INTERVIEW.12
JUNYA
TANAKA
PROFILE
田中 淳也
サントリーシステムテクノロジー株式会社
グローバルシステム部 先端技術グループ
2014年4月入社
CAREER
大学院にてシステムデザインを学んだ後、2014年に入社。サントリーシステムテクノロジーの基盤サービス部を経て、現在はグローバルシステム部先端技術グループにて、実証実験を通じたケイパビリティ強化、生成AIを活用した業務効率化などを主導。その傍らサントリー社内でのIT研修や勉強会で講師も務める。
CHAPTER.01
「手触り感」と「ユーザーとの距離」が魅力
サントリーシステムテクノロジー(以下SST)はITやデジタルを通じて、サントリーグループの多岐に渡る事業を支援していますが、お酒やソフトドリンクのようにお客様と直接の接点がある仕事ではないので、社名を聞いたことがない人も多いかもしれません。私がSSTを知ったのも、後輩からの紹介がきっかけでした。SSTの企業説明会へ足を運んで話を聞き、エンジニアリングが好きで「自分で実際手を動かしたい」という私の志向に「自分たちでシステムを作って、試して、事業部に提案する」という文化が非常に合致していると感じました。
現在でもその文化は変わっておらず、メーカーのIT部門というと外部のITベンダーに依頼することが一般的ですが、SSTでは自らプロトタイプを作成し、早い段階から事業と共に課題解決を図っています。また「やってみなはれ」の精神のもと、新しい挑戦を応援してくれる雰囲気があり、社内の新規アイデア提案プログラムなども通じて新規事業創造も行っています。
技術者としての役割を担う中で、ユーザーとの距離の近さにも魅力を感じています。私たちのユーザーはサントリーグループの社員です。サントリーのフラットな社風のおかげで、グループ内の密な連携が良い意味で常態化しています。グループ内のさまざまな部門との直接的なコミュニケーションにより、ユーザーニーズやフィードバックを受け取り、それをシステム開発や改善に生かすことができます。このようなユーザーとの密なコミュニケーションは、より効果的なシステム開発につながると私は考えています。
CHAPTER.02
約2万人が日常的に利用する社内ネットワークの刷新
「サントリーグループの社員がユーザー」という観点で言えば、私たちの仕事の特徴としてそのユーザー数の多さが挙げられます。
例えば私が担当した社内ネットワークの刷新プロジェクトでは、国内のグループ全社員が利用するため、ユーザー数は約2万人にものぼりました。このプロジェクトはグループ内のほぼ全業務に影響を及ぼす規模で、もしネットワークが機能しなくなったら一大事です。
プロジェクト期間は3年に及び、業務の都合上、夜間作業を実施したこともありましたが、プロジェクトメンバー全員で力を合わせ、予定通り業務を完遂することができました。現在もネットワークは安定的に稼働し、サントリーグループ全体の業務を支えています。
先端技術グループでは生成AIの活用検討なども
基盤サービス部を経て、2022年に先端技術グループへ異動しました。ここでは、先端技術を業務にどのように活用できるか、さまざまな実証実験をおこなっています。最近では、サントリーが開発した生体データ計測デバイス「XHRO」やスマートリング「Oura」を使い、生体データの解析・分析を進めています。
特に「Oura」を使った実証実験では、ブロックチェーン環境の構築と運用を担当し、対改ざん性が高い情報管理システムという点に着目してブロックチェーンでの環境構築を進めました。構築を進めるなかで、分散管理を強みとしたブロックチェーン技術は、一社単独で利用・運用するには向かないということも見えてきました。これはブロックチェーンの特性を理解し、その機能を最大限に活かすためには、複数の組織間での共同作業やパートナーシップが重要であることを意味しています。ブロックチェーンの技術調査としても得るものが大きい取り組みでしたね。
実用化間近な先端技術として、ChatGPTの社内展開に取り組んでいます。といっても、ただChatGPTをそのまま導入するだけでなく、実際の業務プロセスにどう組み込むかも検討しています。特に研究における試験計画書や同意説明文などの自動生成は、実用化まであと一歩というところまで来ています。例えば、現状、関係者向けの文書作成を都度実施しており、非常に非効率ですが、関連ドキュメントを参照して文書の自動作成ができれば、業務の効率化が大きく前進すると考えています。サントリーでは多岐に渡る研究がおこなわれており、各研究で複数の試験が実施されるのが常ですから、インパクトはかなり大きいだろうと思います。
また生成AIに関連して、このような実証実験のほかにも、サントリー社内での勉強会における講師も務めています。自分では「ITタレント活動」と呼んでいますが、グループ社員が先端技術に興味をもつことで、各部署から技術活用のアイディアが生まれてくるのではと考えています。
CHAPTER.03
デジタルは「当たり前」になっていく
コロナ禍を経験したことで、ウェブ会議やテレワークが日常風景となり、デジタルツールやDXへの意識が自然と高まっています。一方でデジタルやDXというキーワードだけが先行し、万能解決策のように誤解されている側面もあると感じています。デジタルを前提とした解決策は有効ですが、その活用のためにはデータや基盤技術が欠かせません。
自分としては、先端技術グループの一員としてこの変化をサポートし、ガイドする役割を果たしたいと考えています。理解を深めるための教育やワークショップの提供、実証実験の結果を共有することで、社内のデジタル化への取り組みを加速させることが目標です。これにより、単に新しい技術を導入するのではなく、それらをサントリーのビジネスに最適化し、真の価値を提供できるよう努力していきたいと思います。