2024年6月 7日
#907 田中澄憲監督×堀越康介キャプテン 『選手から突き詰めていく』
6月1日に行われたサンゴリアス・フレンズデー。ファンの皆さんの前で、田中監督と堀越キャプテンにインタビューしました。その模様を再現します。
◆ラスト・ダンス
――最後の3位決定戦で勝って本当に良かったと思いますが、あの試合はどうでしたか?
田中監督: 3位決定戦は、準決勝で負けてメンタル的にはすごくタフだったんですけれど、次の試合があるからには、勝たなければいけないというマインドセット、気持ちを切り替えて最後にストロング・フィニッシュするということで臨んだ試合でした。勝ち切れたことは良かったと思いますが、最後に江見があのような形でトライを取ったのもとてもドラマがあるなと感じています。
――「江見は落とすかもしれない」と思ったとか
田中:昔、江見が下にあるボールを上から鷲掴みにして走ったプレーがあったので、そういうプレーをするんじゃないかなと一瞬見えたんですけれど、しっかりとボールを拾って行ってくれたので、良い意味での江見が出たなと思いました。
――キャプテンはいかがですか?
堀越キャプテン:東芝に負けてからメンタル的にも身体的にもタフだったんですけれど、その週のテーマはラスト・ダンスということで、その意味はもう一度サンゴリアスのプライド、スピリッツを見せよう、未来に繋がるゲームにしよう、周りの人たちにも感謝を伝えるゲームにしようと、みんなで挑みました。その結果として勝つことが出来て、来シーズンにも繋がるゲームにもなったと思うので、そこは勝ててとても良かったなと思います。
――ラスト・ダンスということで、ダンスは踊れましたか?
堀越:その週の毎練習後に、大賀宗志に踊らせました(笑)。
◆男として、良い男
――3位決定戦もそうですが、今シーズンはハラハラドキドキする試合がシーズンの最初からずっとあった気がします。その辺りを振り返って、監督、いかがですか?
田中:やっぱりそういうゲームが多かったなと思います。それだけリーグがタフになっているということもそうだと思うんですけれど、ひとつのプレーで一気に流れが変わる、その中で、例えば三菱とのゲームもそうですし、トヨタとのゲームもそうですが、最後に逆転で勝ち切れるというところは、選手の諦めない気持ち、クラブスピリッツにあるNEVER GIVE UPというところ、PRIDEというところがしっかりと体現できたのかなと思います。
――キャプテンはいかがですか?
堀越:やっている僕たちからしたら、めちゃくちゃキツかったですね。逆転のゲームが多くて、見ている人は楽しかったかもしれないですけれど、僕たちはヒーヒー言いながらゲームをしていました。
――見ている僕らもヒーヒー言っていたと思います。そういうゲームを続ける中で、堀越キャプテンの顔がどんどん良い顔になっていきました。監督から見てキャプテンはどうでしたか?
田中:男として、良い男だと思います。チームの先頭に立って、身体を張りますし、泥臭いプレーもしますし、決して話すことが上手いわけではないんですけれど、やっぱり背中で引っ張るタイプのキャプテンなので、それがどんどんシーズンが進むにつれて、凄味が出たというか、本当に良い男になったなと思います。
――トライも多かったですね
田中:途中からトライを意識して、モールから勝手に出ちゃうということもありました(笑)。
――試合後に必ず記者会見があるんですけれども、ふたりは記者会見のコンビネーションが良くて、メディアの皆さんから笑いを取ったりするナイスコンビです。キャプテンから見て監督はどうですか?
堀越:いちばん信頼できて、男だと思いました(笑)。それは冗談ですが、記者会見であまり笑いを取りにいっている感じはないですよね?個人的に、客観的に見て相性が良いコンビネーションだったと言われるのは嬉しいです。
◆グラウンドを回った時の光景
――監督とキャプテンの両方にお聞きしたいんですけれど、いちばん印象に残っているシーンや試合は?
堀越:本当にいっぱいあるんですけれど、トヨタ戦はほぼみんなが負けると思った試合で最後に逆転しましたし、僕の中でいちばん残っているのは、セミファイナルが終わった後、グラウンドをみんなで1周回ったんですけれど、その時の光景が未だに目に焼きついていて、もう1回、そこで火がついたじゃないですが、ラストもう1回勝とう、やってやろう思ったのは、正直、いまいちばん残っています。
――それはファンの光景ですか?
堀越:グラウンドから見たお客さんの光景もそうですし、その時のみんなの表情、すべてが焼きついています。
――昨シーズンの4位から、結果としてはひとつ上がって3位になりました。まだ少し早いですが、来シーズンで勝つため、優勝するために、サンゴリアスには何が必要だと思いますか?
田中:ちょっと専門的になるかもしれませんが、今シーズンは怪我人というところで苦しんだんですけれど、その中でも若い選手が気を吐いて、チャンスととらえて、特にフォワードで、そういうタフなゲームをモノにしたり、逆に勝ち切れなかったりという経験をしたと思うので、本当に大きな差ではなくて、小さなひとつのミスやひとつのプレーが大きな差を生むというところは、チーム全体として改めて思い知ったシーズンだったと思います。来シーズンはそういう部分を突き詰めていく、トレーニングでコーチだけじゃなくて、選手から突き詰めていくことが大事なんじゃないかなと思います。
堀越:選手目線から言うと、素晴らしいプランがあって、勝てるオプションがある中で、選手はグラウンドの中でプレッシャーがかかる中、どうやって100%遂行していくか、選手からしたらそこだと思うので、そこで遂行できるような100%の準備、そこはシーズンを通して、毎週毎週、毎日毎日、やっていくことが次の優勝に向けて、まずは大事なところじゃないかなと思います。
――ありがとうございました
(インタビュー&構成:針谷和昌)
[写真:長尾亜紀]