山崎蒸溜所便り
【山崎蒸溜所】ウイスキーの「香り」を言葉で表現してみよう!
2021年8月4日
こんにちは、水野めぐみです。
ウイスキーの香りといえばどんな香りを思い浮かべますか?
ウイスキーを飲む時にグラスに鼻を近づけると、一杯のウイスキーの中に無数の香りが潜んでいることに気が付きます。
この複雑な香りをどのように表現したらいいのだろうと思ったことはありませんか。
木のような香りや甘い香り、穀物のような香りなど、無数の香りが重なりあって、ひと言で言い表すことが難しいのではないでしょうか。
今回はウイスキーを愉しむ際のアプローチのひとつとして、「香り」に注目しながら自分の言葉で表現する愉しさを皆さんにお伝えしたいと思います。
ウイスキーの複雑な香りは、ウイスキーをつくる際の原料や各工程に由来するもので、長い時間をかけて育まれています。そのためウイスキーを愉しむ際は、ウイスキーづくりの工程をイメージしながら香りの表現をしてみるのもおすすめです。
ウイスキーの原料の1つである大麦
ウイスキーは穀物類からつくられます。
大麦からつくられるモルトウイスキーや、トウモロコシや小麦を原料にしたグレーンウイスキーがあり、ウイスキーの香りからはこの原料に由来する穀物のような香りが感じられます。
香ばしい「トーストのような香り」を感じたり、「ジャガイモをゆでたようなふっくらとした香り」と感じる方もいらっしゃるのではないでしょうか。
ウイスキーによっては、麦芽を乾燥させるときに使うピート(野草や水生植物などが炭化した泥炭)由来の「煙っぽい、燻製のような香り」(スモーキーな香り)も感じられるんです。
麦芽と仕込水を原料として仕込(糖化・ろ過)を行い取り出された麦汁は、発酵工程へと送られます。
発酵工程では酵母などの働きで様々な香りが生み出されます。
例えば柑橘類やいちごなどの「フルーツのような香り」はこの工程に由来しています。
発酵でつくられたもろみは次の蒸溜工程を経て、アルコールや香味が凝縮された無色透明のニューポットとなります。
木製の樽の中で眠る原酒
その後ニューポットは樽に詰められ、5年、10年と貯蔵されていく間に、樽材とニューポットそれぞれの成分が反応し熟成香がつくられたり、樽材から溶け出した成分によって琥珀色に色づいたりといった変化が起こります。
ウッディーなどと表現されるウイスキーの樽由来の香りは、使う樽の種類によっても異なり、例えばシェリー酒やワインをつくった前歴のある樽を使った場合は「果実のような甘い香り」に、バーボン樽なら、バーボンの香りを含んだ「木の香り」が感じられるんです。
さらに、ウイスキーは樽の中で長期間貯蔵されている間に、その土地の空気をたっぷりと吸い込み、気候風土の影響を受けます。
そのため貯蔵する場所によっても香りは変化してくるんですよ。
シングルモルトウイスキー「山崎」のテイスティングノート
ご紹介したとおり、ウイスキーの香りは様々な工程を経て生まれるため、その種類や表現方法も無限大です。
シングルモルトウイスキー「山崎」を例にすると、イチゴやさくらんぼのようなフルーティーな香りとともに、甘いバニラやシナモンのような余韻を感じられるのではないでしょうか。
ぜひ皆さんも自分なりの身近な表現でウイスキーの香りを愉しんでみてくださいね!
ウイスキーの香りをたしかめるときはウイスキーに同量の常温の水を加えてみるのもおすすめです。
グラスにウイスキーを注いだだけでも豊かな香りが感じられますが、少しずつ水を加えていくと、それに応じて香りが開いていきます。
実は山崎蒸溜所のブレンダーも、ウイスキーの味や香りを確かめる際には、水を加えてテイスティングしているんですよ。
香りの花束ともいえるほど繊細で複雑な香味をもつウイスキー。
ぜひ皆さんも思い思いの表現で、ウイスキーの香りを言葉にしてお愉しみください♪
【工場見学一時休止のお知らせ】新型コロナウイルスの国内感染拡大を受け、感染防止のため、当面の間、工場見学および場内全施設(ショップを含む)を休止させていただきます。見学・予約再開につきましては、日程が決まり次第、山崎蒸溜所ホームページでお知らせ致します。(2021年8月4日現在)