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第28回 芥川作曲賞は、8月26日(日)午後3時から東京・サントリーホールでの演奏会による公開選考の結果、坂田直樹氏作曲の「組み合わされた風景」に決定しました。同氏には、賞状とあわせて賞金50万円が贈られました。
芥川作曲賞は、戦後のわが国を代表する作曲家・芥川也寸志氏(1925~1989年)の功績を記念して、サントリー音楽財団(現・公益財団法人 サントリー芸術財団)が日本作曲家協議会の支援を得て1990年4月に創設したものです。故人の深い音楽愛、明晰な音楽観と音楽の振興によせられた熱情を追慕して、わが国の新進作曲家のもっとも清新にして将来性に富む作品を対象に、演奏会形式により公開選考を行うという、作曲賞としてはわが国で初めてのユニークな試みとなっています。なお、この日、公開選考に先だって、第26回受賞者・渡辺裕紀子氏の受賞記念サントリー芸術財団委嘱作品「朝もやジャンクション」の世界初演が行われました。
▽第28回芥川作曲賞
坂田直樹(さかた・なおき)
<贈賞理由>
多彩な音響が強固な骨格に支えられた秀作。長くしなやかな持続性もきわめて魅力的で高い評価を得た。
<略歴>
1981年生まれ。2007年愛知県立芸術大学、2008年パリ・エコール・ノルマル音楽院をそれぞれ首席で卒業。2013年パリ国立高等音楽院のステファーノ・ジェルヴァゾーニのクラスを修了。2014年IRCAMにて研修を受ける。フランス著作権協会賞、第36回入野賞、2017年度武満徹作曲賞第1位、第66回尾高賞など受賞多数。現在はパリにて活動を行い、フランス・ミュジーク、フランス文化省などから委嘱を受けている。
第28回芥川作曲賞 選考経過
1.2018年3月5日(月)東京・赤坂のANAインターコンチネンタルホテル東京において、譜面・録音による第1次選考会を開催。2017年1月1日より2017年12月31日の間に国内外で初演された日本人作曲家の管弦楽作品を対象に選考し、芥川作曲賞にふさわしい清新にして豊かな将来性を秘めた以下3作品を「第28回芥川作曲賞」の候補に選定した。選考委員は、鈴木純明、野平一郎、菱沼尚子の3氏。(50音順)
◆岸野末利加:シェーズ・オブ・オーカー(2017)
初演=2017年6月9日 東京オペラシティ コンサートホール
Music Tomorrow 2017
◆久保哲朗:ピポ - ッ - チュ ~パッセージ、フィギュア、ファンファーレ~ (2017)
初演=2017年6月2日 東京藝術大学奏楽堂
藝大21 創造の杜2017「藝大現代音楽の夕べ」
◆坂田直樹:組み合わされた風景(2016-17)
初演=2017年5月28日 東京オペラシティ コンサートホール
2017年度 武満徹作曲賞本選演奏会
(50音順)
2.2018年8月26日(日)サントリーホール大ホールにおいて、上記3曲を公開演奏(指揮=杉山洋一、ヴァイオリン=山本佳輝、バス・クラリネット=佐藤芳恵、テューバ=田村優弥、ピアノ=奥村志緒美、管弦楽=新日本フィルハーモニー交響楽団)。演奏終了後、ステージにおいて、鈴木純明、野平一郎、菱沼尚子 3選考委員による公開討議(司会=伊東信宏)を行った結果、「第28回芥川作曲賞」受賞曲に坂田直樹氏の作曲による「組み合わされた風景」が選定された。
3.公開選考終了後、直ちに同ステージにおいて贈賞式が行われ、サントリー芸術財団代表理事 堤 剛より賞状、賞金(50万円)が授与された。
なお、坂田直樹氏にはサントリー芸術財団より交響管弦楽曲の新作が委嘱され、完成後に同財団主催のコンサートで初演される。(委嘱料100万円)
以上