2025年2月28日
#946 中靍 隆彰 『トライをもう一度』
2023年1月22日花園近鉄ライナーズ戦以来のリーグ戦出場となった中靏選手。果たして久々の試合の手応えは?そして目指すものは?(取材日:2025年2月下旬)
◆自分次第
――リーグワンでの出場は2年ぶりとなりましたが、長かったですか?
長かったですね。いつ出ても良いパフォーマンスが出せるように準備をしているつもりなんですけれど、長かったですし、チーム状況もあり、今回出場できたというところはあります。そこでサンゴリアスの選手として、良いパフォーマンスをしたいと常に思っています。
――そのパフォーマンスは出せましたか?
いや、正直、本当はボールを持って走りたかったですね。まあ、それはスポーツなので。
――良いタックルがありましたよね
あれは良かったですけれど、トライを取られたところとも本当は止めようがあったかなと思ったり、それ以外に、ボールタッチを増やそうといろいろなところに顔を出そうとしたんですけれど、ボールには触れなかったですね。
――動き回っていたんですね
動き回っていました。ボールが欲しくて。
――サム・ケレビ選手に何度か抜かれる場面もありましたが、その辺りは?
もちろんチームとしては良くないですね。良くなってきている部分もあるので、これから決勝で勝っていくチームになるために、皆で取り組むことや改善できる部分もあると思います。
――次へのチャンスを掴めた感触は?
正直、掴めなかったかなと(笑)。日々の練習や練習試合などでチャンスはありますし、今回のように急に出番が回ってくることがあるので、そこでチャンスを掴むか掴まないか、自分次第ですね。
◆右でタックル
――練習や練習試合そして試合を通じて、成長を続けている手応えは?
し続けている部分もあると思いますし、何かが落ちている感覚はありません。僕の場合、周りに使ってもらって活かされるタイプなので、試合展開によっては活躍できない試合もあると思います。浦安D-Rocks戦も試合展開によってはボールが回ってきて走って、インパクトを残せたかもしれませんし、その確率をいかに上げるかだと思います。
――マインドの方はどうですか?
聞く人によってはネガティブに捉えられてしまうかもしれませんが、期待し過ぎない。もちろん自分で自分のことは期待していますが、人が自分にする評価に対して期待し過ぎないことかなと思っています。怪我人が出てもメンバーに入れないこともありますが「必要とされていないんじゃないか」と思わず、僕はいつでも試合に出ればパフォーマンスを出せると思って取り組むようにしています。そこは考えないようにして、自分は自分のやるべきことをやる。試合に向けた準備も好きですし、そうやってこのチームに貢献したいと思って、ずっとやっています。
――次に向けては何を意識してやっていこうと思っていますか?
いちばんの強みはボールを持って走る、トライを取るというところなので、ブラさずにいちばんの武器として磨いていこうと思っています。その中で、ウイングとしてのディフェンスだったり、ラインコントロールだったり、キックキャッチなども求められるので、そこのスタンダードは少しでも上げられるようにしたいと思っています。
――ディフェンスのスタンダードはここ何年かで上がっていますか?
そうですね。タックルに行くことは嫌じゃないですし、タックルするテクニックは練習でもかなり取り組みました。つい右でタックルに入ってしまいがちなんですが、相手が右にステップを切った時に右でタックルに行くと逆ヘッドになってしまいます。咄嗟に入らずに、左でタックルを合わせるような練習ですね。
◆目の前の試合に勝っていく
――珍しくヘッドキャップをかぶっていましたね
浦安D-Rocks戦ではヘッドキャップをかぶりましたが、ずっとかぶっていなくて、似合わないのでかぶりたくなかったんですけれどね(笑)。
――実際にそのヘッドキャップをかぶりながらタックルして、どうでしたか?
安心感はありますね。
――ヘッドキャップ以外の部分で、タックルのテクニックは磨いたんですか?
そうですね。練習はやりましたね。やっぱりスピードやトライを取る能力の練習に時間を割きたいですから、めちゃくちゃやったわけではありませんが。
――目指していくところは?
