2024年1月26日
#888 中野 将伍 『激しくプレーする』
身体を大きく強くし、「チームの勝利のために身体を張ってプレー」することを目指す中野選手。最後の最後の逆転トライで復帰戦を飾りました。 (取材日:2024年1月下旬)
◆キャッチしてから前を見よう
――三菱重工相模原ダイナボアーズ戦の逆転トライ、決めた瞬間の気持ちは?
たまたまあの時、僕が外側にいてボールが回ってきたという感じで、トライラインまでは見えていたので、ボールが回ってきた時には、あとはトライするだけという気持ちでした。タイミング的に、僕が外側にいました。
――相当慎重にキャッチをしていたように見えましたが
雨が降っていましたし滑る状況で、プレーが途切れたら試合が終わるという状況だったので、キャッチには結構集中して、しっかりキャッチしてから前を見ようと思っていました。先に前を見てしまうとボールを落としてしまう時があるので、キャッチしてからという感じでした。
――トライが決まった瞬間、勝利が決まりましたが、勝利に対する気持ちは?
まず勝てたことがいちばん良かったことと、チームとしては素直に喜べる試合内容ではなかったので、「まぁ勝てて良かった」という感じです。
――2試合続けての逆転勝利だったわけですが、選手としてはどうですか?
静岡ブルーレヴズ戦は出ていなかったので、試合での感覚は分かりませんが、もうちょい、気持ち良く勝ちたいという気持ちはありますね(笑)。
◆前に出て身体を当てよう
――前回は50人以上、今回も30人以上がボールを繋いでトライになりました
ミスせずそれだけボールを繋げられたというのは、みんな辛抱強く我慢して攻められていたのかなと思います。
――試合序盤から4連続でトライを取られた時は、どんなことを考えていましたか?
「まずは1本ずつ取り返すしかない」と思っていました。あの試合のテーマが「コンタクトをドミネートする」ということだったので、「まずは全員でそこをしっかりやろう、前に出て身体を当てよう」という話が出ていました。そこから少しずつ立て直せたのかなと思います。
――自分自身の調子はどうでしたか?
半年振りくらいの試合だったので、久しぶりの試合で思い通りのパフォーマンスは出せないだろうと思っていました。雨が降り難しいコンディションだったので、個人的に良かったこととしては、無事に80分間出られたことかなと思います。
――試合での80分間は、相当体力を消耗しましたか?
試合では緊張感もありますし、練習とは違う疲労感がありましたね。
――やり切ったという思いは?
無事に復帰できたということが良かったですね。あとは、パフォーマンスもこれからどんどん上げていけると思うので、ここからもっともっと試合に出てレベルアップしていく感じです。
◆レベルアップ出来る期間
――レベルアップするための課題は何ですか?
まずは試合に慣れていくというところですし、リハビリ中にフィジカルやスピードトレーニングをやっていたので、そこをもっと伸ばしていくところ。そしてスペースを攻めるためにマツ(松島幸太朗)とかをもっと上手く使っていければ、自分のことも活かせていけると思っています。
――身体は大きくなっていますね?
そうですね。リハビリ中はずっとJP(ジョン・プライヤー/S&Cアドバイザー)がチームにいたので、付きっ切りでトレーニングを見てもらっていました。
――怪我に関わらず、もっと身体を大きくしようと考えていたんですか?
怪我をしてプレーが出来ないという状況でしたし、代表活動などでプレシーズンのようなしっかりと身体を鍛える時期がなかったので、怪我をプラスに考えて、しっかりとトレーニングしてレベルアップ出来る期間にしようと思いました。そういう意味で、怪我をしてプレー出来ない時間をプラスに考えて、トレーニングが出来たかなと思います。
――身体が大きくなったことでスピードへの影響は?
