矢澤 薫Yuki Yazawa
サントリーシステムテクノロジー(以下SST)の業務は、「消費者向け」と「社内向け」の二つの大きなカテゴリーに分かれています。私が所属しているビジネスプロセス改革部は、主に「社内システムの革新・改善」を担っており、その中で私は、2030年に向けたIT部門のビジョンに沿って、現在「共通基盤としてのシステム構造はどうあるべきか」という重要な問題に取り組んでいます。例えば社内システムのログイン認証において、顔認証や指紋認証など利用者志向のデザインを検討するなど、未来のあるべきシステムの形を模索しています。
大学時代の研究は理系でしたが、IT専攻ではありませんでした。ただ、ロジカルで深く考えられる仕事がしたいと思い、就職活動ではIT系を中心におこなっていました。
その中でも、「システム利用者の姿が目に見えるところで働きたい」という思いから、サントリー を選びました。
実際SSTにいると、システムを利用しているサントリーグループ社員とのやり取りが日常的に発生します。同じグループの社員と言えども、ユーザーの声を直接聞くことができ感謝してもらえるというのは、仕事の大きなやりがいになっています。
前述した通り私の大学での専攻はIT関連ではありませんでしたが、同期のなかにはIT関連の研究をしていた人もいたので、入社初期のスキルにおいては彼らより劣っていたことは間違いありません。研修を受けた際も、正直なところ内容に追いつくのに苦労したこともありました。
しかし研修後の実務で、「まずはプログラムを書いてみる」という貴重な経験を積みました。駆け出しエンジニアとして、実践でのプログラミングは非常に重要だったと今も感じています。開発を協力会社に依頼する場合でも、自分でプログラミングの経験がないと「実装の可否」や「スケジュール感」などの判断も難しくなってしまいます。現在でも新人育成の一環として実践でのプログラミングがありますが、この方針は今後も続けてほしいですね。
サントリー製品をお取り扱いいただいている卸店様への「支払システムの要件定義」を担当した時のこと。このプロジェクトは関係者が10人以上いて、「本当にやりたいことは何か」「意思決定の軸は何か」を擦り合わせる過程が非常に困難でした。その結果、コンセプト立案だけで1年も費やしてしまいました。ただ要件定義については、「スピードよりも正確さ」が重要だと考えています。共通認識を持たずに次のフェーズへ進むと、後になって新たな要求が出てきて開発に手戻りが発生してしまうからです。手戻りが発生すれば、その分だけ時間もコストもかかります。
このプロジェクトでは、共通認識を構築するために全員で「ウォークスルー」をおこないました。業務フローとシステムの動きを一連の流れで提示することで、システム完成後の状態を視覚化しました。このシステムはサントリー製品を取り扱う全国の卸店様が関わるもので、取り扱う金額も莫大だったため、時間をかけて関係各所の認識を深めることができたのは非常に有意義だったと感じています。
最近では、DXの意識もかなり社内に浸透してきたと感じています。私が入社をした時は「ITはIT部門で」という雰囲気がありましたが、現在は営業や物流など他部門から「この課題をITを活用して解決できないか」と自ら考える文化が根付いてきました。今後、この動きは更に広がるだろうと考えています。その時、SSTに求められるのは「ビジネスそのものを変えるようなシステム」「汎用的に使えるようなシステム」といった大きな仕事になるでしょう。そうなった時に向けて、これからも実務を通じて必要なスキルと経験を身に付けていきたいですね。
* 内容・社員の所属は取材当時のものです。
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