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2024.01.01

Comadoの挑戦|クオリティオブライフの向上を目指して

Comadoの挑戦|クオリティオブライフの向上を目指して

「人間の生命の輝き」をパーパスに掲げるサントリー。その生命の輝きをクオリティオブライフの側面から支えてきたのが、サプリメントやスキンケア商品などを製造・販売するサントリーウエルネスだ。「セサミン」「ロコモア」などの人気商品を持つサントリーウエルネスだが、マーケティングとしては課題も抱えていた。新規顧客獲得のために積極的な広告宣伝を展開する一方で、既存顧客向けのコミュニケーションは強化する余地が大いにあった。

サントリーウエルネスのサプリメント。Comadoはこれらのリアルアセットをご購入いただいているお客様向けのサービスで、サプリメントの摂取とデジタルによる健康管理の両軸で、クオリティオブライフの向上を目指す。

「もっと既存のお客様向けに何かできないか。」

そんな想いでスタートした、既存顧客向け新規サービスの構想。主なターゲットは、セサミンやロコモアの主な購買層でもある、GS世代※ 以上だ。

※GS世代:ゴールデンシックスティーズ「黄金の60代」を意味する。50代までの現役世代が所得の伸び悩みが顕著となる中で、資産がそこそこあり、ゆとりが残る唯一の世代と言われている。

MEMBERS

小林 俊太郎プロダクトマネージャー

小林 俊太郎Shuntaro Kobayashi

サントリーウエルネス株式会社
サービス事業部

能仁 賢彦プロダクトプランナー

能仁 賢彦Toshihiko Nonin

サントリーウエルネス株式会社
サービス事業部

坂元 謙介テクニカルマネージャー

坂元 謙介Kensuke Sakamoto

サントリーウエルネス株式会社
DX推進部

河島 実咲エンジニア

河島 実咲Misaki Kawashima

サントリーウエルネス株式会社
DX推進部

戦略転換を支えるサービス開発と、それを実現可能にした「土台」

健康意識やリテラシーレベルはユーザーごとに異なる。サービスの利用・継続を促進するために、各レベルごとに実感アイテムに出会い利用するプロセスを構築し、ユーザー一人ひとりの生活を変えていく。

Comadoのサービス検討が本格的に始まったのは2021年の4月。だがその1年前である2020年4月には、サントリーウエルネス社内に専門のチームが立ち上がっていた。しかし当時の社内にはECの構築・運用経験はあっても、新規サービスの立ち上げ経験を持つメンバーはほとんどいなかった。

能仁:当時のチームメンバーはサービス開発の経験がほぼゼロだったので、「この進め方で合っているのか」すら分からない状態で検討をしていました。しかし社長である沖中も毎週ディスカッションに参加するなど、会社としての強いコミットを感じていましたね。特に印象的だったのが、沖中からの「100人以上のシニアからヒアリングをしてくるまでは、君たちの話は聞かない」と言われたこと。もう1人のメンバーと手分けして、気合でインタビュー動画を見ましたよ(笑)。このときのエピソードは今では笑い話ですが、これによってシニア層を深く理解することができ、その後のサービスデザインに大きく役立ちました。

こうして、手探りで始まった新規サービスの検討。社内の多様な知見や才能を活かしつつも、「新しい視点も必要」という沖中の判断により、デジタル人材のキャリア採用も強化された。2021年には経験豊かなメンバーがチームに新たに加わり、Comadoのサービス検討も次のフェーズへと向かう。目標は、既存顧客とのタッチポイントを増やし、サプリなどの購買継続率を高めることだ。

これまでの既存顧客との接点は、商品の同梱物やお問い合わせ時の電話、メールなどで、数字にすれば年数回程度にすぎない。それを顧客の日常に溶け込むような、接点を毎週持つことができるサービスにすることを目指していた。そうすれば自ずと「サプリメントを飲む」などの健康習慣が定着し、お客様とより長くお付き合いできる関係を築けるのではないかと考えていた。

