山崎蒸溜所便り
白州蒸溜所便り
【つくり手散歩】白州蒸溜所のつくり手をご紹介!~蒸溜編~
2022年8月25日
こんにちは、森川ユタカです。
今回は、白州蒸溜所便りの連載「つくり手散歩」をお届けします。
インタビューをしたのは、白州蒸溜所で蒸溜を担当する山下さん。
ウイスキーづくりの現場をつくり手と歩きながら、こだわりを聞いてきました!
醸造グループで働く山下さんに話を聞きました
※写真はすべて撮影時のみマスクをはずして撮影しています
森川「山下さんは白州蒸溜所でウイスキーづくりを支える中堅メンバーですが、若い頃から白州で働きたいと思っていたんですか?」
山下「全く想像してませんでした!父が郵便関係の仕事をしていたので、子どもの頃は漠然と自分も郵便屋さんになるのかなと思ってたくらいです。」
森川「子どもの頃の父親の影響は大きいですよね。今ではお父さんとウイスキーについて話をすることもあるんですか?」
山下「父は普段ウイスキーをあまり飲まないのですが、私が蒸溜所で働くようになって、『自分も若い頃はホワイトを飲んでいたんだよ』なんてエピソードを話してくれるようになりました。」
蒸溜釜を見守る山下さん
森川「山下さんが担当している仕事について教えてください。」
山下「仕込みや発酵、蒸溜などを行う醸造グループで、主に蒸溜を担当しています。これまでに蒸溜釜の入れ替えや連続式蒸溜機の導入のプロジェクトに携わったこともありました。」
連続式蒸溜機は、モルトウイスキーの蒸溜とは異なり完成のイメージが難しかったそうですが、「無事に稼働が開始した瞬間は本当に嬉しかった」と顔をほころばせていました。
山下さんは白州蒸溜所と同じ敷地内にある、サントリー天然水南アルプス白州工場にも異動したことがあるそうで、言わば蒸溜所のことも天然水のことも知り尽くしたエキスパートです。
現在所属する醸造グループは20名ほどの部署で、とても活気がある雰囲気のチームとのこと。
そんな山下さんに白州蒸溜所の魅力についても聞いてみました。
森川「山下さんが考える白州蒸溜所の魅力はどんなところですか?」
山下「白州は何と言っても良いウイスキーを生み出すために欠かせない、良質な水が採れる蒸溜所ということですね。そして、ひとつの蒸溜所でモルトウイスキーやグレーンウイスキーなど、さまざまなウイスキー原酒をつくれることです。白州蒸溜所のようにモルトウイスキーやグレーンウイスキーの両方をつくっている蒸溜所はめずらしいんですよ。」
多彩な個性を生み出す蒸溜釜の数々
山下さんが担当する蒸溜には、一般的に間接蒸溜と直火蒸溜の二種類の方法があります。
蒸溜の方法もウイスキーの味わいに影響するので、蒸溜所ごとにこだわりがあるんです。
森川「白州蒸溜所では1回目の蒸溜を全て直火加熱で行っているんですよね。直火の蒸溜というのはどのような特長があるんですか?」
山下「直火蒸溜は、力強い味わいや香ばしい香りをウイスキーにもたらしてくれるというのが大きなポイントです。これがシングルモルトウイスキー『白州』ならではの、すっきりとしながらも香ばしくしっかりとした味わいにつながってるんですよ。」
森川「直火蒸溜ならではの難しさもあるのでしょうか?」
山下「直火は火加減が難しいですね。温度が高すぎても良くないので、以前はコンロの火を調整するように細かく手で操作していました。今は一部自動化されているものの、大事なところは人の手で確認しながら調整しています。」
過去に使われていた蒸溜釜を前に話をする山下さん
白州蒸溜所の蒸溜釜を見てみると、大きさや形が異なる蒸溜釜があることがわかります。
山下さんにその理由を聞いてみました。
山下「蒸溜釜の形や大きさが違うと、ウイスキーの味わいや香りが変化します。クリーンでライトな味わいの物もあれば、重厚な味わいの物も生まれます。蒸溜の工程でも、多彩な個性のつくり分けをしているんす。」
森川「1973年の白州蒸溜所の開設も、生産体制の強化だけでなく新しい香味づくりのために、タイプの原酒を求めたのも理由ですよね。」
山下「そうですね。実は現在では開設当時よりも大きさや形の異なるものを導入しています。さらに多彩な原酒を組み合わせ、より深みのある味わいを追求するようになりました。」
世界の蒸溜所では蒸溜所間で原酒を交換することもあり、ひとつの蒸溜所の中ではタイプが同じ蒸溜釜を使うことも多いそうです。
形状の異なる蒸溜釜を使い分け蒸溜することは、サントリーウイスキーがこだわる多彩な原酒のつくり分けにもつながっています。
この蒸溜の工程では、蒸溜釜を加熱するため熱が排出されます。
排熱はそのまま放出してしまうのではなく、再利用して設備の清掃などに使用する湯を沸かすために使っているとのこと。
「環境問題への取り組みは、企業として絶対に続けていかなければいけないこと」と語る山下さんの姿から、つくり手の覚悟を強く感じました。
山下さんの「やってみなはれ」とは?
山下さんに、今後やってみたいことを聞いてみました。
山下「白州蒸溜所は、モルトウイスキーとグレーンウイスキーの両方をつくることができる蒸溜所です。この特長を活かして白州でしかできない製品をつくっていきたいです。」
いつの日か、山下さんの手がける新しいウイスキーを飲んでみるのが楽しみになりました!
山下さんの好きなウイスキーの愉しみ方は、やはり「白州森香るハイボール」。緑色のグラスにミントを添えて見た目からも愉しむのがお気に入りとのことです。
ウイスキーにあわせるおつまみを聞いてみると、「やっぱり唐揚げなどの揚げ物と合わせるのが好きです!」と答えが返ってきました。過去の蒸溜所便りの記事で、つくり手の佐藤さんオリジナルの「ウイスキーに漬け込んだ鶏の唐揚げ」をご紹介しましたが、実際に試してみたほどだとか。
最後に、読者の皆さんに向けてメッセージをもらいました。
山下「白州は自然に恵まれた蒸溜所なので、季節によって変わる景色も醍醐味のひとつです。蒸溜所に来られた際にはぜひ現場の雰囲気を楽しんでください!」
今回は、蒸溜を担当するつくり手の山下さんから熱い想いを聞くことができました。
今後の蒸溜所便りでも、つくり手にインタビューした記事を連載していく予定です。どうぞお楽しみに!
★つくり手佐藤さんが「ウイスキーに漬け込んだ鶏の唐揚げ」を紹介している過去の記事はこちら
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