2019.01.01
「角ハイボール缶」の立役者。飲み方文化を創造するマーケティングの裏側

「ハイボール」を気楽に缶で飲むスタイルを目指して

2009年に「ハイボールブーム」が起こり、「角瓶」の売上が伸びていく最中の2011年に、私はウイスキー部に異動し、「角ハイボール缶」の担当になりました。「角ハイボール缶」は「ハイボールブーム」の真っ只中の2009年に発売され、積極的な展開を図っていました。しかし、私が担当する頃は、やや伸びに陰りが見え始め、正直、社内的には「少しブームが去った商品」と位置づけられていたように思います。
そんな状況のなかで、ブランド担当としての私の仕事がスタート。お客様の声を聞くなかで、「絶対に缶だからこそ、伝えられることがある」という確信が芽生えていきました。「角ハイは居酒屋では飲むけど家では飲まない」というお客様が多くいましたが、その理由は「作り方がわからない」「瓶1本買うのはハードルが高い」ということでした。そんな方にこそ、気軽に家で角ハイボールを楽しんでいただくための「『入口』的存在」として、缶を提案する余地はまだまだある!と感じたのです。

再度ブランドのコンディションを上げるべく、リニューアルを伴うリマーケティングをすることに。最も苦労したのは、「歴史が長い角瓶のブランド」の「缶製品」として、「角瓶」のブランド資産を守りながら、どこまで新しい提案ができるか。手軽に・身近に感じてもらい、「一部のお酒好きの人だけが飲むお酒」というイメージを変えたい。中味担当やデザイナーと議論を重ね、どこまで変えていいのか?と悩む日々が続きました。
そして、迎えたリニューアルは大成功! 昔からのお客様も離れることなく、新しいお客様も獲得することが出来ました。
"ハイボールの一つの楽しみ方として、缶で飲むスタイルを家庭内でも定着させたい"。
多くの酒類品が「ビール」や「チューハイ」など缶で気軽に飲むスタイルになっている時代。当たり前のように、お酒が好きなご家庭の冷蔵庫に「角ハイボール缶」が冷えて待っている。
──そのような世界まではまだまだ道半ばですが、実現する日を夢見て、日々頭に汗をかきながら提案していきたいと思っています。
※内容・社員の所属は取材当時のものです。

菊池 友里Yuri Kikuchi
サントリー株式会社
ウイスキーブランド部
2005年 ビール事業新商品開発グループに配属され、ビールの新商品開発に携わる。
2006年 広域営業本部SD(セールス・ディベロップメント)推進グループに異動、大手流通業への販促提案や商品提案を推進する。
2011年 ウイスキーブランド部に異動になり、角瓶・角ハイボールのブランドマネジメントを務める。