しかしこうしたビジネス的な数値目標がありつつ、それ以上に「理念」を優先するのがサントリー。あくまでも数値を超えた価値創造に焦点を当てている。

小林:色々と戦略や目論見はありましたが、サービスを作るときは「商品を買ってもらう」ことは後回しにし、「お客様にとって良いサービスを作る」ということに集中していました。 今でも「当面はサービス内での商品販売はしない」という点を約束事にしています。そうした計算高いアプローチが入ると、ユーザーに価値を提供するはずのコンテンツや機能がブレてしまうので。

スピード感を重視したプロジェクト初期

積極的なキャリア採用で新規サービス開発の経験者も参画し、また社内エンジニアの多くのメンバーがこのプロジェクトに100%アサインされるようになった。

能仁:サービス開発の「玄人」が入ったことで、とにかくスピード感が変わりました。それまではアイデアとコンセプトの議論を延々と繰り返しがちで、コンセプト立案からワイヤーフレーム作成まで4ヵ月もかかっていました。でも体制が変わった後は、コンセプト立案からテストアプリ作成まで2ヵ月で進みました。何度も合宿をして、長時間のディスカッションでコンセプトや体験を練り上げました。開発側とも密にコミュニケーションをとることで、短期間での開発を成し遂げることができました。

そうして練り上げられたComadoの機能案は、かなり多機能なものになった。情報コンテンツ、フィットネス、健康習慣管理、歩数計。またオンラインサービスでありながら、「人とのつながり」が感じられるような工夫も取り入れた。さらにシニア向けサービスでありながら、特定のターゲット層を押し出さないデザインも大きな特徴だ。

小林:市場に存在するシニア向けサービスの多くは、そのターゲット層を前提に機能やデザインが調整されています。しかし、私たちの調査からは、シニア層もYouTubeやLINEなどの一般的なデジタルツールを日常的に使用していることが分かりました。そのためComadoはシニア層を他の世代と同様に、デジタルツールの習熟を前提にサービスをデザインしています。

Comadoが特に重視したのは、ユニバーサルデザイン。誰もが使いやすいサービスを実現するために、文字やボタンのサイズ、色のコントラストなどには細心の注意を払った。視覚障がい体験用メガネをかけるなどさまざまなユーザーの立場に身を置きながら、誰にとっても使いやすいサービスを目指して機能やデザインを採用していった。

視覚障がい体験用メガネをかけ、さまざまなユーザーの立場に身を置きながら、ComadoのUIを設計。

闊達なディスカッションを可能にした「空気」

大企業というと「縦割り」「社内調整」といったイメージを持たれがちだが、サントリー、とりわけComadoのチームはフラットで風通しが良いのが特徴。部署の壁を感じないのはもちろん、社外パートナーとも思ったことを言い合える関係で、服装もカジュアルなものでOKだ。

2014年に新卒でサントリーに入社した能仁は、こう語る。
「ベンチャー企業に在籍した経験はないのですが、ベンチャーっぽい雰囲気なのかなと感じています。こういう雰囲気は、『キャリア入社組の新たな文化や価値観を受け、良いと思ったものは取り入れる』土壌があったからだと思います。もちろん、キャリア入社のメンバーには『サントリーが持つ価値観や従来の良さ』をしっかり理解し、尊重してもらっています。」

Comadoプロジェクトは、2022年10月に社内で一次リリースを行った後、2022年末から少しずつ既存の顧客に案内していった。顧客からフィードバックを受けながらサービスの価値を検証し、より良い方向を目指していくという進め方だ。

坂元:機能面ではすべて整っていましたが、コンテンツの充実や運用の検証には時間が必要だと考えていました。Comadoプロジェクトは全社的に注目されていたので、経営層からも「胸を張れるプロダクトに」と言われていました。このような背景もあり、まずは限られたユーザーにサービスを使用してもらい、収集されたデータをもとにサービスを徐々にブラッシュアップさせる戦略をとったのです。

