山崎蒸溜所便り
【フォトレポート】水をテーマに山崎を歩く
2023年7月7日
こんにちは、水野めぐみです。
山崎蒸溜所の周辺は新緑から青々とした緑に移り変わり、雨の日は、その雫が緑をいっそう深く見せてくれています。
水は自然の恵みであるとともに、ウイスキーづくりにおける大事な原料の一つでもあります。そこで今回は「水」をテーマに蒸溜所周辺を散策してきました。
雨あがりの椎尾神社(山崎蒸溜所の貯蔵庫裏手)
ウイスキーづくりに良質な水と湿潤な環境が不可欠であることは、過去の記事「ジャパニーズウイスキーの始まりの場所~山崎蒸溜所~」のなかでも触れました。
天王山の展望台から見た川の合流地点
「湿潤な環境」を生み出す川の合流地点を一望すべく向かったのは、山崎蒸溜所から徒歩25分ほどの天王山の青木葉谷展望台です。展望台までは歩きやすいハイキングコースとなっています。
この場所からは、桂川・宇治川・木津川の合流点を見ることができます。それぞれ水温の異なる3つの川が合流することにより発生した霧は、山に挟まれた地形により山崎の周辺に立ち込めます。そしてこの霧がほどよい湿度のある環境をつくってくれるのです。
勢いよく流れる水無瀬の滝
続いて向かったのは、山崎蒸溜所から徒歩15分ほどのところにある水無瀬の滝。天王山を源流とする高さ約20メートルの美しい滝です。滝の周辺は涼しく感じられ、滝の流れる音や澄んだ空気が心地よく、心身を癒してくれます。
とめどなく湧き出る離宮の水
次は水無瀬神宮へ。山崎蒸溜所からは徒歩15分ほどで行くことができます。ここには日本の名水100選に選ばれた「離宮の水」が湧き出ています。この日も離宮の水を汲むために、多くの人が水無瀬神宮を訪れていました。
古くから人々に愛されているこの名水は、山崎の仕込み水と同じ水源の水です。山崎の名水は、複雑な香味や重厚なモルト原酒をつくるのに非常に適しています。口に含んでみると、山崎蒸溜所の試飲会場でお客様に提供している仕込み水と同様に、複層的でまろやかな口当たりでした。
モミジとモリアオガエルの卵
最後に山崎蒸溜所に戻り裏庭を覗いてみると、今年もありました! モリアオガエルの卵です。その名の通り、繁殖期以外は森に住むというモリアオガエル。山崎蒸溜所では、裏庭の池にかかる木の枝に、毎年5・6月頃になると卵を見ることができます。写真の中で白い泡のように見えるのが卵で、孵化したオタマジャクシは雨とともに池の水に流れ落ちます。
モミジの木に佇むモリアオガエル
運よく、今年は親ガエルの姿も写真に収めることができました。
枝の上で、静かに佇んでいた7cmほどのモリアオガエル。日中に姿を現すことは非常に珍しく、私も初めて見ることができて感動しました。
今年100周年を迎える山崎蒸溜所。周辺の自然環境、裏庭の美しい池や敷地内の植栽を大切に保って、モリアオガエルが安心して産卵できる環境をずっと守っていきたい。そう強く思いました。
今回の散策は、山崎がいかに水に恵まれた地であるかを再認識するものとなりました。
山崎蒸溜所は今年100周年。100年前と変わらず、今日も山崎の名水でウイスキーづくりを続けています。そして、豊かな自然の恵みを受けながら、今日もウイスキーはゆっくりと熟成を重ねています。
今回は「水」をテーマに、山崎蒸溜所の周辺の様子をお届けしました。
次回もどうぞお楽しみに。
【お知らせ】山崎蒸溜所は2023年5月より改修工事のため、工場見学及び場内全施設の営業を2023年秋頃まで休止しております。見学・予約再開につきましては、日程が決まり次第、山崎蒸溜所ホームページでお知らせいたします。