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2023.01.01

目指すはRTDのグローバル・トップカンパニー

目指すはRTDのグローバル・トップカンパニー

日本のRTD※1 市場が拡大の一途をたどっているのと同様に、世界のRTD市場も数年前から平均で毎年約20%ずつ成長を続けており、2030年には市場規模が2倍以上に達するものと期待されている。そして日本で市場を牽引するサントリーは、近い将来世界市場でもトップの座を目指すべく、コアブランドである『-196℃』を軸にRTDをグローバル展開することを決定。デビュー戦の舞台をアメリカ、日本に次ぐ市場規模を持つオーストラリアと定め、「グローバルRTDプロジェクト」が始動した。

※1 RTD:「Ready to Drink」の略語で、そのまますぐ飲める缶チューハイや缶カクテル、ハイボール缶などのアルコール飲料のこと。

MEMBERS

高野 裕子-196ブランドマネージャー

高野 裕子Yuko Takano

サントリー株式会社
スピリッツカンパニー RTDグローバル推進部

佐藤 純グローバルRTD プロジェクトリーダー

佐藤 純Jun Sato

サントリー株式会社
スピリッツカンパニー RTDグローバル推進部

山元 瑠理商品開発

山元 瑠理Ruri Yamamoto

サントリー株式会社
スピリッツカンパニー スピリッツ商品開発研究部

井谷 航品質保証

井谷 航Wataru Itani

サントリー株式会社
スピリッツカンパニー 生産部

『-196℃』なら世界で勝てる。そう確信した理由とは?

オーストラリア仕様の『-196℃』の開発がスタートしたのは2018年。同国では当時、子会社のBeam Suntoryが「Jim Beam」「Canadian Club」ブランドでウイスキーベースのRTDを展開し好調だったが、果実の味を楽しむチューハイタイプのライトなRTDは手がけておらず、競合他社も含めてほぼ未開拓に近いジャンルだった。また、日本と違ってレモンサワーを飲んだ経験のない人が大半のオーストラリアで、『-196℃』が受け入れられるかどうかも未知数であった。
しかしチームには「『-196℃』なら世界で勝てる」という秘かな勝算があった。海外RTDのマーケティング戦略を統括する佐藤 純は、その理由をこう語る。


佐藤:
世界を相手に戦っていく上で何が一番の決め手になるかと考えたとき、それはやはり「ものづくり」における技術と知見だと思いました。その点に関しては、サントリーには100年を超える歴史の中で育んだ、ウイスキーからリキュール、スピリッツまで含めた多様かつ高度な技術の蓄積がある。そして『-196℃』は社内で脈々と培ってきた独自技術の結晶ともいえるコアブランドなので、世界第3位のRTDの成長市場であるオーストラリアで広く受容され、根付かせることができれば、ここを起点にどの国でも市場を拡げられると確信していたのです。

『-196℃』とは?

果実の種も皮もまるごと-196℃で瞬間凍結・粉砕・浸漬する独自の製法で、果実そのものの美味しさを実現した、日本のロングセラーブランド。なかでも『-196℃ ストロングゼロ』は、食事に合う缶チューハイとして新たな需要を創出し、国内のRTD市場を牽引している。

RTD市場の年成長率は、2015年から2017年で+4%、2017年から2020年で+21%と大きく伸長している。2030年のRTD市場規模は、2020年の約2倍になると予想されている。

グローバル戦略のカギは中味のローカライズにあり

果実の美味しさをまるごと封じ込める-196℃製法の技術をもってすれば、世界で勝てるRTDは必ず形にできると佐藤は考えた。ただ、アルコール飲料は嗜好品であり、好みや食習慣が違う異国の地に日本の味をそのまま持ち込んでも、暮らしに根付かせるのは容易ではない。現地の食生活を踏まえた中味のローカライズが重要な課題となってくるのだ。

その大役を担ったのが、開発畑で長年経験を積み、『-196℃』のフレーバー作りにも携わってきた山元 瑠理である。


山元:
食の文化や歴史、飲むシーンが違うのはもちろん、レモン一つとってもオーストラリア人と日本人がイメージする味は違います。そこで、現地で暮らす人たちの舌に馴染む味を創るため、何度もローカルスタッフと一緒に果実をかじったり、試作品をいろんな料理と合わせたりしながら、地道に酸味や甘味の表現を擦り合わせて着地点を探りました。

理想の美味しさを求めて。モニターによる試飲と意見聴取が繰り返し行われ、そのつど味を微調整しては現地のマーケターたちと議論を尽くした。こうした試行錯誤の末にたどり着いたのは、どのような答えだったのか。

多くのオーストラリア人にとって、果実のドリンクは甘いイメージがある。

山元:現地の方の多くは生搾りのレモンサワーを飲んだ経験がないので、レモン自体は酸っぱいと理解はしていても、レモンの飲み物=甘いレモネードしか知りません。そのため、彼らが長年経験してきた甘味に少し寄り添いつつも、-196℃製法ならではのしっかりしたレモンの果実味が感じられて、しかも現地の食生活にマッチする最適なフレーバーを追求しました。

そしてスタートから3年。
『-196℃』ブランドにふさわしい中味が、ついに完成した。

Beam Suntoryテクニカルディレクター Sean Cook

オーストラリアの『-196』は日本の商品をベースに、アルコール度数を少し変え、味にオージー好みの微妙なニュアンスを加えました。商品のローカライズに際しては、製造やオペレーションだけでなく、感覚的な観点からも現地の要求を満たすよう日本のスタッフと密に連携しています。 私自身初めて飲んだとき、「信じられない程爽やかだ!」と思いました。暑い地域が多いオーストラリアでは、スッキリした飲み心地が大切。1缶単位ではなく複数パックで購入されることが多いので、1本、2本、3本......と続けて飲めるリフレッシュ感がとても重要なのです。
その点を含めても、オーストラリア人に対し自信を持って「『-196』はオージーにピッタリだ!」と勧めることができます。日本のように居酒屋では飲めないけれど(笑)、新しいものが好きな20代~30代を中心にバーベキューなどで人気があります。

何をもってサントリーブランドと言えるのか?

