2025年2月21日
#945 仁熊 秀斗 『僕の出番』
久々に公式戦出場し、躍動感あるプレーを披露した仁熊選手。この勢いで、どこまで突っ走るでしょうか?(取材日:2025年2月中旬)
◆思い切りやろう
――久しぶりの公式戦出場となった東芝戦、いかがでしたか?
めちゃくちゃ楽しかったです。出場まで期間が空いて、怪我をしていてという時間が長かったですが、試合に出られてホッとしました。試合に向けて楽しみもありつつ、自分の力が出せるかという不安もありました。まずは思い切りやろうという気持ちが自分の中でいちばんにあったので、それが試合で出せて良かったです。
――躍動感があって、全部を出してやろうという気持ちなのではと思いました
もちろん、ずっと試合に出たかったですし、悔しい思いもしてきたので、自分がやってきたことをすべて出そうという気持ちでプレーしました。
――それが鋭いトライに繋がったと思いますが、あのトライは?
コーチ陣からも「あそこのスペースに入って、どんどんボールタッチしてこい」と言われましたし、自分もそういうプレーが得意なので、あとはユタカさん(流大)にしっかりと声をかけて、ボールをもらってトライが出来たというのは良かったかなと思います。イメージ通りでした。
――良いタックルもありましたが、自分としての出来は?
50点くらいです。試合勘ということもありますけれど、タックルは好きなので、しっかりとトラッキングの(ボールキャリアーに近づく)練習をして、全部タックル出来るようにしないといけないですけれど、良いタックルもあったので、それを継続できるようにやっていきたいと思います。
――出られない時期に身体が大きくなったと思いますが、いかがでしょう?
怪我をしている時は身体づくりをメインでやって、怪我をする前より良い身体で復帰することを考えていました。そしてプレー自体も良くなれるように過ごしていたので、良い形で復帰できたかなと思います。スピード面も良い感じです。
◆間合いを見つける
――昨年のニュージーランド留学で得たものは?
ニュージーランドで得たものは、15番でずっと出ていたんですけれど、まずはアタックでのいろいろな所への顔出しの判断。そしてキックを蹴る回数が多かったので、キックの判断や精度が上がりました。あと、相手が大きいので、大きい選手に対してのステップや間合い、どうやったら大きい選手に対してプレー出来るか、そういう感覚が身につきました。
――大きい選手に対してはどうずれば良いのでしょう?
大きい分、横の動きが弱いので、早めにステップを切って動くと、ついてこれないということが結構あります。近すぎると相手の間合いに入ってしまって、タックルを食らうことがあるので、その間合いの感覚を掴めたことは大きいですね。
――ニュージーランドでは多くの試合に出たんですか?
7試合出て、全て80分出ました。毎週、フルバックです。
――日本でもチャンスがあればフルバックでのプレーも可能性ありますか?
そうですね。プレシーズンの最後の2試合は15番で出ています。今シーズン以外は11番、14番で練習や試合に出ることが多かったんですけれど、15番をやらせてもらっていろいろなプレーに絡めるようになったので、良い成長になったかなと思います。
――ウイングとフルバックではどちらが合っていると思いますか?
正直、どちらでも良いんですけれど(笑)、ボールタッチする回数も増えるので、15番の方が楽しい時はありますね。
――他にニュージーランドに行って良かったと思うことはありますか?
まずたくさん試合に出られた、ということがいちばん良かったですね。あとは向こうならではのオフロードとか、大きい選手に対するタックルのスキルが掴めました。当たってくる選手に対してはいいんですけれど、上手い選手はかわしてくるので、そういう選手に対してもっとタックル出来るように、練習していかなければいけないと思いました。
――どうすればもっとタックル出来るようになるんでしょう?
まずは自分がタックルに入れる間合いを、自分自身で分かっておけば、相手がアタックしているところで自分がその間合いに入ってタックルする、というイメージが出来ていれば、タックル出来ます。その間合いを見つけることですね。
――その間合いについて具体的に言うと、距離とポジションですか?
距離ですね。近すぎても遠すぎてもいけません。相手が来る前にその間合いに入るんです。
――相手によって変わってくると思うので難しいのでは?
15番をやっていて、ボールを外に回されて抜かれることが多かったので、そこに対してのケアの仕方というところで、こうしようと決めてやっていました。パターンがそんなに多くは無かったので、絞りやすかったです。日本に帰ってきても良い感じでコミット出来ているところがあるので、そこは継続してやっていきたいなと思います。
◆スタメンの背番号
――東芝戦はで33点を取りましたが43点取られました。ディフェンスの部分は?
