ウトウ
繁殖期にくちばしに出る
”突起(アイヌ語=ウトウ)”が名前の由来
全長38㎝。水面では軽々と浮く、ウミスズメの仲間。頭から首、胸、背中から尾、翼の上面も黒褐色をしています。腹は白色。くちばしは短めで橙色ですが、横から押しつぶしたような、縦に扁平な形をしています。繁殖期に上くちばしに角のような飾りができ、顔に白線が見られます。ウトウとはアイヌ語で「突起」という意味です。
北太平洋北部のアリューシャン列島以南の離島や岩礁で繁殖し、冬期はやや南へ下がって越冬します。日本では洋上ではなく、近海の離島や岩礁のある海上で見られています。繁殖は北海道や三陸地方の近海の離島や岩礁。崖面ではなく、上部の草地に奥行1m程度の穴を掘り、巣にして集団で営巣しています。巣材はほとんどなく、地面に1卵を産みます。抱卵交代やヒナへの給餌は夜間に行います。餌の小魚(キビナゴ、カタクチイワシ、イワシなど)を何匹も横にくわえて巣に戻ってきます。暗くなりかけの頃に、戻ってくるウトウの持つ小魚を狙って、オオセグロカモメ・ウミネコが奪い取ろうと大騒ぎをしています。巣の近くでは、「ブェッ ブェッ ブェッ」とか「ウウウウッ ブェッーッ」などと聞こえる声を出しています。抱卵の交代後や、給餌の済んだ個体は早朝暗いうちに海へ戻っていくのが普通です。
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