能仁:実際に使ってもらうと、予想通り多くの発見がありました。例えばリリース前はフィットネスが主要コンテンツだと考えていましたが、実際の利用データを見てみると、健康習慣が一番使われていて。こうした発見を踏まえて、アプリのホーム画面に表示するコンテンツや機能タブの並びを変更していきました。

サイロ化しかけた開発チームを再編制

Comadoの開発は、一次リリースに向けてウォーターフォール式で進めていたが、やりたいことが多岐に渡っていたため、検討に時間を要していた。
そこでコンテンツごとに開発チームを編成しなおし、各チームがアジャイルで独自に開発を進められるような体制へ変更。これにより開発スピードを大きく上げることができた。

一方で、一次リリースを優先した結果、システムはサイロ化。情報の連携がとれていない状態に、坂元をはじめとするチームメンバーは危機感を抱いた。

坂元:スピード重視でコンテンツごとに独立性を持って開発していたために、同様の機能が異なるコンテンツで重複して開発されてしまっていました。例えば「お気に入り」機能では、同一アプリ内なのに各コンテンツによってデータの保持方法が異なるというケースがありました。たくさんの機能をユーザーに提供し、何が効果的か検証を行う「0→1」のフェーズはそれでいいと思います。ただ長期的な成長を目指す「1→10」のフェーズでは、システムの整理・統合がより重要になってくるのです。

こうした課題を受け、今度は坂元を中心に開発チームの再編制が行われた。コンテンツごとのチーム編制をやめ、2チームに集約。一つは「長期的視点でシステム整理を行い、行動変容に繋がるコアな仕組みを作るチーム」、もう一つが「ユーザーの利用状況や問い合わせに応じて目の前の体験を改善するチーム」だ。

またチーム再編制に当たり、坂元は2022年4月に新卒で入社した河島を抜擢した。表面的な刺激に翻弄されず、物事の本質を深く掘り下げる能力と、目標達成のために必要な手段を的確に見極め実行に移す能力を備えていたというのがその理由だったという。

そして2023年11月、河島が担当した「振り返り機能」がリリースされた。その月の歩数や健康習慣が確認できるこの機能がリリースされたことで、サービス利用継続率が8%向上した。

河島:当初の企画案は、記事の閲覧数などのさまざまな履歴を見せる想定でしたが、「健康につながる行動を促す」という観点から、歩数や健康習慣の履歴に絞った方が良いのではと考えて企画の変更を提案しました。エンジニアであっても「言われたことをタスクとしてやる」のではなく、「アプリを通してユーザーに提供したい体験は何か」「そのために何を実現すべきか」を考えることが求められる環境です。Comadoのチームは、私のような若手の提案にもきちんと耳を傾けてくれ、全員で「あるべき姿」を目指せるチームだと感じています。

新卒エンジニアを支える研修・実践・1on1

2022年4月に新卒で入社した河島は、エンジニア未経験ながら、10月からComadoプロジェクトにアサインされた。実務において開発経験を徐々に積み上げ、他のメンバーのサポートなども受けながら、翌年の11月には顧客体験が向上するような機能を一人で開発し、リリースまで行えるような成長を遂げた。

研修やその後のサポートが自身の成長に大いに役立ったと、河島は言う。
「私は文系からデジタル&テクノロジー部門採用で入社しました。入社後約3ヵ月間の研修でJavaなどシステムの基本を学び、実際にアプリの開発も行いました。プロジェクトにアサインされてからは、実践しながら学ぶ日々でした。実務でコードを書くことは初めてだったので最初は戸惑うこともありましたが、メンターや先輩がサポートしてくれたので心強かったですね。週3~4回の頻度で1on1があり、その場で技術的なことを質問できるのはもちろん、本質に向き合う姿勢も学べたと思っています。『この機能で成し遂げたいことは何だっけ?』『何がユーザー価値だろう?』と考える姿勢を学べたことで、視座が引き上げられました。」

