ヒシクイ
池沼でヒシの実を好んで食べるからヒシクイ
全長83cm。ガンの仲間で、メスオス同色です。全体に暗褐色で、首も長めで体が大きいですし、脚は短めで、歩く生活も多い鳥です。尾は白色で、上面には太い黒帯が出ます。「グワッハハッ グワァハハッ」など濁った太い声で鳴きます。昔の人はこの声を「グワン グワン」と聞いて、ヒシクイをガンと呼んでいました。一方マガンなど小型のガンはもっと高い声を出すので、カリと呼ばれていました。池沼、水田、湿地などに生息し、水田の刈跡では落ち穂を探し、池沼では水草のヒシの実を好物にしています。近くではくちばしで実を割る音が聞こえてくることもあります。
ユーラシア大陸北部に広く分布・繁殖し、冬には南へ渡ります。 日本では冬鳥で、宮城・秋田・新潟・茨城・滋賀・島根などには渡来地があり、毎年渡来・越冬しています。北海道では春秋に通過している旅鳥です。皇居の外堀には昭和の初期まではヒシクイが渡来していました(写真が残されています)。明治期には現皇居前広場にヒシクイの群が休息している様子を書き記した文が知られています。そうしたことから想像すると、不忍池で石を投げた‥‥森鴎外の「雁」はヒシクイかもしれません。
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