1)飲む水
一般的に水に含まれるカルシウムやマグネシウムに鎮静作用があると言われています。たとえば夜寝付かれないときに、コップ1杯の水を飲むとリラックスできて寝られるようになったり緊張した場面で水を飲んで一息入れる、ということもこのためかもしれません。
2)聞く水
せせらぎの音や波の音、静かな雨音など、水の音を聞くと心が癒されるという人は多いでしょう。さらに自然の音だけでなく、ししおどしや水琴窟など、水を利用した人工の音にも癒しの効果があります。
私たちはせせらぎの音を聞くときに、水そのものをイメージするよりも、涼しさ、清潔さなどをイメージし、谷川にいるような爽快感を得ることができます。このようなイメージがリラックス効果を生むと考えられています。
3)見る水
海や川が近い地域では、海にドライブに行って海を眺めたり、川に出かけていって川辺で風にふかれたりして、気分転換をするという話をよく聞きます。ほかにも山奥の滝を見に行ったり、都会の公園で噴水を眺めたり、水を眺めることで私たちは安らぎや落ち着きを得ることがあります。日本庭園に池を作ったり、枯山水を作って水のある風景に見立てたり、日本では昔から水の癒し効果を生活に取り入れていたと考えられます。現在では、親水公園が作られたり、川沿いが整備されたり、人と水とが触れ合う空間が見直されています。
4)入浴、温泉の効果
入浴には様々な効果があります。温熱によって皮膚の汗腺が開き、毛穴の汚れが落ちて皮膚が清潔になります。また血行がよくなり、体全体があたたまり、老廃物が排出されて新陳代謝が高まるという効果もあります。熱いお湯(42度くらい)には、交感神経を刺激して気分を引き締める効果があり、ぬるめのお湯(38度から40度)には副交感神経を働かせ、リラックスさせる効果があります。
また、湯の中ではあらゆる方向から同じ圧力がかかり(これを静水圧という)、このおかげで、血液が心臓に送り返される力が強くなって血液やリンパの流れがよくなり、足のむくみがとれたり、肩こりが緩和されたりします。呼吸器官や心肺機能の働きも活発になります。温泉では、以上のような入浴効果のほかに、温泉成分による効能、殺菌効果などがあります。温泉には様々な化学物質がイオン化して溶け込んでいて、これらが皮膚を通して体内に入り、こうした効果が生まれると言われています。また、成分が皮膚表面のたんぱく質や脂肪と結びついて薄い皮膜を作り、保湿効果を持続する働きもあります。これらを利用して、病気やけがの治療、健康増進などをおこなうのが、温泉療法です。
【参考文献】
- ハンガリー政府観光局から
(http://www.hungarytabi.jp/index2.htm) - 鈴木宏明/著 『水のはてなQ&A55』 桐書房)
- NPO法人 健康と温泉フォーラム
(http://www.onsen-forum.jp/co/file/kaigai-onsen/)