白州蒸溜所便り
【白州蒸溜所】新工場長にインタビューしました!
2024年12月24日
こんにちは、森川ユタカです。
2024年も残りわずかとなりました。今年一年、白州蒸溜所では、バードブリッジの新設や、新ツアー・新レストランの誕生、品質向上に向けた新たな技術の導入など、様々な出来事がありました。そのような中、お客様には変わらず、温かいお声や応援を沢山いただき、励みになりました。ありがとうございました。
今年最後の記事では、4月に白州蒸溜所の工場長に就任した中島工場長と共に、生まれ変わった白州蒸溜所の魅力、一方で変わらず残る白州ならではの景色をお届けします。
2024年3月まで山崎蒸溜所で技師長を務めていた、中島工場長。勤務地だけでなく、役割にも大きな変化があった工場長に、就任当初の気持ちを改めてお聞きしました。
就任から季節はめぐり、場内もすっかり冬支度
中島 「いずれはなりたいと思ってはいましたが、『今か!』という驚きはありましたね。山崎蒸溜所では技師長として、貯蔵と醸造グループの二部門を見ていましたが、今回は工場長ということで、工場全体を見るというのは大変なことだと思いました。」
森川 「しかも、場内は昨年から続く50周年のリニューアル工事の真っ只中でしたね。」
中島 「そうですね。ここまで大規模な改修工事や立ち上げというのは初めての経験でした。不安もありましたが、前工場長の有田さんからしっかりと引継ぎを受け、安全に完遂できたというのは嬉しく思います。」
2023年から2024年にかけて行われた白州蒸溜所50周年の改修によって、白州蒸溜所に来場されるお客さまが滞在するエリアだけでなく、フロアモルティング(※1)や酵母培養設備(※2)の新設など、ウイスキーづくりの現場にも大きな変化がありました。この変化の中でも、「安全第一」の原則は変わらず、白州蒸溜所ではすべての作業において常に基本の徹底を意識しています。
※1 大麦をウイスキーの製造に必要な「麦芽」へと変化させる伝統的な製麦工程のひとつの方式。
※2 より安定的で品質の高いウイスキーづくりのために、酵母の培養条件を制御するプロセス
森川 「約2年間にも渡る改修工事が完了しましたが、中島工場長にとって特別なスポットはどこでしょうか?」
中島 「個人的にはバードブリッジですね。バードブリッジが完成する以前は、来場されたお客様が、車輌の行き交う道路を横切って場内に進まれていましたので、安全の観点でとても気になっていました。バードブリッジが完成してからは、安全面が確保されるとともに、これまで地上からは見られなかった高い視点での景色も楽しめるようになりました。これにより、"白州の森"をより身近に感じられるようになったと思います。」
"白州の森"をいつもと違う目線で楽しめるバードブリッジ
中島 「いい景色ですよね。山崎は、白州と比べるともう少し街中にありますが、白州はなんといってもこの森がいい。広大な森や豊かな自然環境に囲まれて、多くの生き物が生息している。これがまさに"白州の森"です。」
森川 「ほかに、白州蒸溜所ならではのおすすめはありますか?」
中島 「空気ですね。山崎蒸溜所も素晴らしい環境にありますが、"白州の森"の空気にはまた違った香りがします。また、空気の違いは、従業員同士の空気感にも言えることです。私はスタッフと定期的に話し合う時間をとっていますが、チーム全体の雰囲気が非常に良いと感じています。特にベテランスタッフの面倒見が良く、これまでの経験なども積極的に若手と共有し、伝承してくれていますね。」
森川 「伝承というと、ウイスキーづくりのこだわりについてでしょうか?」
中島 「それもありますが、例えばウイスキー業界の低迷期に直面した困難や、先輩から叱られた経験なども含めて、白州蒸溜所が歩んできた歴史全体を指します。白州でものづくりをする上で欠かせない要素だと感じます。」
距離感を感じさせないよう、メンバーと積極的にコミュニケーションをとる工場長
楽しみ方がたくさんある白州蒸溜所で、中島工場長ならではの楽しみ方についてお聞きしました。
中島 「ご来場の際は、ぜひ五感を使って楽しんでください。特に見学ツアーに参加されるとより実感ができると思います。『視覚』は、自然に囲まれた、まさに『森の蒸溜所』の様子を見てほしい。『聴覚』は、木々のざわめきや森の音の奥にかすかに聞こえる、樽栓を打つ音の重なりに耳を傾けてみてください。自然の中でウイスキーをつくる音が聞こえるのは白州ならではだと思います。『嗅覚』は、貯蔵庫内のウイスキーの香りをイメージされる方が多いかもしれませんが、個人的には発酵過程の香りが魅力的だと感じています。」
森川 「木桶発酵槽ならではの、甘酸っぱい香りですね。」
中島 「そうですね。もっと細かく言うと、麦汁の甘香ばしい香りから始まり、続いて林檎のようなフレッシュな果実の甘酸っぱさへと変わり、最後に、完成したもろみから感じられる熟れた南国の果実のような香りが広がる。この約3日間の発酵の中で、様々な表情の香りを感じさせてくれます。見学ツアーの際は、発酵の香りにも注目してほしいですね。」
木桶発酵槽の様子を入念に確認する中島工場長
中島 「『触覚』というと少し難しいですが、肌で感じるという意味では、ウイスキーづくりの現場の温度を感じてほしいです。仕込槽付近の熱気、貯蔵庫内の温度などは現場ならではですよね。まさに、ここでものづくりが行われていることを肌で感じられると思います。」
森川 「最後に『味覚』をお願いします。」
中島 「それはもちろん、シングルモルトウイスキー『白州』の味わいです。特に、『Hakushu Terrace(白州テラス)』の2階から森を眺めながら愉しむ『白州 森香るハイボール』は格別ですよ!
白州蒸溜所では、豊かな自然環境との共生や地域の方々とのつながりも大切にしながら、ここに訪れる誰もがイキイキと過ごせる"白州の森"を未来に繋げるべく、日々、ものづくりに取り組んでいます。そんな想いやストーリーも、シングルモルトウイスキー『白州』の味わいを通じて感じていただけると嬉しいです。」
インタビュー中、終始すてきな笑顔で対応してくれた中島工場長
最後に、中島工場長から蒸溜所便りを読んでくださっている皆さまへ年末のご挨拶です。
中島 「皆さま、今年も温かいサポートをありがとうございました。白州蒸溜所は昨年50周年を迎えましたが、これはあくまでもマイルストーンです。次の100周年、そしてその先へ向けて、今後も蒸溜所一同が一丸となって取り組んでいく所存です。『ウイスキーづくりの場』だけでなく、『イキイキ!とした人生を楽しむ場』として、進化していく白州蒸溜所に、引き続き注目していただけますと幸いです。2025年も、どうぞよろしくお願いいたします!」
お客さまに喜んでいただけることを今後も考えていきたいと語る、中島工場長。来年は、どのような年になるのか楽しみですね。2025年も白州蒸溜所は、皆さまのお越しをお待ちしております♪
【お知らせ】「白州蒸溜所ものづくりツアー」と「白州蒸溜所ものづくりツアー プレステージ」は抽選制となります。詳細につきましては、白州蒸溜所のホームページにてご確認をお願いいたします。