サントリーワインインターナショナル(株)は、ブドウ品種マスカット・ベーリーA(Muscat Bailey A)のゲノム解読に成功しました。同社とサントリーグローバルイノベーションセンター(株)、サントリーシステムテクノロジー(株)、(株)岩の原葡萄園との共同研究によるもので、11月17日(土)、18日(日)に京都大学で開催される「日本ブドウ・ワイン学会(ASEV JAPAN)2018京都大会」で発表※1します。
※1 当社の発表は11月18日(日)
【研究の背景】
マスカット・ベーリーAは、(株)岩の原葡萄園の創業者・川上善兵衛が1927年にベーリー種とマスカット・ハンブルグ種との交配により作出した品種です。91年経過した現在では赤ワイン用品種として国内で最も多く栽培されており、2013年には国際ブドウ・ワイン機構(OIV)に登録されました。マスカット・ベーリーAを使用したワインは、イチゴ様の果実香や滑らかなふくらみのあるタンニン味が特徴です。
これまでに、ピノ・ノワール、カベルネ・ソーヴィニヨンなどのブドウ品種のゲノム解読が報告されていますが、マスカット・ベーリーAはゲノム解読には至っていませんでした。
湿潤多雨な日本の気象条件下でも良好に生育できる環境適応性や、香味特徴の発現を遺伝子レベルで理解するためにゲノム解読とその解析に取り組み、作出者である川上善兵衛の生誕150年にあたる今年、解読成功に至りました。
【研究の内容】
全体の約95%にあたる約4億6,500万塩基対のゲノムを解読し、ブドウの色や香りに関わる遺伝子を見出しました。フラネオール※2生成に関わる遺伝子が確認され、マスカット・ベーリーAの特徴が裏付けられました。
※2 マスカット・ベーリーAをワインにした時に、特徴的に発現するイチゴ様の香りの起源とされる物質
【今後の期待】
日本において90年を超える栽培実績を持つ環境適応性と耐病性との関係を明らかにすることにより、耐病性の高いブドウ品種の研究や、より美味しいワインづくりへ貢献することが期待されます。
以上