山崎蒸溜所便り
【山崎蒸溜所】貯蔵庫の香りと多彩なウイスキー樽
2021年3月10日
こんにちは、水野めぐみです。
山崎蒸溜所では今年は雪がちらつく日もありました。
今回は、季節ごとに変化する貯蔵庫の様子と、多彩なウイスキー樽についてご紹介します!
冬の山崎蒸溜所
背後の天王山をはじめ、四季折々の変化が見られる山崎蒸溜所。
中でもウイスキーを熟成させている貯蔵庫は、冬になると、ある変化が感じられます。
冬の貯蔵庫
山崎蒸溜所の貯蔵庫は一切温度調節をしておらず、四季の温度差によってウイスキー原酒の香味にも変化をもたらします。
実は貯蔵庫内に漂う香りも季節によって感じ方が違うんですよ。
樽の中のウイスキーは膨張・収縮を繰り返しています。
気温の高い夏はウイスキー原酒が膨張し、アルコール成分が樽から揮発しやすい一方、気温が低い冬は収縮し、アルコールが揮発しにくいと言われています。
冬は庫内の気温が下がり、夏と比べてアルコールの刺激的な香りがいくぶん穏やかになるので、樽由来の柔らかな香りが漂っています。
大きさや材質の異なる多彩な樽
さて、山崎蒸溜所の貯蔵庫でもう1つ皆さんにご紹介したいのが熟成に使う樽についてです。
山崎蒸溜所では、「バーレル」、「ホッグスヘッド」、「パンチョン」、「スパニッシュオーク樽」、「ミズナラ樽」などの様々な種類の樽を使い分けることで多彩な原酒をつくり分けています。
それぞれ木の種類や材質、大きさなどが異なるため、熟成させたウイスキーの味わいも様々です。
熟成をゆっくりと進めるパンチョン
例えば、容量約480Lと、樽の中でも大きくずんぐりとした形が特長のパンチョン。
大きな樽ほどウイスキーと樽が触れ合う面積がウイスキーの体積に対して小さいため、熟成はゆっくりと進み、穏やかでしっかりとした味わいのウイスキーが生まれます。
ちなみにこのパンチョンは、サントリーがアメリカから買い付けたホワイトオークの柾目板を使い、自社製樽工場で製造しているんですよ。
独特な個性をもたらすワイン樽
さらに、その樽が「今までどのようなお酒を熟成してきたか」、「何度目の熟成か」などといった前歴もさまざま。
例えば、ワインの熟成に使われていたワイン樽は、ウイスキーにワイン由来のフルーティーで甘酸っぱい香りをもたらしてくれます。
貯蔵庫に並ぶ樽
こうした樽の違いだけではなく、実は貯蔵庫内の保管位置によっても香味は変化するんです。
冒頭でご紹介したとおり、貯蔵庫は温度管理をしていないため、庫内でも場所によって気温が異なります。
この微妙な気温の差もウイスキー原酒の香味にバリエーションを与えてくれるのです。
樽の違いが多彩なウイスキー原酒を生み出す
今回は冬の貯蔵庫の様子と、多彩なウイスキー樽についてご紹介しました。皆さんもウイスキーを愉しむときは、移り変わる山崎の四季や、貯蔵庫で静かに時を重ねるウイスキーに想いを馳せてみてくださいね♪
【工場見学一時休止のお知らせ】新型コロナウイルスの国内感染拡大を受け、感染防止のため、工場見学および場内全施設(ショップを含む)を休止させていただいています。見学・予約再開につきましては、日程が決まり次第、山崎蒸溜所ホームページでお知らせ致します。(2021年3月10日現在)