの。例えば、記念撮影などで「サントリーサイン」を一緒に表現することで、より一層一体感が高められるものだと、その価値をお伝えしました。
プレゼンはとても緊張したのですが、上層部の方々も非常に共感してくれて、グローバルで広めていこうと言ってもらえました。
自身も聴覚障がいがある森下さんだが、上司・同僚ともに過剰な配慮がなく働きやすい環境と語る。
しかし、「サントリーサイン」の発表準備を進めていくなかで、大きな問題にぶつかります。当初考えていた案は、海外の一部地域で意図しない意味を連想させることが発覚したのです。
手話は国や地域によっても異なります。もちろん、事前にリサーチはしていましたが、現地で使われるジェスチャーまでは確認できていませんでした。手話をベースにつくっているとはいえ、グローバルを含めてさまざまな方が見ても問題がないか、「詰めが甘かった」と森下さんは振り返ります。
森下さん:グローバル企業であるサントリーにとって、誤解を生じさせるメッセージを発することはできません。急遽、別の案を考え直すことになりました。
サントリーらしさを追求した「サントリーサイン」
公式に発表する直前の撤回という事態を招いた自分に、森下さんは大きく落ち込みます。しかし、そんな森下さんを励まし応援してくれたのも、また周囲の仲間たちでした。
森下さん:社員の皆さんから、「正式発表前だから、やり直せてよかった」とか「新しいサインを楽しみに待っているよ」と声をかけてもらえたのが、本当にありがたかったです。「サントリーサイン」でグループの一体感を生み出すことへの強い想い、そして、それをみんなが待っていてくれることを励みに、新しいサインづくりにチャレンジしました。
今度は外部のリサーチ会社に、意図せぬ意味がないか幅広くチェックしてもらうことで、しっかりとリスクヘッジ。江副さんと二人三脚で考えた新しい案は、こぶしを左胸に置き、指三本を開きながらなびかせて、右顔の横にもってくるというものです。
一番左は「命」を表す手話。そこから水が流れる様子や社会に還元する流れ、そして輝く様子を表現。
森下さん:「サントリーサイン」のシンプルな一連の動きには、サントリーグループが目指している「人間の生命(いのち)の輝き」や、大切にしている価値観である「利益三分主義」、そしてコーポレートメッセージ「水と生きるSUNTORY」の「水」などの意味が込められています。
英語字幕バージョンはこちら:Suntory Sign Song (English ver.)
チャレンジを応援する「やってみなはれ」
2025年1月から正式に「サントリーサイン」を社外にも発表。新年の仕事始めには、オンライン会場を含めて国内社員が一堂に会する場で、改めて周知を行いました。
森下さん:社員が集まって写真を撮るときのポーズとしても、ぜひ使ってほしいですね。
今後は社内だけでなく、サントリーに関わってくださっている方々、サントリーのファンでいてくださる方々にも、この活動を知っていただきたいと思っています。
2025年の「賀詞交換会」では、改めて大勢の社員の前で「サントリーサイン」について紹介した。
各ブランドやスポーツチームのマスコットが「サントリーサイン」のポーズをとっているステッカーも制作。
「サントリーサイン」をきっかけに自然と「One Suntory」への一体感が生まれ、それが社員だけでなくお客様にも広がり、つながっていく──「サントリーサイン」には、そんなパワーが備わっています。
森下さんは、今回の経験でサントリーの「やってみなはれ」を実感したと言います。
森下さん:いち社員の小さな声が、グローバルを含むグループ全体に広がる「サントリーサイン」として実現したのは、「チャレンジを応援する」「失敗してもそこからやり直せばいい」というサントリーの「やってみなはれ」そのものです。
二児の母でもある森下さん。持ち前の「やってみなはれ」精神でグループ全体を動かすプロジェクトを実現した。
森下さん:私自身、小さい頃から耳が聞こえないことで「負けたくない」という思いで、さまざまなことに挑戦してきました。そんな私のチャレンジ精神をときに厳しく、ときにやさしく応援してくれる会社のおかげで、私自身も大きく成長できています。
※内容・社員の所属は取材当時のものです。

森下 利来彩Rikisa Morishita
サントリーホールディングス株式会社
コミュニケーションデザイン本部 お客様志向経営推進部
1989年生まれ、東京都出身。両耳補聴器を使用し、口話・手話でコミュニケーションをとる。武蔵野美術大学造形学部工芸工業デザイン学科を卒業後、2012年4月にサントリーホールディングス株式会社に入社。DEI推進室、サントリー株式会社 首都圏営業本部 営業企画部を経て、2022年からお客様志向経営推進部に所属。オペレーターの運営業務、お客様の声を分析してサービス向上・事業化する部署にて、サントリーグループ全社へお客様志向を推進する啓発活動などを担当。