山崎蒸溜所便り
個性豊かなシングルモルトウイスキー
2020年9月29日
こんにちは、水野めぐみです。
今回は、「シングルモルトウイスキー」の魅力についてご紹介します。
シングルモルトウイスキー「山崎」
ウイスキーは原料や製法などによってタイプが分類されているお酒です。
原料には大麦やライ麦、トウモロコシなどの穀物を使いますが、大麦麦芽(モルト)のみを原料とするものが「モルトウイスキー」と呼ばれ、大麦麦芽以外の穀物も原料とすると「グレーンウイスキー」と呼ばれます。
モルトウイスキーは力強く、個性豊かな香りや味わいが特長なのに対し、グレーンウイスキーは比較的穏やかですっきりとした味わいをもつウイスキーです。
この、モルトウイスキーとグレーンウイスキーをブレンドしてつくられるのが「ブレンデッドウイスキー」。バランスのとれた味わいや香りが特長で、「角瓶」、「オールド」、「ローヤル」などサントリーウイスキーの多くはこのブレンデッドウイスキーに分類されます。
ウイスキーの分類
さて、モルトウイスキーとグレーンウイスキーは単一の蒸溜所でつくられると、それぞれ「シングルモルトウイスキー」「シングルグレーンウイスキー」と呼ぶことができます。
ひとつの蒸溜所を意味する「シングル」の文字通り、蒸溜所の立つ土地の水や風土、気候などが育む、個性豊かな味わいが魅力です。
ここからは、シングルモルトウイスキー「山崎」を例に、蒸溜所の自然環境がどのようにウイスキーを育み、影響を与えているのかをご紹介します。
名水の地として名高い山崎
シングルモルトウイスキー「山崎」の個性は、山崎の地の水や自然環境、つくりのこだわりに由来します。
水はウイスキーの品質を決める大きな要素の一つ。
山崎蒸溜所では、清らかで良質な地下水「山崎の名水」を使いウイスキーを仕込みます。
山崎周辺は古くから「水生野(みなせの)」と呼ばれ、水の豊かな里として知られていました。
山崎の名水は、軟水の中でも硬度が約90度と高めで、このミネラル分のバランスが「山崎」の重厚感を生み出しています。
この良質な水を使用することは「山崎」のこだわりのひとつなんです。
霧が立ち込める山崎の地
そして、山崎蒸溜所は天王山のふもとに位置し、天王山の森が蒸溜所の貯蔵庫の裏手にまで迫っています。
付近には桂川、宇治川、木津川の三川が合流して淀川の大河となる場所があり、たびたび濃い霧が立ち込めます。
この湿潤な環境は樽の中で眠るウイスキーがゆっくりと熟成していくのを助けてくれるんです。
ウイスキーの豊かな熟成を助ける山崎の自然環境
こうした自然環境を最大限に活かしつつ、山崎蒸溜所では仕込から熟成にいたるまで、すべての製造工程にこだわってウイスキーづくりを行っています。
シングルモルトウイスキー「山崎」ならではの繊細で複雑な味わいは、こうしたこだわりのウイスキーづくりから生まれてくるんです。
発売当時の「山崎」
山崎ウイスキー館では、発売当時の「山崎」のボトルを展示しています。
ご覧になったお客様から、現在とはラベルに表記された名前が異なることについてご質問いただくことがあります。
実は発売当初の「山崎」は、「シングルモルトウイスキー」ではなく、「ピュアモルトウイスキー」の名を採用していました。
当時はブレンデッドウイスキーが主流の時代で、シングルモルトという言葉は日本人に馴染みがありませんでした。
そこで「山崎」は発売当初、ブレンデッドとの違いを強調するために、「純粋な大麦のウイスキー」という意味を込めてピュアモルトウイスキーの名を採用していたんです。
※補足:「ピュアモルトウイスキー」=「モルトウイスキー100%」
「シングルモルトウイスキー」=「単一蒸溜所のモルトウイスキー100%」の意
今回はシングルモルトウイスキーの魅力についてご紹介しました。
シングルモルトウイスキーを愉しむ際は、つくりのこだわりはもちろん、その個性を生み出す自然環境にも思いをはせてみてくださいね。
【工場見学一時休止のお知らせ】新型コロナウイルスの国内感染拡大を受け、感染防止のため、当面の間、工場見学および場内全施設(ショップを含む)を休止させていただきます。見学・予約再開につきましては、日程が決まり次第、山崎蒸溜所ホームページでお知らせ致します。(2020年9月29日現在)