白州蒸溜所便り
白州蒸溜所つくりのこだわり ~発酵と蒸溜~
2020年6月19日
こんにちは、森川ユタカです。
今回は白州蒸溜所のつくりのこだわりシリーズ第2弾!
シングルモルトウイスキー「白州」ならではの香味をつくる「発酵」と個性豊かなモルト原酒を生む「蒸溜」についてご紹介します。
今回も白州蒸溜所ツアーに参加した気分でお楽しみください♪
白州蒸溜所蒸溜棟入り口
第1弾の記事では、ウイスキーづくりの第1工程である「仕込」をご紹介しましたが、今回ご紹介する「発酵」「蒸溜」は「仕込」に続く工程です。
ウイスキーづくりにおける「発酵」とは、「仕込」でできた「麦汁」に酵母を加え、発酵液へ変えていく工程です。
2、3日かけて発酵を行うことで、アルコールや炭酸ガスのほか、ウイスキー原酒にとって重要なさまざまな香味成分が生まれ、やがてアルコール度数約7%の「もろみ」になります。
発酵初日の発酵槽内部
発酵中に、高さ4.7メートルもある発酵槽の中をのぞくと、酵母の活発な活動により、上の写真のように液面すべてが炭酸ガスの白い泡で覆われて見えますよ。
「白州」ならではの味わいに深く関係する木桶発酵槽
実はこの「発酵」工程にもこだわりがあり、多彩な原酒のつくりわけのために、白州蒸溜所で使う発酵槽は木桶を使っています。
木桶は保温性が高く、発酵工程で乳酸菌や微生物が発酵を促すことで、特有の甘酸っぱい香りや酸味をもたらしてくれるからなんです。
現在、発酵槽には温度のコントロールや手入れが容易なステンレスを使用するところが多いですが、白州蒸溜所ではあえて木桶を使うことで、シングルモルトウイスキー「白州」ならではの香りや味わいを生み出しています。
続いて、できあがったもろみはポットスチルと呼ばれる銅製の釜に入れて「蒸溜」を行います。
白州蒸溜所のポットスチル
「蒸溜」はアルコール濃度を高め、味わいや香りの成分を凝縮することで、ウイスキーの香味の骨格をつくる工程です。
「初溜」と「再溜」の2回行い、アルコール度数約70%で無色透明な生まれたてのウイスキー「ニューポット」ができあがります。
生まれたてのウイスキー「ニューポット」
「蒸溜」では、ポットスチルの形状や加熱方法などがウイスキーの味わいに影響を与えます。
そのため白州蒸溜所では多様なウイスキー原酒をつくるために、さまざまな形や大きさのポットスチルを16基も使い分けています。
大きさや形の違うポットスチルをこれほど設置しているウイスキーメーカーは、世界的にも稀なんですよ 。
ストレート型のポットスチル
白州蒸溜所のポットスチルの形は大きく分けて「ストレート型」と「ランタン型」の2種類。
蒸溜釜の肩口からネックにかけてまっすぐなのがストレート型。ストレート型で蒸溜すると、力強い重厚なニューポットが生まれます。
一方肩口からネックにかけて膨らみのあるものがランタン型です。
ランタン型で蒸溜すると、クリーンでライトなタイプのニューポットが生まれます。
蒸溜工程でのもうひとつのこだわりは加熱方法です。
加熱方法は釜を直接加熱する「直火蒸溜」と、釜内部に設置したパイプに蒸気を通して加熱する「間接蒸溜」があります。
一般的には間接蒸溜が主流となっていますが、白州蒸溜所では初溜を、1,000℃以上の高温で加熱する直火蒸溜 で行っています。
直火蒸溜は、すっきり軽快な原酒ができる間接蒸溜に比べると、もろみがトーストされ香ばしく力強いタイプの原酒ができるんです。
「発酵」「蒸溜」の工程では、ご紹介したようなさまざまな工夫を凝らして多彩な原酒のつくりわけを行っています。
このようなつくり手たちのこだわりがシングルモルトウイスキー「白州」の個性に繋がっているんですよ。
次回はつくりのこだわりシリーズ最終回!
白州蒸溜所のウイスキーの「熟成」についてご紹介します。お楽しみに♪
(アンケートは終了しました。ご協力ありがとうございました。)
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