SPIRITS of SUNGOLIATH

スピリッツオブサンゴリアス

ロングインタビュー

2024年3月 8日

#894 尾﨑 泰雅 『思いっきり勝負する』

やんちゃで明るいイメージの泰雅選手。スピードと力強さそして安定感が増して、日に日に頼りになる存在になってきました。(取材日:2024年3月上旬)

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◆取り切るという大事さ

――第8節リコーブラックラムズ東京戦後の場内へのコメントで、「まだ課題があります」と話していましたが、その課題とは何ですか?

チームの課題としては、「取り切れるところで取り切れない」という課題が見つかりましたし、「容赦なく」というテーマを掲げている中で、もっと相手に容赦なくいけるようにならなければいけないという課題も見つかりました。

――62対0という点差でしたが、それでも課題を感じましたか?

前半であと2本、3本くらい取れる場面がありましたし、そのタイミングでトライを取り切っているのと取り切っていないのでは、相手のメンタルの部分が変わってきますし、自分たちが楽に戦うという意味でも、そこで取り切るという大事さを感じました。

――取り切るためには何が必要ですか?

「絶対にトライになるであろう」という考えを捨てて、全員で集中してトライを取り切るまでゲームを止めないということが大事だと思います。

――そうなるためには何をしていきますか?

練習中から常にトライを取り切るまで止めないことと、笛が鳴るまでプレーを止めないこと、とりあえず練習中からプレーを止めないことです。練習から常にそういう意識を持ってやることが大事だと思います。

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◆自分がやりたいことを頑張って伝える

――今シーズンのプレーは全体的にはどうですか?

個人的には自分の良い状態を保てていると思います。

――パワーアップしたところやレベルアップしたところは?

昨シーズンよりも身体が大きくなりましたし、ニュージーランド留学をさせてもらって、フィジカルが昨シーズンよりもアップしています。あと、試合を重ねる毎に、自分の自信が積み重ねられています。

――ニュージーランド留学でいちばんためになったことは?

自分より身体の大きい選手や自分よりもスピードのある選手がたくさんいる中で、ディフェンスで常に身体を当てる大事さを感じられましたし、アタックの部分でもそういう相手に対して、自分の持ち味であるアタックを出せるのかを考えて取り組んでいたので、そういう部分で自分のためになっていますし、いまそれを発揮できているのかなと思います。

――最初からうまくいきましたか?

最初はコミュニケーションの部分で難しく、最初から試合に出してもらいましたが、試合に出てもパスが自分の欲しいタイミングじゃなかったり、自分もパスが欲しいタイミングで「今放って」と上手く伝えられませんでした。ニュージーランドに行って最初の2試合くらいは、メンタル的にもキツイ部分がありました。なので、ニュージーランドに来て意味があったのかな、と思うこともありました。

――そこをどうやって乗り切ったんですか?

自分から話し掛けてみるとか、自分がやりたいことを頑張って伝えるようにしました。そうして試合を重ねる毎に少しずつチームメイトも信頼してくれるようになって、最終的にはチームの中心的な存在になることができました。そうなると、「自分にボールを集めて欲しい」ということも言えましたし、そうやって頑張れましたね。

――コミュニケーションの部分は、チームに戻ってからも活かせているんじゃないですか?

活かせていると思います。外国人選手が言っていることは分かります(笑)。チームの外国人選手は日本語を話そうとしてくれているので、ニュージーランドの時よりも分かりやすいですね。

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◆身体のブレが無くなってきた

――スピードのバネを強くしたいと言っていましたが、そこは上手くいっていますか?

上手くいっていますね。コアの部分が強くなってきて、身体のブレが無くなってきたので、スピードも増しましたし、良い状態ではあります。まだまだ必要な部分ですけれど、良い方向に向いているのかなと思います。

――身体のブレが無くなると、周りも見えやすくなりませんか?

そうですね。自分自身に余裕が出るので、自然と周りも見えるようになりますし、自分がやりたいプレーを出せていると感じています。

――良いことづくめですが、課題は何ですか?

まだまだフィジカル部分は成長できると思っているので、フィジカルの部分でディフェンスも良くなってきましたが、そこはずっと課題に思っている部分です。1対1のタックルの部分などが課題ですかね。あとアタックの部分では、いまは自分がやりたいようにやらせてもらっていますが、しっかりと周りを使うプレーや、周りをどう動かせばトライまで繋がるかということを、考えながらやっていかなければいけないと思っています。

――中村亮土選手からのタックル指導はどうですか?

もう最高です(笑)。その指導のおかげで、だいぶタックルに行けるようになっています。

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◆ディフェンスをこじ開けていける選手

――その中でのディフェンス、タックルの課題は何ですか?

身体が大きい選手に対して、飛び込むタックルじゃなくて、しっかりと脚がついて行くようにして、上体をおろすタイミングとか、細かなスキルをもっと磨いていかなければいけないと思っています。

――そういうスキルを身につけていけば、今まで出来なかったようなプレーが出来る予感はありますか?