身体を大きくするだけじゃなくて、しっかりとスピードトレーニングもしていて、怪我をした箇所はまだ良くなっていくと思うので、まだまだスピードも上がっていくと思います。
――怪我の功名で、更にパワーアップした中野選手を見ることが出来そうですね
そうですね。「怪我をする前よりもしっかりと成長して戻る」と考えてトレーニングをしていたので、前とは違うパフォーマンスを出せるようになっていきたいと思っています。
――怪我は珍しいですか?
昨シーズンは怪我をせずプレー出来ていたことが良かったですが、怪我はちょくちょくする方です。ただ、これだけ長い期間のリハビリは初めてでした。
◆1年1年しっかりとやっていきたい
――怪我でワールドカップに出られなくなった時の心境は?
その時にはかなり痛い状態だったので、急に怪我をしてプレー出来なくなったというより、ずっと痛い感じで、やれるところまでやり切ろうと思っていました。そうしたらプレーすることも難しくなって、代表から離脱したという感じです。途中から覚悟はしていたので、自分でも無理と判断しましたね。
――その痛みがあったところは完治しましたか?
しっかりとラグビーがプレー出来る状態になったという感じです。
――今後の日本代表、ワールドカップという目標は?
今回出られなかったこともありますし、4年後を目指します。ですが、まずは1年1年しっかりとやっていきたいという気持ちの方が強いですね。もうグラウンドには復帰したので、ここからはパフォーマンスを上げていくだけだと思っています。
――どんどんパフォーマンスを上げていって、どんなプレーをしたいですか?
自分のプレースタイルを変えるというよりは、自分の強みを今まで通り出して、激しくプレーするというところですね。自分の強みを出して、アタックでもオフロードでチームのチャンスを作ったり、自分で突破してチームに勢いをつけるとか、ディフェンスでも激しくコンタクトして前に出るというところを、見せたいと思います。
――12番と13番に関しては?
どちらもやるつもりで準備しています。最初のセットプレーが終われば、センターは内に入ったり外に行ったりするので、そういった意味では意識を変えることなく出来るかなと思っています。12番だと内側でボールを触ることが多くなるので、よりスペースを見てパスを使ったり、自分でキャリーしたりという判断は多くなるかと思います。
――パスのテクニックは上達していますか?
はい、良い感じだと思います。
◆細かいところをしっかりとやっていく
――チームがこれから更に良くなっていくためには、どうしていけばいいと思いますか?
練習などで常に競い合う、競争し合うことがチームのレベルアップに繋がると思います。
――少し時間が空いて埼玉パナソニック戦になりますけれど、意気込みは?
大一番になると思います。個人としては、試合に対しての準備をしっかりとしていくことですし、チームとしてもコンタクトで負けないところや、ブレイクダウンでターンオーバーされない、2人目のサポート、そういう細かいところをしっかりとやっていくことだと思います。
――ブレイクダウンはかなり練習していますか?
はい、そうですね。
◆ラグビーをやっている感じ
――今シーズンの目標は?
サンゴリアスに入って優勝できていないので、まずは優勝したいですね。個人としては、試合に出続けて、勝つこともそうですけれど、チームの勝利に自分のプレーで貢献するということです。味方のトライに繋がるチャンスが作れればいちばん良いですね。
――復帰したばかりなので、今は楽しい時ですか?
そうですね。やっと試合に戻ってこれたという感じで、楽しいですね。ラグビーをやっている感じがします(笑)。練習でもそうですが、試合では緊張感もありますし、試合でのパフォーマンスが大事になってくるので。
――良い方に緊張するタイプですか?
どっちの緊張かは分からないですけれど、試合では緊張しますね。緊張を楽しんでいるかは分からないですが、一回コンタクトをすれば緊張は取れる感じはあります。その後からは緊張が解れて、楽しさが出てきます。
――ファーストコンタクト後に注目ですね
そうですね。
――ファンへのメッセージをお願いします
やっとグラウンドに戻って来ることが出来ました。今後もしっかりとチームの勝利のために身体を張ってプレーをしていくので、引き続き応援をよろしくお願いします。
(インタビュー&構成:針谷和昌)
[写真:長尾亜紀]