2024年11月29日
#932 ショーン マクマーン 『なぜラグビーが好きなのか』
練習試合で待ちに待った復帰を飾ったマクマーン選手。帰ってきたトップラガーマンに、現在の心境を聞きました。(取材日:2024年11月中旬)
◆いちばん良いコンディション
――3年ぶりのインタビューです。ようやく復帰して今はどんなコンディションですか?
コンディション的には今まででのキャリアの中でも、いちばん良いコンディションだと思います。フィジカル的にもメンタル的にも、いちばん良い状態だと思っています。残念ながらこの3年の中で怪我が続きましたけれども、今はいちばん良いコンディションです。
――いちばん良いコンディションというのは、リハビリなどを行い、より強くなったということですか?
リハビリの中で強くなったと思いますが、この3年間はとても難しい道のりでした。メンタル的にもフィジカル的にもとても大変な3年間だったので、それを乗り越えるためにより強くならなければいけませんでした。それを乗り越えた今、プロとしてのキャリアの14年間の中で、今がいちばん良い状態だと思っています。
――とても楽しみですね。怪我をしてもオーストラリアで治療するということはなく、ずっと日本にいました。その理由は?
シーズンが始まるタイミングなどで、怪我をしていました。まず手術はオーストラリアで行って、そこから1ヶ月間は飛行機にも乗れないのでオーストラリアで過ごしていたんですけれど、サントリーには素晴らしいスタッフ、トレーナーがいるので、出来る限り早くサントリーに合流しようと思いました。みんなも一生懸命頑張っていたので、みんなに出来るだけ貢献しながら、自分のリハビリのためにも、サントリーにいることが良かったと思います。だから出来る限り早くサントリーに合流して、一生懸命やりました。
◆楽しく過ごす
――考えていたよりも時間がかかったと思いますが、その長い時間を乗り越えられた要因は?
まずは、家族と子どもたちに感謝しています。家族のおかげで、大変な時を乗り越えられたと思います。身体については耐えなければいけませんでしたが、精神的なところがいちばんのポイントでした。サントリーのスタッフの皆さんにもとてもサポートしていただきましたし、そういうスタッフのサポートがなければ、乗り越えられなかったこともあったと思います。しっかりとサポートしてくれて、いろいろと支援してくれたことによって、乗り越えられたと思うので、とっても感謝しています。
――子どもたちも3年分、大きくなりましたね
そうですね。上の子が小学1年生で、下の子が幼稚園に通い始めた年なので、やっといろいろと理解し始めて、今は楽しく一緒に過ごしています。
――怪我が治ったということは、子どもたちとも身体を使って一緒に遊べるので良いでしょう?
そうですね。肩や膝などを怪我すると、最低でも2ヶ月間は何も出来ない状態です。妻や子どもたちに辛い思いをさせてしまいました。そこで妻が一生懸命頑張ってくれて、子どもたちをまとめてくれていたので、上手く回っていました、妻は本当に素晴らしい人です。
◆激しさと戦い、一体感
――怪我が治ってラグビーの試合をしてみて、何が楽しいと感じましたか?
まずやっと先週末に試合に戻れて、今までのキャリアの中でもいちばん緊張した準備だったと思います。本当に準備が足りているのか、ラグビーが出来るのかというところで、とても緊張していたんですけれど、試合が始まってボールに触れると、「なぜラグビーが好きなのか」、「なぜ今まで頑張って来れたのか」、そういうことが全て思い出されて、そこが素晴らしかったと思います。20分間しか出ていませんが、肺などは本当に辛かったですね。そういうことはありましたけれども、そういった思いが出てきたことは素晴らしかったと思います。
――「なぜラグビーが好きなのか」について、どんなことが思い出されたんですか?
まずは家族のためにラグビーをやっているんですけれど、やっぱり激しさとか戦いのところが好きということもありますし、チームメイト、仲間と一緒にラグビーが出来て、どんなに疲れていても辛いことを仲間と乗り越える、その一体感のところが素晴らしいと思います。
リハビリ中の時間が多く、仲間とずっと一緒にやっているように思われますけれど、結局は自分のトレーニングの時間になりますし、みんなとは別のことをやっています。やっとフィールドに立って、みんなと一緒にラグビーをして、一体感を持って仲間のために戦えるということが、素晴らしいことだと思います。
――仲間のメンバーもだいぶ変わりましたよね。初めてサンゴリアスに加わった時に感じた新鮮さがあるんじゃないですか?
自分は7年間、日本にいるので、その間、新しい人が入ってきていますし、チームから離れていった人たちもいます。新しいチームという感覚もありますし、一緒にプレーしていた人がヘッドコーチになっているということもあります(笑)。フィールドでもロッカールームでもミーティングでも、ずっと同じ時間を過ごしてきて、ずっと関わってきているので、それに加えてフィールドでのコンビネーション、新しい選手たちとの繋がりのところを、もう一度磨いていなかければいけないことが、新鮮なところかだと思います。
――インタビューをしていても良い表情をしていますね
復帰の話が出来るのは嬉しいですね。
◆試合に出る
――今シーズンの目標は?
まず目標としては、リーグワンの試合に出ることです。その中で出来る限り優勝に貢献することが自分の目標でもあります。そのためには毎試合、100%を出せる準備をして、フィジカル的にもしっかりと準備が出来ていることが重要だと思います。自分は激しい選手として知られているので、それを100%出せるような準備をしなければいけません。あとは、応援してくださる皆さんのために、しっかりと良いパフォーマンスが出せるように、フィールドに立つことが目標です。
――日本代表のチャンスはありますか?
残念ながらオーストラリア代表として活動していたので、日本代表にはなれません。元々日本人でオーストラリア代表になっていたら、何年か時間をあければ日本代表にもなれるんですけれど、オーストラリア人なので、そのチャンスはないですね。
――例えば、国籍を日本に変えればどうですか?
ハハハ(笑)。まだ時間が足りていないので出来ないですね。
(インタビュー&構成:針谷和昌/通訳:樋野ジェシー興太郎)
[写真:長尾亜紀]