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【山崎蒸溜所で働くひと】ウイスキーづくりと美装への想い~瓶詰工程編~

2021年12月29日

こんにちは、水野めぐみです。


山崎蒸溜所便りから「山崎蒸溜所で働くひと」の新連載を開始します。
白州蒸溜所の連載「つくり手散歩」と並んで、山崎蒸溜所のつくり手のこだわりや想いにスポットライトをあてたインタビューを中心にお届けしていきます。


①山崎背景若園さん588×430.JPG瓶詰グループで働く若園さんに話を聞きました


※写真はすべて撮影時のみマスクをはずして撮影しています。


連載初回となる今回は、ウイスキー製品の外装に携わる「瓶詰グループ」の若園さんにインタビューしました。


水野「若園さんは普段どんな仕事をしているのですか。」
若園「包材と呼ばれるウイスキーの瓶やラベルなどの受注・発注を担当しています。この担当業務に携わりながら、山崎蒸溜所で取り扱う製品について詳しくなりました。」


若園「製品によってボトルのガラスやラベルの素材、細かな部品などが異なるので、製品やデザインに変更があった時はガラスとラベルシールなどの相性を確認する必要があります。しっかりと貼りつかないものや、貼れていたとしても簡単に剥がせるものはダメなんです。」


ガラスの透明度やボトルの肩や首のラインを見比べながら若園さんの話を聞いていると、一見同じように見えるボトルも、つくり手の手によって美しく均一に整えられているのだと気付かされます。



③ボトルを使って説明中588×430.JPG美装への想いを語る


水野「今まで携わった製品で思い入れのある製品はありますか?」
若園「入社してすぐに携わった『山崎55年』は特に記憶に残りました。中味の味わい設計だけでなく、外装も中味にふさわしい贅沢なつくりで、漆塗りの化粧箱や組み紐など日本伝統の装飾が施され、山崎の美しさを目からも感じられる外装になっています。実は和紙のラベルを貼る工程や箱詰めまですべての工程で、ひとつひとつ人の手で作業していて、機械を使っているのではないんですよ。その現場に自分も携われたのは大きな経験でした。」
水野「すべて人の手で作業されているんですか?」
若園「はい。通常は機械でラベリングを行うものもありますが、限定品など生産数の少ない製品は、手作業でラベルも貼っています。ミリ単位でのズレも許さず、肩ラベル・表ラベル・裏ラベルを決められた位置に合わせて精密に貼っていくんです。」



④瓶詰ライン引きの画588×430.JPG干支ボトル出荷前の最終作業の様子


ここからは製品づくりの現場に移動し、実際の瓶詰ラインの様子も案内してもらいました。
作業服を着用し、異物混入を防ぐために専用の吸引装置で体に付着した埃や塵を除去してから作業室に入室します。



⑤修正 瓶詰めライン巻締め中588×430.jpg手作業で行われるラベルの貼り付け


水野「山崎蒸溜所の瓶詰ラインで大切にされていることは何ですか?」
若園「山崎蒸溜所でつくったと胸を張って言えるよう、細部にまでこだわっています。今もこのラインでは、ひとつひとつ手作業で行っています。ラベルが真っすぐになるように貼り付け作業をしたり、完成品は目視でも検品しています。
ライン上で作業を行う『干支ボトル』は、毎年次の年の干支にちなんだデザインで発売する製品です。このボトルは陶器製で形も複雑なので、ひとつひとつ注意深く作業をしていきます。最後の検品ではボトルの表面の見える箇所だけでなく、ボトルを裏返しにし、底に汚れがついていないことまで確認するんです。底をきれいにしてから箱詰めするんですよ。」
全ての工程で目視での検品が行われ、基準に合格した製品のみが、箱に詰められていきます。そのプロセスと、作業にあたるつくり手のプロ意識により、山崎蒸溜所から出荷される製品の品質が守られていることが実感できました。



⑥目視検品588×430.JPGひとつひとつ鏡に映し全面を目視検査


水野「ボトルをお客様が手に取った時に見ていただきたいことや、気付いてもらったらうれしいことはありますか?」
若園「ウイスキーを購入した際、まずは目で見た美しさも感じていただけたらうれしく思います。ウイスキーは中味の味わいや香りを愉しんでいただきたいことはもちろんなのですが、飾っても美しいとお客様に感じてもらえる高品質な製品をお届けしたいと思っています。外装の細部まで品質にこだわっているので、部屋に飾って眺めていただけるのもうれしいです。もちろん中味もつくり手たちが長い時間をかけてつくった大切なウイスキーなので、鑑賞した後はしっかり味わってくださいね。」


若園さんは、実際に店頭でサントリーウイスキーを見つけた時には、ラベルのゆがみや瓶底をチェックしてしまう時もあるそうです。



⑦瓶詰ラインと若園さん588×430.JPG複数人で行うラインでの作業


水野「最後に、ウイスキーの瓶詰に携わる中で、やりがいを感じる瞬間を教えてください。」
若園「完成した製品を誰よりも先に最初に見られるのが瓶詰の工程です。出来上がった製品を送りだす時は達成感があり、やりがいにつながっています。つくり手たちが時間をかけてつくったウイスキーの1本1本を最高の状態でお客様のもとへ届けたいです!」


今回は外装に携わる「瓶詰グループ」の若園さんに仕事のこだわりを聞きました。
丹精込めてつくられたウイスキーの品質を守るため、妥協を許さず「美装」を追求する責任感と誇りが伝わってきました。


インタビューをしていく中で、若園さんが小学生から続けている野球を今も続けていることも教えてもらいました。今は休みの日に野球をしたり、試合後にハイボールを飲む時間を楽しんだりしているとのこと。
長い時間をかけて円熟していくことを楽しんでいる若園さんと、長い時間をかけて熟成するウイスキーが重なり合うようにも見え、どこかロマンを感じるような気持ちにもなりました。


「蒸溜所で働くひと」の連載では、これからも蒸溜所のつくり手の想いやこだわりを紹介していきます。次回もお楽しみに!



※国産ウイスキーは、現在大変ご好評をいただいており、私どもの想定を上回る販売状況となっております。また、原酒を熟成させる期間が数年単位で必要なウイスキーは生産数量をすぐに増やすことが難しいため、国産プレミアムウイスキーは充分な数量をご提供することが困難な状況が続いており、皆様にはご迷惑をおかけしております。現在、原酒の増産に努めておりますが、今しばらくはこのような状況が続くものと考えられます。お客様には多大なるご迷惑、ご不便をおかけし心よりお詫び申し上げます。



(こちらの記事にて実施していたアンケートは終了しました。ご協力ありがとうございました。)


【お知らせ】工場見学の営業に関する最新情報は、山崎蒸溜所ホームページにてご案内しています。ご来場前に必ず、営業日・時間、予約方法等のご確認をお願いいたします。

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