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公益財団法人サントリー芸術財団(代表理事・堤 剛、鳥井信吾)は、わが国の洋楽の発展にもっとも顕著な業績をあげた個人または団体に贈る「サントリー音楽賞」の第49回(2017年度)受賞者を読売日本交響楽団に決定しました。
●選考経過
2018年1月8日(月・祝)ANAインターコンチネンタルホテル東京において第一次選考を行い、候補者を選定した。引き続き2月22日(木)ホテルニューオータニ東京において最終選考会を開催、慎重な審議の結果、第49回(2017年度)サントリー音楽賞受賞者に読売日本交響楽団が選定され、3月30日(金)の理事会において正式に決定された。
●賞金 700万円
●選考委員は下記の6氏
礒山雅(2月22日選考会欠席)・伊東信宏・長木誠司・楢崎洋子・沼野雄司・松平あかね(敬称略・50音順)
<贈賞理由>
読売日本交響楽団は、ゲルト・アルブレヒト、スタニスラフ・スクロヴァチェフスキを継いでシルヴァン・カンブルランが常任指揮者に就任してからも演奏能力を飛躍的に向上させ、国際的な視点からのレパートリー作りを励行し、世界的に見ても第一級のオーケストラへと成長して、日本のオーケストラ界をリードする存在となった。
2017年も、シモーネ・ヤングやファビオ・ルイージ、下野竜也、鈴木秀美、飯守泰次郎などの指揮者や、ギドン・クレーメルといったヴァイオリニストとの共演で、定期演奏会や特別公演で意欲的かつ優れた演奏を聴かせた。また、カンブルランとはメシアンの《彼方の閃光》とオペラ大作《アッシジの聖フランシチェスコ》(日本初演)を演奏会形式で3回取り上げて破格の成功を収めた。
《アッシジ》は20世紀オペラの金字塔かつ巨峰として、編成も規模も巨大かつ長大な作品であるが、読売日本交響楽団は充実した事務局体勢の下、十分な練習時間を積み、万全の準備で初演に臨んで、独唱・合唱とも一体となった陶然とした時空間を作り上げた。メシアンのカトリック的宗教理念を超え、現代作品という敷居も超えて、多くの聴衆にその普遍的な真意を伝えた功績は大きい。
演奏会のみならず、同楽団はリチャード・ジョーンズ演出による二期会の《ばらの騎士》では甘く洒脱な演奏を、新国立劇場の《神々の黄昏》では飯守泰次郎指揮下に重厚で逞しい音楽を聴かせ、また日生劇場でのドヴォルザーク《ルサルカ》公演でも、山田和樹の棒で豊かな詩情を表現するなど、オペラの舞台公演においても多彩な活動で2017年の音楽界を席巻した。
以上の理由から、ここに到るまでの経緯をも含めて、第49回サントリー音楽賞を贈賞する。
<略歴>
読売日本交響楽団
1962年、クラシック音楽の振興と普及のために読売新聞社、日本テレビ放送網、読売テレビのグループ3社を母体に設立された。
アルブレヒトやスクロヴァチェフスキなど、世界的なアーティストが歴代の常任指揮者を務めてきた。2010年4月からフランスの名匠シルヴァン・カンブルランが第9代常任指揮者に就き、活発なコンサート活動を行っている。2015年3月には、12年ぶりとなる欧州ツアーをカンブルランの指揮で行い、楽団の実力を欧州の地に刻印した。2017年11月にはメシアンの歌劇「アッシジの聖フランチェスコ」公演(全曲日本初演)を行い、『音楽の友』誌の「コンサート・ベストテン2017」で第1位となるなど絶賛を浴びた。
現在、名誉顧問に高円宮妃久子殿下をお迎えし、サントリーホールや東京芸術劇場などで充実した内容の演奏会を多数開催している。
このほか、社会貢献活動として、公益財団法人「正力厚生会」のがん患者助成事業に協力する「ハートフル・コンサート」や、小中学校での「フレンドシップ・コンサート」も行っている。また、エルダー楽員によるアンサンブル「サロン・コンサート」など、音楽文化のすそ野拡大にも地道な努力を続けている。
《定期演奏会》などの様子は日本テレビ「読響シンフォニックライブ」で放送されるほか、インターネットの「日テレオンデマンド」でも動画配信され、好評を博している。
ホームページ http://yomikyo.or.jp/
以上