2025年1月10日
#939 髙本 幹也 『見ていて楽しいラグビーをする』
良くも悪くも勝敗の責任を背負う立場の高本選手。3戦2敗1分の現状をスタンドオフとしてどう打破していくのか、その展望を聞きました。(取材日:2025年1月上旬)
◆外さないためにも練習
――チーム練習後に長い時間、キックの練習をしていましたね
キッカーをしているので、外さないためにも練習をしています。いつもやっていますが、ある程度の本数は何となく決めていて、自分の感覚が良かったら終わります。
――先日のトヨタ戦では、ペナルティキックを3本決めて3本外しました
外したキックは決められそうなところだったので悔しいですけれど、また練習して決められたら良いなと思います。
――試合中にはどう修正しているんですか?
試合中に前にミスした感覚よりも入るように修正しています。
――ゴールキックの成功率を高めるためには練習あるのみ?
そうですね。疲労によっても全然違ったりするので、練習でやっていることを100%出来るように頑張りたいです。
――タッチキックはほぼ狙ったところに蹴ることが出来ていたのではないでしょうか
キックは自信がある方だと思うので、あとはその精度をどんどん上げていって、試合中に出来れば良いなと思います。
◆出口のところは常に考える
――キックと言えば、第2節リコー戦でドロップゴールの可能性もあったと思いますが、それについてはどうですか?
第2節ということもありましたし、河瀬さんがトライ出来なかったことは残念でしたけれど、外側にスペースがあったので、あのシーンはドロップゴールを狙わなくても良かったと思います。
――ドロップゴールの可能性は常に狙っているんですか?
そうですね。出口のところは常に考えるようにはしています。
――パスかキックかランか、ボールを持った瞬間に出口を考えているんですか?
大まかに言ったら、あのシーンであれば、スコア出来ない出口はドロップゴールだったと思いますし、こうなったら最終こういう出口に出ようというのは、大まかに考えています。
――第3節ではスペースがよく見えていたのではないでしょう雨か?
スペースは見えていましたし、チーム全員が練習でやってきたことが出た試合だったと思います。そこはみんなが上手く行けたかなと思います。
――自分で間を抜いていくシーンもありましたが、あの時の判断は?
あのプレーも普段、練習で取り組んでいることが出たかなと思います。個人でしっかりと真っすぐに向いて、空いているスペースに走るという部分ですね。日頃から意識していたので、抜けて良かったです。
◆逃げずに正しい選択を
――3試合を終えてみて、自分の出来は?
3試合で勝ちがないので、あまり出来は良くないんじゃないかなと思います。やっぱり良くも悪くもゲームコントロールのところは試合に影響すると思うので、そこのところで上手くゲームを運べていない自分がいると思います。
――その課題はどう克服しますか?
しっかり80分間通して考えていかなければいけないと思うので、そこで逃げずに正しい選択をしていければいいなと思います。時間や対戦相手、そしてスコアを見て判断しなければいけないんですけれど、今はサポートをしてもらったりしていますが、そこも自分で考えていかなければいけないと思います。難しい部分ですね。
――難しいけれどもそこに面白さでもあるわけですよね
そうですね。勝ったらもちろん嬉しいですね。早く勝ちたいですね。
――アタックについてはある程度上手くいっていると思いますが、ディフェンスについてはどうですか?
ディフェンスについては上手くいっていないところもあると思いますが、そこもしっかりと今週練習して、改善していきたいです。
――ディフェンスについてのコールは?
ディフェンスはあまりやらないですね。どちらかと言うと横の人とずっとコミュニケーションを取らないといけないし、全員が話さなければいけないのがディフェンスだと思います。今はまだそこが合っていないかもしれないですね。
◆どんどん自信をつけていきたい
――チームとして徐々に上向いている手応えは?
そうですね。良くなっていっているとは思うんですが、勝てていないので、みんなもどこかで自信がついていないと思いますし、早く勝ってアタックとディフェンスでやってきたことが、間違えていなかったということを証明して、どんどん自信をつけていきたいですね。
――自分のラグビー人生の中で、これだけ初勝利に苦労しているのは初めてですか?
これまであまりないですけれど、大学1、2年生の頃は全く勝てなかったので、その時と感覚は似ていますね。
――その時はどう乗り越えたんですか?
やっぱり個人スポーツじゃないので、1人が諦めちゃったり投げやりになっちゃうと良くないと思います。メンバーの23人もそうですし、チーム全員が一体になって進めていかないと、このリーグワンでは勝てなくなっていると思います。そこのコミュニケーションそして努力のところは、もっともっとチーム全員で頑張りたいですね。
――そのためには練習ですか?
練習もそうですし、オフフィールドでもみんなで繋がっていきたいですね。
――10番としての責任感もあるかと思います
昨シーズン、ずっと出させてもらいましたし、その分ルーキーでもないので、やっぱりチームを勝たせなければいけないポジションだと思います。そこの責任感はとてもあります。
――その責任感の裏返しで、とても悔しいということですよね
めちゃくちゃ悔しいですね。
◆ボールを離すタイミング
――この状況を乗り越えて、勝ちのムーブメントに持って行くためには何がポイントですか?
難しいですけれど、やっぱりラグビーのプレーだけじゃなくて流れというものは絶対にあると思うので、とにかく1試合まず勝つことだと思います。そこからエナジーも湧いてきますし、勢いも絶対についてくると思うので、まずは1勝。そこがキーポイントだと思います。
――チームとしてもこれだけ1勝に苦労するのは珍しいですよね
そうですね。珍しいと思います。昨シーズンと今シーズンでリーグワンのレベルも違うと感じていますが、勝つチームになっていきたいです。どこのチームも全体的にレベルが上がっていると思います。サンゴリアスも上がっています。いま勝てていないだけで、アタックもディフェンスも良くなれば、負けた2試合の相手にも勝てると思います。
――第4節の対戦相手クボタについてはいかがでしょう?
クボタのラグビーはすごくシンプルで、フィジカル面でアタックしてくるので、10番としては相手のフィジカルを上手く出させないようにコントロールしていければ良いなと思います。
――開幕戦が終わった後に小野ヘッドコーチが、ボールを手放すタイミングを今後戦術的にも考えなければいけないと言っていましたが、それについではどうですか?
ボールを離すタイミングはよく考えています。あまり持ちすぎても良くないので、離すタイミングは状況によって変えています。相手によっても変えますし、時間帯や自分たちの状況によっても変わってきます。
――まさに全体をコントロールしているということですよね
そうですね。ゲームのコントロールはしていると思います。
◆100%努力したい
――次の試合で注目して欲しいところはどこですか?
ゲームコントロールのところは見ていても難しいと思うので、簡単に分かりやすく言ったら、キックを100%決めたり、自分のランニングで空いているスペースを狙ったりというところです。いちばんは見ていて楽しいラグビーをすることで、それは良いことだと思いますし、僕らにとってもとても楽しいことだと思うので、そういうところを見て欲しいと思います。
――第2節はギリギリの試合でしたし、第3節は6度の逆転があって2度の同点のシーンがあって、試合として見ている方は面白かったと思います。やっている方としてはどうでしたか?
1、2戦目の時はどちらかと言えば、やっていてあんまり楽しくはなかったかなと思います。やっぱりサンゴリアスがボールを持って動かせれば、良い選手がたくさんいるので、3戦目は楽しかったなと感じます。
――クボタ戦に向けての意気込みをお願いします
そろそろ勝たないといけないですし、1点差でも良いので、そこに対して100%努力したいと思います。
(インタビュー&構成:針谷和昌)
[写真:長尾亜紀]