中味のローカライズと並んで、プロジェクトの今後を左右するもう一つの重要な課題があった。製造から販売までまるごと現地に委託する「協働モデルの進化」である。
なかでもサントリーブランドとして“譲れない水準”での品質保証の実現は、この先製造委託をグローバルに展開していく上で生命線ともいえるテーマであり、社内では前例のないチャレンジだった。
ブランドの信頼に関わるこのリスキーな難題に取り組んだのが、今回の委託先Beam Suntoryで海外トレーニー経験を持つ、開発と品質保証のエキスパート井谷 航である。


井谷:
何をもって「サントリーブランドを守る」といえるのか? そこを具現化するのが一番の悩みでした。

膨大かつ厳密な日本仕様の基準をそのまま導入するのは非現実的と考えた井谷は、Beam Suntoryが日頃使用している技術マニュアルやチェックシート、ガイドライン等を細部まで徹底的に読み込んだ上で、品質保証上絶対に譲れない不足点を補うという“逆転の発想”で事に臨んだ。

井谷 : 腹落ちしてもらうことが何より大切なので、トレーニー時代の人脈と経験を活かしてローカルスタッフと本音で議論を重ねたほか、責任者を日本の工場に招いて品質工程の厳しさを体感してもらいました。

こうした地道な努力を積み重ねた結果、両者合作による品質保証の技術文書が完成。
「サントリーブランドを守る」を成果物として具現化させたのである。

井谷:議論を通してサントリーの品質に対する考えと姿勢を共有できたので、信頼関係がより深まったと感じています。逆に彼らの合理的な発想から学んだ点も多々ありました。

「日本」という文脈を活かす独自の世界観で興味を喚起

中味の開発と生産体制の構築が進む中、同じく水面下では市場の調査と分析、ネーミングの選定、容器デザインの創出、プロモーション戦略の策定といったブランドマネジメントの実務が進められていた。
その原動力として、山元と二人三脚で自らも中味の開発に深く関わりながら、現地マーケターの活動を3年越しできめ細かくサポートしてきたのは、国内市場で幾つもRTD商品のマネジメントに携わってきた高野 裕子である。


高野:
オーストラリアは世界有数の親日国ですが、調査の結果、日本を訪れた際に『-196℃ ストロングゼロ』を飲んで、好印象を抱いている方が意外に多いと分かりました。そこで、「日本」という文脈を活かす独自の世界観を随所に打ち出し、市場にインパクトを与えて興味を喚起する戦略を採ることにしたのです。

法規の関係でSTRONGの表記が使えなかったため、ネーミングは製法名をストレートに表す『-196』で決定。パッケージは日本同様レモンの断面と氷のシズルカットで果実感を鮮烈に訴求し、カタカナの「ダブルレモン」を目立たせ“日本感”を表現した。

そしてTVCMでは、レモンを「WHOLE(まるごと)」「FREEZE(とうけつ)」「CRUSH(ふんさい)」する『-196℃』製法の特長を、相撲取りやサムライをモチーフにした遊び心のある映像表現で訴求した。こうしたアイデアはすべてローカルスタッフに任せた結果生まれたものだ。

相撲取りやサムライをモチーフにした遊び心のあるTVCM



高野:
私の仕事は『-196℃』のブランドコンセプトをしっかりと伝え、教育し、理解を深めてもらうこと。後は信頼して委ねたことで一体感が生まれ、その結果ローカライズがうまくいったと私は思っています。

2030年にはグローバルRTD市場でNo.1に

2021年5月、佐藤ら日本のメンバーとローカルスタッフの期待を担って、オーストラリアで『-196』が発売された。
マスメディアとWEBメディアでの広告投下、店頭での販促活動、プレゼントキャンペーン、大学キャンパスでのサンプリング※2 といったマルチなプロモーション展開も功を奏して、発売開始直後から順調に販売が加速。さらにさまざまなSNS上で「おいしい!」という感想が物凄いスピードで拡散され、途中で品切れを起こすほど急激に売上が伸びた結果、初年度の販売数量は当初目標の6倍にも達した。

※2 オーストラリアの飲酒年齢は18歳以上

『ー196』は、競合商品A, B, Cに比べて、好調に売れ行きをを伸ばした。


その後、新たに白ぶどうを使った「ダブルグレープ」を発売。さらには9月から中国への進出もスタートさせ、『-196℃』ブランドで2種のフレーバー(レモン・桃)を一気に投入。好調に売れ行きを伸ばしている。オーストラリアと中国での成功で勢いづいた「グローバルRTDプロジェクト」は、これからどこへ向かっていくのか。

2020年実績は約1,000億円。2030年に3,000億円を達成し、RTDのグローバル・リーディング・カンパニーとなることを目指す。


「2030年にはグローバルRTD市場でNo.1になるという目標を掲げており、そこへ着実に近づいていると思っています」と、リーダーの佐藤は自信をのぞかせる。

佐藤:サントリーは未知の市場や商品にどんどんチャレンジできる社風ですし、自社のブランドや商品にプライドを持てることが強み。我々のものづくりの技術やマーケティングのノウハウは、絶対世界に通じると自負しています。グローバル志向がある人なら、語学力の有る無しに関わらず、やり抜く意志さえあれば大丈夫なので、臆せずチャレンジしてほしいですね。

※内容・社員の所属は取材当時のものです。

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