2024年11月 8日
#929 中野 将伍 『楽しんで思いっきりプレーするだけ』
10月中旬の三菱重工戦が復帰戦となった中野将選手。現在の状態や目指すところを聞きました。(取材日:2024年10月下旬)
◆身体の状態やパフォーマンスを上げていくだけ
――状態はどうですか?
良くなって、状態も上がってきています。まだ調子が上がってきている段階だと思います。
――三菱重工相模原との練習試合はどうでしたか?
久しぶり過ぎましたが、まずは怪我なく無事に終われたことが良かったと思います。10~11ヶ月振りにプレーして、やっとここまで戻ってこれたという感じです。
――これだけキャリアがあっても、感覚的には難しい部分がありますか?
そうですね。期間が空いた分もありますし、練習の最初の頃は気にしながらプレーしたり、怪我をした箇所を考えながらプレーしたりすることがありました。そういった面では、あまり怪我のことを考えずにプレー出来るようになってきている段階かなと思います。
――前回の復帰と、今回の復帰はぜんぜん違いますか?
前回復帰した時はシーズン中ということもあって、完全に治っていない状態というか、ある程度はプレー出来る状態になって、あとはやりながら良くなっていけば良いなと思っていました。けれど、やっぱりプレーすると痛くなって、悪くなっている感じがしたので、またリハビリになったという感じです。
――そこで完全に怪我をしたというよりは、状態が良くないので、完全に治そうということだったんですか?
痛みがまた強くなってきていたので、リハビリに戻りました。
――その時と比べると状態は?
その時よりもぜんぜん、良い状態です。今はもう痛みが取れているので、あとは身体の状態やパフォーマンスを上げていくだけという感じです。
◆万全でプレーしたいという気持ち
――長いリハビリ期間はどうでしたか?
最初に痛めたのが2シーズン前のプレーオフ準決勝戦で、そこで痛めてから1年半くらいが経っていたので、いつ痛みが取れるんだろうと思いながらやっていました。何をするにも痛くて、日常生活でも痛みが出ていました。いちばんひどい時は車を運転しているだけで、患部がジンジンしていました。
――治るのかなという不安はありませんでしたか?
ありましたね。それでワールドカップに出られなかったので、その時は落ち込みました。
――その後のモチベーションは?
もちろん早くプレーしたいという気持ちがありましたけれど、一度痛めて、我慢しながらプレーして、ワールドカップも直前で行けなくなってということがあったので、万全でプレーしたいという気持ちが強かったですね。早くプレーしたいという気持ちもありましたけれど、いちばんはしっかりと治したいという気持ちでした。
――ワールドカップに行けなかった時の落ち込みは、どんな感じでしたか?
その時は、ワールドカップ直前の合宿でも痛みがありながらやっていたので、自分の中でも多少、覚悟じゃないですけれど、もしかしたらダメかもしれないという気持ちはありました。その中でもやれるところまではやろうと思ってやっていましたけれど、やっぱり難しかったかという感じでした。
――残念ではあるけれども、諦めもある程度はついていましたか?
走れないくらい痛くて、これじゃあプレー出来ないというくらいでした。
――そこから考えたら順調にきていますか?
ワールドカップに行かずにリハビリして、一度復帰してまた痛くなって、昨シーズンはずっとリハビリでした。段々とは良くなってきましたけれど、自分でも思ったより時間はかかったと思います。順調だったかと言われると難しいですけれど、今はしっかりと良くなってきているので、順調にきていると思います。
◆ラインブレイク、オフロード
――その時間を無駄にしないために、これからどう臨んでいきますか?
今はもう、楽しんで思いっきりプレーするだけかなと思います。
――自分が思うようなプレーは出来始めていますか?
先週も40分出ただけなので、これからしっかりと出していければと思っています。
――怪我の前よりも強くなっている部分はありますか?
リハビリ期間中もシーズンオフ期間中も、怪我をする前よりも良い状態で戻って、良いパフォーマンスを出したいという気持ちがありました。復帰に向けて毎日リハビリやトレーニングを続けて来られたので、しっかりと身体の準備は出来ていているかなと思います。スピードも数値的には、怪我をする前よりも上がってきていますし、身体も良い感じに絞れてきています。
――怪我の個所が使えなかった時に、それ以外の個所を鍛えるということもやったんですか?
そうですね。たくさんやりました。
――次の浦安D-Rocks戦では、どんなことをやってみたいですか?
元チームメイトのサム(ケレビ)がトイメンなので、楽しみですね。その中で自分らしいフィジカルなプレーで、ラインブレイクだったり、オフロードで味方のチャンスを作ることもそうですし、そういうところでチームに貢献していきたいと思っています。
◆ずっと試合に出続けて優勝する
――今シーズンの目標は?
ずっと試合に出続けて、優勝する、ということがいちばんです。そして試合でパフォーマンスを出すことが、いちばん大事かなと思います。
――しばらく優勝から遠ざかっていますが、チームの雰囲気はどうですか?
チームのスローガンが"WIN THE ONE"になって、毎日の練習から目の前の勝負にひとつずつ勝っていくということです。練習でも競い合う部分があれば、それに勝つマインドでやりますし、同じポジションの選手に勝つであったり、相手に勝つ、試合に勝つ、目の前の小さい勝負から勝ちにこだわるということが大事かなと思います。
――日本代表についてはどうですか?
もちろん代表に復帰して、ワールドカップに出たいという気持ちがありますし、前回は直前で離脱したということもあるので、次に向けて良いモチベーションになっていると思います。
――プレー出来る喜びは?
もちろんありますね。本当に最初の頃は、日常生活で痛みがないことが、まず嬉しかったですね。リハビリ中も、この動きが痛みなく出来るとか、このプレーの動作が痛みなく出来るとか、そういう"出来る"安心感がありました。思い切りラグビーが出来るということは嬉しいですし、楽しいですよ。まだ完璧という状態ではありませんが、あとは良くなっていくだけだと思うので、今は楽しみながらラグビーが出来ています。
――原点に帰ったみたいですね
そうですね。痛みなく出来ることが喜びですね。
(インタビュー&構成:針谷和昌)
[写真:長尾亜紀]