社会を変えられるサービスになることを目指して

2022年末の初回リリース以降、Comadoは段階的に既存顧客にサービスを紹介しながら利用者を着実に増やしてきた。2023年に入るとダウンロード数は当初目標の2倍を上回る勢いを見せ、順調にユーザー数を拡大してきている。

小林:前職では多くのデジタルサービスを手がけていました。「そういう企業にも胸を張れるサービスを、みんなの力で作りたい!」と心に決めていました。実際、匹敵するサービスになりつつあると思っていますし、開発力でも負けていないと自負しています。

能仁:パートナー企業に委ねるのではなく、コンテンツ一つひとつを社内で考えているんですよ。例えばオンラインフィットネスのプログラムは、蓄積されたデータをもとに私がジャンル・強度・時間の長さ・配信時間・対象の部位などを細かく設計しています。サントリーのビジネスの根底にはものづくりの精神がありますが、その考えをデジタルサービスにも適用させた結果、デジタル分野で長年の経験を持つ他社と比較しても遜色ないレベルのサービスを提供できたと自信を持っています。

今後についても、さまざまな企画や目標が立てられている。
足元では、200万人にもおよぶ既存顧客の中で、できるだけ多くのユーザーにComadoのサービスを利用してもらうこと。そのためにアプリという現在の形だけでなく、オフラインを含めたさまざまな形でサービスを届けることを検討中だ。

またComadoというサービスを通じて、社会に良い影響を与えていきたいという思いも強い。より健康に、より楽しく年齢を重ねられる社会。それは本人だけでなく社会全体に良い影響を与えるとプロジェクトメンバーは信じている。

人生100年時代、いくつになっても心も身体も健康で充実した生活を望むのは、人類共通の夢。Comadoはシニア世代の健康課題に対応することで、年齢を問わず「すべての人々の生命が輝く世界の実現」へ向けて、その歩みを進めている。

河島:年齢を重ねることについてポジティブにとらえようとしても、現実にはどうしても「負」のイメージが拭いきれない人が大勢いると思います。サントリーウエルネスでは毎月「家庭訪問調査」という、お客様に日々の生活や体の悩みを聞き、理解をする活動を行っています。お客様のお話を聞くと、年齢を重ねるごとに体力や社会とのつながりが減少し、「やりたくてもできないこと」「やれなくなってしまったこと」が増えていく人が多いのだと感じています。Comadoを通して「やりたいこと」「できること」「続けていること」が増え、明日が少しでも楽しみになる生活を作れると良いなと思っています。

坂元:Comadoを通じてシニア一人ひとりの行動が変われば、「年齢を重ねたら色々諦めないと仕方ない」といったシニアの自己認識も、また「シニアはこうあるべきだ」という周りからの認識も変わるはずです。そうやって社会全体を変えていくのが理想です。夢物語のように聞こえるかもしれませんが、こうした社会変革こそ私たちが担うべきだと思っていますし、サントリーはこういう夢物語に本気で取り組める会社だと感じています。

小林:サントリーでは、理想的で夢のようなビジョンを語っても、上から下までみんなが真剣に耳を傾けてくれるんです。僕や坂元のような転職経験のあるキャリア入社組にとって、これは非常に印象深い体験ですね。Comadoのプロジェクトも、最初は「山崎の蒸留所みたいなものだ」と沖中に言われました。つまり、成果を急がずに、顧客の利益を第一に考え、じっくり着実に価値を築くことが大切だということ。このアプローチによりComadoは単なるサービスを超え、ユーザーの生活に根ざした価値ある存在に成長しました。
今後も、Comadoはサントリーが持つカルチャーと新しい視点、そしてデジタルが融合することでさらなる進化を遂げ、新たな時代のニーズに応えていきます。

※内容・社員の所属は取材当時のものです。

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