毎回、ビッグタックルが出来るかは分かりませんが、そういうタックルも増えていくと思いますし、常に抜かれない、「こいつは抜かれない」と思われるくらいになりたいので、どんな状況でも止められるセンターになりたいです。

――アタックについてはどうですか?

もうちょっとフィジカルアップして、コアも強めて、もっと縦の強さも必要です。アタックの部分はある程度は通用していると感じているので、あとは運動量を増やして、もっとボールに絡む回数を増やしたいと思っています。

――縦に行く強さは、今も試合中に何度か見られますよね

それは空いているスペースが見えて行っているだけなので、チームの課題でもある相手陣地に入った時のアタック、相手の壁が分厚い中で、どうスペースをこじ開けていくかというところが必要だと思っています。そういうところで。ディフェンスをこじ開けていける選手にならなければいけないと思っています。

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◆父親は選手兼監督

――尾﨑兄弟は何人ですか?

4人です。一番上に姉がいて、二番目も姉で、その下が晟也で、僕になります。

――お父さんの影響でラグビーをしたそうですが、どんな影響でしたか?

物心つく前からラグビースクールに通わさせられていました。父親は結構やっていたラグビー選手で、最初はリコーから声がかかっていたそうですが、京都に帰りたいという思いがあったそうで、ユニチカとういチームで選手兼監督をしていました。選手兼監督をやりながら、ユニチカを社会人トップのリーグまで持っていきました。

――スクールに通うだけじゃなく、お父さんからも教えてもらっていたんですか?

そうですね。父親がスクールでも教えていましたし、今もユニチカのラグビー部では一番上の立場になっています。

――お父さんは厳しかったですか?

中学や高校1年くらいまではラグビーについて結構言われることも多かったんですが、それ以降はあまり言われませんでした。ここまで成長できたのも親のおかげなので、今は喜んでくれていると思います。感謝しています。

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◆タッチは敵だ

――チームとしては、今はどんな状態ですか?

今はとても良い状態です。怪我人が多いんですけれど、1人1人が120%の力を出して常に取り組んでいるので、お互いに求め合いますし、厳しいことも言い合える仲になっています。そういうところでチームとしては良い状況だと思っています。全員が同じ方向を向いて出来ていると思います。

――ウイングはラインの外に出るぐらいの場所で次のプレーに備えていたりしますが、そんな時には何を考えていますか?

ウイングで出ている時には、相手の裏の外のスペースを見たり、相手のフルバックやバックスリーの動きを見たり、それでチャンスがあるところを内側の選手に伝えたりしています。いつボールが回ってきても走れるタイミングを待って、準備しています。

――ボールが動き始めたら?

常に裏の動きを見て、こっちにボールが回ってきて、相手選手が上がってきたら、裏のスペースが空いていると味方に伝え続けたり、相手と味方の両方の動きを俯瞰で見ながら常に取り組んでいます。

――そして実際に自分にボールが来ると、どうなるんですか?

まずはタッチに出ないこと。「タッチは敵だ」と思っているので、タッチに出されないことと、あとは思いっきり勝負することです。チャンスメイクをするということと、裏のスペースを見たり、ボールが来たら走るだけと思っています。

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――裏のスペースを見るために気をつけていることはありますか?

ラックウォッチにならないということを心掛けていて、ポイントばかり見るのではなく、11番の時はいちばん周りが見えるポジションなので、両方の動きを見るようにしています。ラグビーにはそのポジションにしか出来ない動きがあるので、そこが11番ではいちばん大事なプレーかなと思っています。

――11番は自分に合っていると思いますか?

自分としてはいちばん13番が好きで、いちばんボールをもらえるので、そのポジションがいちばん合っているかなと思っています。ただ、11番でも与えられたポジションであれば、自分の出来ることをやるだけなので、どのポジションでも出来るということを見せたいと思っています。

――14番でプレーする兄・晟也選手にライバル意識はありませんか?

あまりないですね。でも、意識はしています。兄貴も頑張れと思っています(笑)。

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◆誰も想像しないようなプレーを見せたい

――今シーズンはずっと試合に出ていますね

チームから求められていることが出来ているのかなと思いますが、今の状況を当然とは思ったことはありません。試合に出ている時も楽しいですが、練習でお互いに高め合っている時もとても楽しいです。

――これからの目標は?

最終的な目標はこのチームで優勝することです。個人的には日本代表が目標ですし、このチームで11番か13番かどのポジションで選ばれるかは分かりませんが、常に23人のメンバーに入れるように頑張りたいと思っています。

――そこへの自信は?

自信はあります。

――以前のインタビューでは、「人が驚くようなプレーをしたい」言っていましたが、それについてはどうですか?

そこは継続しています。これからも誰も想像しないようなプレーを見せたいと思っています。

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(インタビュー&構成:針谷和昌)
[写真:長尾亜紀]

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