(ご参考)運営委員コメント
■審良静男委員
先進国と比較しての研究費の相対的な低下、応用研究への重点化、短期時限付き研究者ポストの過剰な導入、研究環境の近代化の遅れなど、日本の研究状況は基礎研究志向の若者にとって極めて厳しい状態にあると言わざるを得ない。これまでの優れた日本の基礎研究を今後維持発展していくためには、若手研究者が自由な発想のもと研究費の心配をせずに、ある一定期間研究に専念できる環境が必要である。今回のサントリー生命科学財団による年1,000万円5年間支援の新たな若手支援は、これからの日本の科学のリーダーとなりうる若手研究者に活力を与えるものと確信する。 |
■浅島誠委員
サントリーホールディングス株式会社の寄附を受け、公益財団法人サントリー生命科学財団が、この度、生命科学の若手研究者支援について今までとは異なる新しいプログラムを作られたことに深く敬意を表します。最近の研究費はとかく出口指向で、また色々と制限がついていますが、この新しいプログラムは若手研究者に1,000万円、5年間、自由に基礎研究分野で独創的な研究に打ち込み、我が国の生命科学分野の将来を担う人材育成を目的にしています。これを契機に生命科学の基礎分野で研究者が自由な発想のもと、独創的な研究を進め、かつこのプログラムが引き金となり基礎研究の重要さが広く認識され、うねりとなり啓発されることを期待しています。 |
■大隅良典委員
この度のサントリー生命科学財団による基礎科学の推進の試みに大いに賛同します。私自身が取り組んでいる財団を含め、このような機運が若い人達を覆う閉塞感を突き破る力になることを願っています。これまでにない5年間の継続した高額の研究支援により、公的な研究費では展開が難しかった夢のある研究課題の応募が多数寄せられることを心から期待します。 |
■佐藤文彦委員
「SunRiSE」は、科学研究費で言えば、基盤研究Aに相当する。当然、若手研究者には、採択が厳しい研究費である。この金額の助成金を、これから研究室を立ち上げようとする、あるいは、立ち上げたばかりの研究者に支援しようとするものである。今年1回だけの機会に巡り合った生命科学を研究する研究者は、是非、積極的に応募し、この幸運を掴み取り、新たな研究の展開を達成して欲しい。幸運の女神が微笑むことを期待している。 |
■辻篤子委員
生命の根源に迫る大きな問いを持って一歩を踏み出すことは、海図がないままに大海原に漕ぎ出すようなものかもしれません。そうやって先人たちが道を切り拓いてきました。とかく短期的な成果が求められるなかで、若い研究者のそんな大きな挑戦を支えようというのがこのプログラムだと思います。ここから始まった一歩、二歩がさらに大きな流れとなり、独創的な研究を次々に生み出す環境作りにつながっていくことを大いに期待しています。 |
■長野哲雄委員
ノーベル賞級の画期的成果がどのようにして生み出されてきたかを振り返って見た時に、人間の知を超える成果は『ひょんな偶然』、『あり得ない発想』から発見されることが多いことに気がつく。いわゆる、ゴールが設定された目的指向型の応用研究からは生まれることはほとんどない。そのような点から、自由な発想で何ものにも縛られない研究資金の存在は、科学ならびに社会の発展において極めて重要である。今回のサントリー生命科学財団の「SunRiSE」はこの考えに沿った企画であり、科学の発展に大きく寄与する可能性を秘めている。この企画に応えるような『突飛な発想』、『実現不可能と思われるテーマ』などの提案が若手研究者から多数申請されることを願っている。 |
■山中伸弥委員
日本は、教育や科学技術力で国を維持し発展させてきました。将来も科学技術立国としての高い地位を継続するには、日本の基礎研究分野を先導する人材の育成が喫緊の課題です。今回設立された「SunRiSE」は、研究者本来の「知りたい、極めたい」に重点を置いたユニークな取り組みです。「SunRiSE」により、独創性、先駆性の高い人材、研究が支援され、領域を超えた科学の発展に貢献されることを期待しています。 |
以上