もちろん最後に優勝したいということが、最終目標ではあります。それは最後に考えることで、今は目の前の試合に勝っていくしかないと思います。もう後がない状況ですし。
――浦安D-Rocks戦は、ボールは回ってこなかったかもしれませんが、やっぱり楽しめましたか?
そうですね。本当にいろんな人が連絡をくれて、三連休の中日なのに山梨まで足を運んで見に来てくれて、もちろんこの後も試合に出るつもりですけれど、そこだけ見ると出ることが出来て良かったなと。しかもチームも勝ちましたし、プレー自体も楽しかったですし、あの緊張感、公式戦前の緊張感は、なかなか普通では味わえないので、あの中で走ってトライをする感覚をもう一度味わいたいなと思っています。
――試合中は「いつ出るか」という緊張感もありましたか?
正直、出るとしたら本当に最後の方というイメージだったので、思ったよりも早く出してくれて嬉しかったですし、ただ最後にトライをされたら負けるという状況では、集中しながらもドキドキしていましたし、その感じを久しぶりに味わえて楽しかったですね。
――見ている側としては、今シーズンは毎試合ドキドキします
そこはサンゴリアスが突き抜けていないし、他のレベルも上がっていて、本当にどちらが勝つか分からないという状況ですね。
――最後に勝ち負けを決めるのは何だと思いますか?
練習を含め、やるべきことはやらなきゃいけないと思いますし、それは今までもやってきてはいるので、そこはやり続けなければいけないと思います。これまでのシーズンでは、どこかですごくハマって、それをきっかけに変わったシーズンもありました。開幕から2試合くらいは上手くいかなかったのに、パナソニックにパンって勝ってからは面白いようにハマって、優勝したシーズンもありました。それは信じてやり続けるしかないかなと思います。
――やるべきことをやるとはどんなことですか?
全員、同じベクトルで勝つための準備をするということですね。
◆口だけにならないように
――シーズン中にスイッチが入って変わるところもラグビーの面白さなんですね
振り返れば、そうだったなと思うだけで、やっている時は一戦一戦勝つことしか考えていません。全勝優勝した時も競った試合は何回もありましたし、終わってみたら「優勝してたね」という感じなので、そういう考えがあるからコスさん(小野晃征)も "WIN THE ONE"、ひとつひとつ勝っていくというスローガンにしたんだと思います。 みんな勝ちたいし、みんな優勝したい、それはどのチームも考えていることなので、「優勝します」とか「試合に出ます、勝ちたい」というのが口だけにならないようにしたいなと思います。そういうところって、見ている人には分かると思うんですよね。「本当にそう思っているのか?」とか。不安に思う人がいるということは、まだ進化の途中ということだと思いますし、そこに貢献するための何かが僕にも出来ると思うので。プレーヤーとしてもそうですし、後輩の成長もそうだと思います。
――仁熊選手と一緒に個別の練習もしていましたね
後輩と一緒にポジション練習をします。彼らはサンゴリアスの未来ですからね。
――その未来に対してアドバイスをしてるんですか?
もちろん、そうですね。僕は技術面のアドバイスはあまり出来ないですけれど、メンタル面だったり、試合に出られない選手、出番が回ってこない選手などに、「準備をしていれば、チャンスはあるから」ということを言ったりします。ニグ(仁熊秀斗)にもずっと言っていましたし、ここでチャンスを掴んで定着してくれたら嬉しいですね。
――今シーズンはまた試合に出て、走りまくってトライを取りまくる姿をイメージしながらやりますか?
次の練習、次の試合で、とっても走っているイメージは常にあります。それを積み重ねて、チームが勝って行って、いつの間にかプレーオフの決勝になって、その時に自分が走っている姿は常にイメージしています。常にそういうイメージはありますけれど、まずは目の前の次のことを考えています。
(インタビュー&構成:針谷和昌)
[写真:長尾亜紀]