2024年2月 2日
#889 ハリー ホッキングス 『強いタックル・強いキャリー』
常にチームの勝利のためのプレーを見せてくれるホッキングス選手。成長を続ける秘訣はどこにあるのでしょうか?(取材日:2024年1月下旬)
◆ラインアウトディフェンスをもっと改善していきたいと
――三菱重工相模原ダイナボアーズ戦は、ホッキングス選手のラインアウトスティールから逆転トライが始まりました。バシッと決まりましたね
アオさん(青木佑輔/アシスタントコーチ)の分析もあり、相手の動きも予測できたところがありました。それに加え、ジャンプしている人だけじゃなく、リフトの人もしっかりと入ってくれて、1週間かけて準備してきたことが出来て、上手くボールが取れました。サンゴリアスとして、ラインアウトディフェンスをもっと改善していきたいという気持ちもあるので、その準備の段階ですが、良いスタートが切れたと思います。ここから少しずつ良くしていきたいと思います。
――あれほど上手く決まることはなかなかないですよね
ずっと前から改善しようとしていて、やっと結果が出てきたと思います。
――この後もあのようなプレーを期待して見ていていいですか?
出来る限り頑張ります(笑)。
――あのスティールから逆転トライに至るまで、長い攻撃が続きましたが、あの時にはどんなことを考えていましたか?
本当に緊張感がとてもあって、ミスをしないことを考えていました。練習の時から言っていますが、細かいディティールを常に精度高くやっていくことが大切で、そこから相手にプレッシャーをかけ続けることが大切だと思います。
◆リスクは取らないと結果はついてこない
――あのような場面では、出来ればボールは持ちたくないんですか?
欲しがらないのはダメだと思います(笑)。自分から欲しいという気持ちがないとダメですね。たぶんサンゴリアスの強みは、あのような場面でも全員がボールをもらいたがることだと思います。受け身にならずに自分から前に出ていけることが強みなので、やはりリスクは取らないと結果はついてこないと思います。そこはサンゴリアスのDNAの一部だと思います。
――そういう時にいちばん気をつけていることは何ですか?
まずはキャッチをちゃんとすることですね(笑)。最初にキャッチをして、そこからコンタクトした時もボールを落とさないようにして、強い姿勢でコンタクトに入るとサポートする選手も入りやすいので、強い姿勢を意識してプレーしています。
――あのシーンではホッキングス選手も含めて、みんながそういうプレーが出来ていたんですね
はい、そうだと思います。
◆ディフェンスで相手を攻撃する
――前回のインタビューで、ひとりひとりがレベルアップすることと言っていましたが、そこは今シーズン、試合を経て積み上がっていますか?
6試合を終えて5試合で勝てているので、それは良いことですけれど、まだ満足できる勝ち方をしていないと思います。まだパフォーマンスには満足できるところにいないので、レベルアップしないといけない部分はまだあります。ただ、これからの伸びしろもあるので、楽しみな部分でもあります。
――これから良くしていくところはどこですか?
いまチームとしては、ディフェンスに力を入れていこうと話しています。ディフェンスにはいろいろな要素があると思いますが、フォワードとしてはセットピースのディフェンス、チームのディフェンスです。いまトライを取られる数が多いので、もっと失点を抑えるために、ディフェンスを強化していこうとしています。
――例えば、そのためにはどんなことをしていますか?
今日のトレーニングではタフなモールのセッションなどをやったりしていて、練習からディフェンスにフォーカスして、高い強度でディフェンスをすることです。フィールドのディフェンスでもコネクションやタックルのところにフォーカスできていたので、チームとしても個人としても練習でのフォーカスを変えているという感じです。
――ディフェンスではひとりでは出来ないので、思ったようなディフェンスが出来た時には楽しいんじゃないですか?
はい、そうです。ディフェンスで相手を攻撃するということも楽しいですね。
――次の試合ではディフェンス勝負ですか?
ディフェンス勝負というよりは、ディフェンスを強化しているので、そこがしっかりと伸びているかですね。アタックを見続けて欲しいですが(笑)、ディフェンスも注目ポイントですね。
◆競争があるから全員が伸びる
――前回のインタビューでは、自分自身に51点という点数をつけていましたが、今は?
この質問は、いつも難しいですね(笑)。まだ伸びしろはいろいろあると思うので、51点で変わらないです。
――毎シーズン、毎試合で成長していると思いますが、順調に成長し続けることが出来ている理由は?
