INTERVIEW.11
AKIRA
SHIINA
PROFILE
椎名 瑛
サントリーシステムテクノロジー株式会社
グローバルシステム部
2014年入社
人文学部出身
CAREER
大学の専攻はデジタルとは無縁だったが、参加したSSTのインターンシップで潜在的なニーズを形にする面白さとITの可能性を感じ、2014年入社。初任配属先は「最も激務かつ業務範囲が広い部署」と聞きつけた基盤サービス部(大阪)希望した。 初年度ITインフラ運用を担当を経て、2~3年目はサントリーが利用するメールサービスのクラウド化に従事。アジアの海外各社の要件定義から移行設計、実行までを一人で担当した。翌年サントリーの実業務に近い位置でITインフラサービスに従事。(※SST=サントリーシステムテクノロジー)
CHAPTER.01
M&Aや新設ラッシュが続いたアジア・太平洋エリア。
海外各社のITインフラサービス支援が課題に
5年目の時には、東南アジアを中心にサントリーグループにシェアードサービス※・システムを提供するSuntory Beverage & Food
Asiaに出向し、シンガポールに駐在していました。20人を超える所属部署のなかで日本人は4人。自分が最年少でした。担当はAPAC(アジア・太平洋エリア)に展開するグループ各社のITインフラ全般のサポートです。サントリーによる2000年代以降の活発なM&Aや数多くの新会社設立により、APACでのグループ会社は現在約30社にのぼります。IT化のスピードや法整備も国・地域ごとに異なるため、各社ごとにきめ細やかなサポートが求められています。
※人事・経理・総務といった(会社や部門にまたがって)共通する間接業務を集約したもの
最初のミッションは各社バラバラなITインフラの標準化。悩んだ末、インフラありきのアプローチを180度転換
サポートを担当する30社のITインフラ基盤の状況を一言でいうなら「バラバラ」。各社ごとで異なるIT基盤をそれぞれで運用する構造ができあがってしまっていました。
日々の運用やその組織、サービス、風土まで1社ごとに違う。そのため会社間でのやり取りに無駄なコストやストレスが生じています。さらに各社を支援しているシステムサポート会社のシステムさえ最先端とは言い難い。自分に課せられたミッションは、この各社バラバラなITインフラ基盤をAPAC全体で標準化し、グループの業務品質の向上を達成することです。
最初はITインフラ基盤を全て規定のものに変更します、と説得する気でいました。しかし状況を知るほどに「現地のビジネスに適した業務アプリケーションを動かすために、それに特化したシステム運用を行っている」という現地なりの合理性も見えてくる。
全員にとってより良いインフラサービスの標準化とは、悩んだ末に、現地のビジネスに寄り添う提案も取り入れていくべきだという思いに至りました。規定システムへの統一一辺倒ではなく、柔軟な標準化路線への転換です。例えば、ある会社は業務への支障を考慮しインフラシステムは変更しない。ただし、ビジネス品質の向上をはかるための代替案は提示する、といった具合に状況に応じた最善の選択肢を提示する形で展開していこうと戦略をたてている最中です。
APAC全域のITインフラ標準化のゴールはナレッジマネジメントの共有。現地だけですべて完結する理想を目指して
APACエリアのITインフラサービス標準化プロジェクトにおいて達成していくべきことのプライオリティは、第一にセキュリティ強化、第二にオペレーション品質の向上(業務の効率化)、第三にナレッジマネジメント(知識の共有)と設定しています。
会社の信用に関わるので、ITセキュリティ強化は喫緊の課題です。ようやく各社とそのステークホルダーを含めたIT利用状況を把握できたので、具体的な施策提示と実行に取り組んでいきます。
ITセキュリティのあり方・考え方を設計し、それを実装したとしても、それが普段の業務の重荷になってしまっては意味がありません。定着をはかり、全ての国や部門でオペレーションの品質を高めていくための取り組みが必要です。
最終段階であるナレッジマネジメント基盤の構築にあたっては、個人に拠らない運用品質を担保し、各社の組織力、地力の向上を目指します。自分がいなくなっても現地スタッフだけで運用していける環境を整え、業務のローカル化をはかることが最終目標です。
CHAPTER.02
どんな環境下でも必ず価値を出す。海外は絶好の自己鍛錬の場。君も「きてみなはれ!」
これまで蓄積したインフラや基盤システムの知識とスキルは、自分の最大の強みです。いわば国や地域に関係なく「どんな場所でも通用するポータブルスキル」ですし、これは「どんな環境下でも価値を出す」という自分の理想につながります。
海外では文化の違いもあり、日本では当たり前のビジネス習慣やプロセスも実績がないことがしばしば。「きっちりとしたスケジュールがないまま、システム設計プロジェクトを実行する」状況に愕然としたこともあります。常識が通用しない環境下で、どうやったら目標を達成できるか。自分の意図を皆にどう伝え、動かしていくか。ベースにある文化の違いまで考え抜いて戦略をたてることは、海外ならではの経験です。この経験がSSTが世界に打って出る先駆的モデルになれば嬉しいです。
後に続いてくれる後輩や就活生には「考えるより前に海外に出てみろ」と言いたい。予想をくつがえすことが起きるのが海外。価値観を一変させる苦労あり、期待以上のやりがいあり、絶対に損はない。とにかく若いうちに海外に「きてみなはれ!」