白州蒸溜所便り
「森の蒸溜所」誕生の歴史
2018年12月10日
こんにちは、森川ユタカです。
広大な森に囲まれ、「森の蒸溜所」とも呼ばれている白州蒸溜所。
今回は、なぜここ"白州"がウイスキーづくりの地として選ばれたのか、白州蒸溜所誕生の歴史についてご紹介します。
広大な自然に囲まれた「森の蒸溜所」
サントリーの創業者・鳥井信治郎が、大阪の山崎に、日本初のモルトウイスキー蒸溜所の建設に着手したのが、1923年。白州蒸溜所はそれから50年後の1973年に、サントリー第二のモルトウイスキー蒸溜所として誕生しました。
サントリー二代目の社長であり二代目マスターブレンダーも務めた佐治敬三は、山崎蒸溜所とは個性の異なるウイスキーを生みだす新たな環境を求めて、全国から候補地を探しました。そうして最終的に辿り着いたのが、ここ白州の地だったのです。
ウイスキー博物館で展示している
佐治敬三(左)と大西為雄(右)の写真
蒸溜所の建設地を決めるにあたり、敬三がこだわったのは、ウイスキーづくりに適した理想の水があることでした。
ウイスキーの仕込みに使われる水は、「マザーウォーター」とも呼ばれ、ウイスキーの品質を決める大切な要素の一つです。 初代チーフブレンダーの大西為雄は、敬三から命を受けて全国を回り、理想の水を探し求めました。山崎蒸溜所の工場長も務め、「水の狩人」とも呼ばれた大西は、美しい水のあるところは、源流奥深くの険しい山中にまで貪欲に調査をしたそうです。
調査開始から数年が経ったある日、大西はついに現在の山梨・北杜市白州町に辿り着きました。南アルプスの花崗岩層で磨かれた白州の水はキレのよい軟水で、やわらかくミネラルバランスがよいのが特長。白州の水を口にした瞬間、大西は「まだ日本にもこんな水があるのか」と震えたといいます。こうして理想の水を追い求めた結果、世界でも稀な「森の蒸溜所」が誕生しました。
そして、白州蒸溜所の竣工から21年後の1994年に、シングルモルトウイスキー「白州」を発売。白州の水によってつくられる「白州」は、その軽快でなめらかな味わいが今や世界中のウイスキーファンに愛されています。
「天然水の森」活動の様子
また、これからもウイスキーづくりを続けていくためには、豊かな水と水を育む豊かな自然が欠かせません。
サントリーでは、水と生きる会社として、水を生み出す豊かな森を育む「天然水の森」活動も行っています。
ウイスキー博物館1階でも白州の自然環境についてご紹介しています
ウイスキー博物館1階では、ウイスキーに関する様々な展示と共に、白州の自然環境や天然水についてもご紹介しています。
白州蒸溜所へお越しの際にはウイスキーを育む豊かな自然とともに、ウイスキー博物館内で白州蒸溜所の歴史にも思いを馳せてみてはいかがでしょうか。