良いタックルもありましたけれど、1対1のところで外されたというのは、やっぱり自分の責任なので、その責任を果たせていないという部分で50点をつけました。タックルに入るまでのトラッキングの部分は良い感じで出来ていたので、あとはタックルの精度を上げれば良いかなと思います。
――自分の性格は「欲しいと思ったら絶対手に入れる」とのことですが、いま欲しいものは何ですか?
スタメンの背番号ですね。
――絶対手に入れるためには何がポイントだと思いますか?
ディフェンスの部分での信頼を勝ち取れればと思います。僕を置いておけば抜かれないし点数を取られない、という信頼を得られればスタメンで出られると思うので、練習から信頼を勝ち取れるように良いディフェンスをすることが大事だと思います。
――残りの50点を上げるためのポイントは何ですか?
良いディフェンスが出来ている時は、周りとコミュニケーションが取れて、自分がタックルに行くと明確になっている時は良いタックルが出来ているので、そういう周りとのコミュニケーションを取りつつ、自分がタックルしなければいけない相手を絞るということやっていくことだと思います。迷ってタックルに行くと、やっぱり外されることが多くなるので、そういったコミュニケーションも大事だと思います。
――コミュニケーションについて、今まではどうだったんですか?
得意な方ですね。言葉のチョイスというか、「今は内側で出るな」とか「裏は自分が行くからその前を見ろ」とか、細かいトークをするようにしないといけないところなので、外側からディフェンスのコールを出すことは今まで出来ていたんですけれど、もっとディフェンスのコールにプラスして、内側の選手にどうして欲しいのかを伝えるコミュニケーションが取れれば、もっと良くなるかなと思います。
――それは練習から取り組むんですか?
そうですね、もちろん。そして練習の映像などを見ながら、「ここはこうして欲しい」というコミュニケーションを取って、練習中のプレー中にもどんどん話すという感じです。
◆トライを取り切る
――今シーズン、これまで出番を待っていた時の心境は?
やっぱり自分が試合に出られないということが悔しかったですし、あとはチームが勝った時はめちゃくちゃ嬉しかったんですけれど、チームが負けて落ち込みそうな時、それでもやっぱり自分たちの力は信じていたので、ネガティブにならず自分が盛り上げてチームが良い方向に進めば良いなと感じて、結構声は出していました。
――いまのチームの状態をどう見ていますか?
めちゃくちゃ良いと思います。ネガティブになっていませんし、やっぱり自分たちの力を信じるということがみんな出来ているので、自分たちがやってきたことは間違いではないし、各々が自分の力を信じないと力は発揮できないと思うので、そういうところでみんなは自信があると思うし、あとはひとつひとつの精度を上げるだけだと思います。もちろんここからぜんぶ勝って、優勝することがサンゴリアスなので、そんなネガティブじゃないですし、めちゃくちゃ良いと思います。
――東芝戦の反省点としてはどうですか?
ゴール前に入って、アタックしてトライを取り切れなかったことがひとつ。あとはディフェンスも課題だと思います。だからゴール前に入ったら、精度高くしっかりと自分たちの役目を果たしてトライを取り切るところと、ディフェンスではファーストタックラーがまず良いタックルをする。そしてディフェンスの幅を取る。ディフェンスの幅を取ってしっかりと前に出ることが出来れば、良いタックル、良いディフェンスが出来ているので、それを継続して出来るようにしていきたいです。
――正にそのふたつは仁熊選手が得意とするところじゃないですか?
そうですね。そこで僕の出番です(笑)。
◆チームを勝たせるようなプレー
――今後に向けて、自分自身の課題はありますか?
公式戦に出て、タックルの1対1の精度は上げていかなければいけないと思います。アタックは自信があったので、思い切ってボールをもらってプレーすることですね。課題はディフェンスの1対1のタックルの精度ですね。
――第8節まで出番がなかったのはなぜだと思いますか?
僕が聞きたいです(笑)。自分の分析としては、練習でアピールできるプレーが出来ていなかったかもしれません。
――第8節で出番が来たということは、アピールが出来ていたということですよね
そうですね。ここ数週間で良いプレーが出来ていたと思います。
――ここから試合に出続けて優勝ということですが、それに対する自信は?
もちろん自信しかないです。怪我人が復帰してメンバーがどうなるかは分かりませんが、僕は僕が出来ることを100%やるだけなので、僕が試合に出たら絶対に勝てるように、チームを勝たせるようなプレーをしたいですね。
――先ほど堀越選手が、「まだ仁熊選手へのインタビューは早いですよ」と言っていましたが、そういう声に対してはどうですか?
早くないですね(笑)。毎週、僕が登場するくらいにしたいです(笑)。試合に出れば絶対に良いプレーが出来るという自信があるので、まずは試合に出られるようにアピールしていきたいと思います。
(インタビュー&構成:針谷和昌)
[写真:長尾亜紀]