各家庭での節水状況についてのあるアンケートによると、「まめに節水している」が9.4パーセント、「ある程度は節水している」が63.0パーセント。およそ7割の人が、多かれ少なかれ節水を実行しているという結果になっています(※1)。しかし、その一方で21.8パーセントが「気にしながらなにもせず」と答えており、具体的な節水方法がわからない、という人も少なくはないようです。「節水と水の有効利用について」のアンケート調査では、72.6パーセントの人が「家庭でできる具体的な節水方法を知りたい」と答えています(※2)。
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※1、※2ともに『環境問題総合データブック2004年版』 生活情報センターより抜粋。
そこで、家庭での節水のポイントを以下にまとめました。
<日常生活における節水のポイント>
1)トイレの節水
家庭で使う水の約28パーセントが、トイレで流される水。1度に使う量をわずかずつでも減らす工夫が必要です。
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(1)流れる水の量をセーブする
ロータンクの中に水の入ったビンやペットボトルを入れておけば、1回に流れる水を約2リットル(ビン、ペットボトルの容量分)節約できます。 -
(2)大小レバーを使い分ける
大レバーに比べ、小レバーは水量が約2リットル少なくなります。面倒でも、こまめにレバーの使い分けを実行しましょう。 -
(3)節水型トイレに変える
従来のトイレの1回当たり水消費量が12~20リットルなのに対し、節水型のトイレは1回当たり4~5リットルに抑えられます。
2)風呂での節水
一日で使用する家庭用水の4分の1が、風呂で使う水です。つまり、入浴に使う水をいかにムダなく使うかが、節水の大きなカギとなるのです。
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(1)残り湯は捨てずに、洗濯や洗車、植木の散水などに再利用
一般家庭で使用されている浴槽は、約180~200リットルの水が入ります。これを捨てずに再利用すれば、1年間で2リットルのペットボトル3万本分以上の水を節約することができます。 -
(2)長時間のシャワーを控える
たった3分間でも、36リットルの水を使います。シャワーを浴びる場合は、できるだけ短時間ですませるように心がけましょう。また、シャワーヘッドを節水型のものに替えるのも効果的です。 -
(3)沸かしすぎ、水の張りすぎに注意
湯を沸かしすぎると、水温調節のために大量の水で埋めなければなりません。これはエネルギー消費の面からみてもムダです。また、水の張りすぎにも注意が必要です。浴槽に入ったときに水があふれないよう、水位を調節しましょう。
3)洗濯での節水
洗濯に使う水の量は家族の人数や年齢だけでなく、洗濯機の種類によっても異なります。洗濯機は、従来のうず巻き方式よりもドラム式(※3)のほうが、一回の使用水量が少なくて済むと言われています。
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※3:20~30パーセントの節約ができます。ただし、乾燥時に冷却水を使うタイプでは、逆に水量が増える場合もあります。
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(1)本洗いと1回目のすすぎ水には、風呂の残り湯を再利用
まだ温かい風呂の残り湯を利用すれば、冷たい水道水を使うよりも効果的に汚れを落とせます。 -
(2)まとめて洗って、回数を減らす
洗濯機にもよりますが、1回まわすごとに80~150リットル程度の水が必要となります。ある程度まとめて少ない回数で済ませるのが大切です。少々の小物類なら、入浴の際に手洗いするのも有効です。 -
(3)洗濯の排水も再利用
最後のすすぎ水は比較的きれいなので、トイレ水や散水などに利用できます。また、運動靴などを洗うときは、洗濯の本洗い後の水が使えます。
4)台所での節水
できるだけ流し洗いをしないことが大切ですが、すすぎなどでやむを得ないこともあります。蛇口に節水コマ(※4)をつけるなどの工夫をしても効果的です。流し洗いをやめる以外にも、水圧を適度に調節することによって節水が可能です。
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※4:蛇口に取り付けて水量をコントロールするもので、2分の1から3分の1程度に減らすことが可能です。取り付けも簡単で100円程度で購入できます。東京都23区内では水道局営業所、多摩都営水道25市町村では、各市町村窓口で、それぞれ無料で入手できます。
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(1)米のとぎ汁は散水に再利用
米のとぎ汁は、流さずに植木などの散水にも利用することができます。 -
(2)食器洗いはため洗い
流しっぱなしの場合、5分間で約60リットル。10分で約120リットルの水を使用しています。水をためて洗えば3分の1の20リットル程度ですみ、90リットルの水が節約できます。また、最近の自動食器洗い器では流し洗いよりもかなり少ない水で済むようになっています。 -
(3)油汚れは洗う前に紙でふき取る
ガンコな油汚れを洗い流すには、たっぷりの水が必要になります。あらかじめ紙などでふき取っておけば、かなりの水量を節約できるだけでなく、河川の汚染防止にもつながります。
5)その他
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(1)歯磨きの際に水を流しっぱなしにするのをやめれば30秒間で約6リットルもの節約ができます。
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(2)洗車の場合、ホースからの流し洗いは20分間で約240リットル使うことになりますが、バケツに汲んで洗えば約30リットルで済みます。その差、浴槽1杯分以上と考えれば、けっして少ない量ではないでしょう。
【参考文献】
- 『平成17年度 日本の水資源』 国土交通省
- 国土交通省ホームページ(http://www.mlit.go.jp/)
- 東京都水道局ホームページ(http://www.waterworks.metro.tokyo.jp/)
- 東京都環境局ホームページ(http://www.kankyo.metro.tokyo.jp/)
- 国土交通省関東地方整備局(http://www.ktr.mlit.go.jp/index.htm)
- 都築俊文・伊藤八十男・上田祥久/共著 『水と水質汚染』 三共出版
- 山本忠煕/著 『不思議な水の科学と生活』 文芸社
- 北野大/監修 『知っているようで知らない「水」の不思議』 大和書房
- 『環境問題総合データブック2004年版』 生活情報センター
- 『女性の暮らしと生活意識データ集2005年版』 生活情報センター
- 東京都水道局ホームページ~PR情報~パンフレット~節水の習慣:上手に使って大切な水
(http://www.waterworks.metro.tokyo.jp/water/pp/syuukan/index.html)