マガン
歌川広重の作品「月に雁」にも登場した冬鳥
全長72cm。翼を広げると1.4mほどになる大型の水鳥です。全体が黒っぽい茶色です。日本には冬鳥として渡来し、湖、沼や池でねぐらし、水田で落穂や、草の種子、葉などを食べています。北海道では春・秋に通過する旅鳥です。日本中で記録がありますが、島根県以西では稀です。マガンは、宮城の県鳥です。日本に渡ってくるうちの70%が、県内の蕪栗沼・伊豆沼の周辺で冬を越します。このあたりは、ハクチョウやガン・カモ類の一大越冬地としても有名です。
夜が明けるころ、数万羽ものガンがいっせいにはばたいて、群れになって飛ぶときにつくる隊列「雁行(がんこう)」は、冬の風物詩になっています。秋、サオ(竿)になりカギ(鍵)になり、渡ってくるガンは、小さな枝をくわえて海の上を飛び、翼を休めるときはそれを浮かべ、陸につくと浜辺に落とし、あくる年の春、北へ帰るとき、再びその木の枝をくわえて飛んでゆきます。木の枝が残っていれば、そのぶんだけガンが死んで帰れなくなったものだと考え、村人はあわれんで木をひろい、風呂をわかしてガンを供養したといいます。これが、津軽に残る「ガン風呂」の伝説です。
/けふよりは 日本の雁ぞ 楽に寝よ 一茶/
なお、今でこそ、蕪栗沼・伊豆沼の周辺には、毎年20万羽を超えるマガンや数千羽のシジュウカラガンが飛来していますが、一時はそれらの雁も絶滅の危機にありました。その危機を救ったのは、地元の愛鳥活動家たちの地道な努力でした。その奇跡の物語は、こちらから→
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