サンゴリアスは競争が激しいチームですし、ロックの中でもやはり常に競争が激しいです。良い選手がたくさんいて、その競争があるから自分も伸びないといけないんです。だから全員が伸びるんです。
――そこが東京サンゴリアスに加わった動機でもありますか?
サンゴリアスの環境がタフだと聞いていたので、そうなることは予測していましたし、楽しみにしていました。そういうチャレンジはとても好きですね。
――そのコンペティションを楽しんでいますか?
はい、楽しんでいます。個人的には競争力が高くて負けず嫌いなので、毎日の戦いが好きですね。
◆練習中でも勝ちたいと思っています
――どういうところで自分自身が負けず嫌いだと思いますか?
ゴルフコースですね(笑)。オフの期間では流と亮土(中村)とゴルフに行くんですが、3人とも同じくらいのレベルです。ゴルフというのは冗談ですが、常にチームメイトに負けたくないと思っています。選手全員が負けず嫌いなので、常に勝ちたいという気持ちをみんなが持っています。例えばウエイト場では、隣の人が頑張っていたら、自分ももっと頑張りたくなりますし、練習中でもモールセッションなどで勝ちたいと思いますし、スクラムでも勝ちたいと思っています。
――もしそこで負けてしまったら、次の練習や翌日の練習で更に頑張るんですか?
はい、そうです。
――勝ち負けが好きで、勝つことがより好きだということですね。そういう性格を自分で意識したのはいつ頃からですか?
兄が4人いて、そこで負けたくないという気持ちがあったので、子どもの時から常に負けず嫌いでした。
――お兄さんたちの年齢は?
兄は上から38歳、36歳、33歳、31歳、あと28歳の姉もいて、私が今年26歳です。
――全員背が高いんですか?
そうですね。その中で私がいちばん背が高いです。そこは勝ちました(笑)。
――男兄弟5人で何をコンペティションしていたんですか?
スポーツをいろいろとやっていましたが、全員ラグビーをやっていたので、兄たちがやっている時に参加して戦ったりしていました。家ではケンカなどもしましたね。ケンカはいつも負けていましたけどね。
――お父さんもお母さんも背が高いんですか?
そうですね。父もラグビーをやっていました。
――ご両親は日本でラグビーをやり活躍していることを喜んでいますか?
両親は何回か日本に応援に来てくれていて、いちばん上の兄は、前に近鉄でプレーしていました。もともと日本のラグビーのファンなので、いつも応援してくれています。
――次にご両親が日本に来るのはいつ頃になりそうですか?
2月の終わり頃に来て、リコー戦を見に来てくれる予定です。
◆モールをもっと引っ張っていきたい
――今シーズンこれからの目標をお願いします
目標は常に優勝することで、それに対してしっかりと努力をしていくことです。あと、今週末にはニュージーランドのブルーズとの対戦があるので、とても楽しみにしていますし、日本のラグビーを代表して試合が出来るので、まずはそこにフォーカスしています。その後にはホンダとの練習試合があって、その後にパナソニック戦になるので、楽しみな試合が連続で続いていきます。
――全部勝ちますか?
はい、全部勝ちます。
――バイスキャプテンとして気にかけていることは?
フォワードそして外国人選手のコミュニケーションですが、それは上手くいっていると思います。
――自分の中に今、ここを良くしていきたいという部分はありますか?
いろいろあります。まずはセットピース。特にモールのところをもっと引っ張っていきたいです。
――モールでは相手に結構押される場面がありますね
そうですね。そこはフォーカスしないといけない部分です。
――他に個人的に伸ばしたいところは?
あとはディフェンス。もっとドミネートするタックル、強いタックルに入れるようになりたいですね。アタックでは強いキャリーで前に出られるようになりたいです。
――強いプレーが増えていると思いますが、更に増やしたいということですか?
そうですね。もっとですね。
――日本に来る家族に、そしてファンに見て欲しいプレーは?
私のプレーとしては目立つプレーではないですけれど、常に一生懸命に泥臭いプレーをし続けるので、そこでチームへの影響力を持ちたいと思っています。
――いちばん背が高くて力強いプレーをしているので、目立っていると思いますよ
そうですね(笑)。出来る限り強いプレーを出したいと思うので、そういうところを見て欲しいですね。
(インタビュー&構成:針谷和昌/通訳:樋野ジェシー興太郎)
[写真:長尾亜紀]