2023年12月 7日
#879 特別編 チェスリン・コルビ&サム・ケイン 『感謝・チャレンジ・ハードワーク』
去る11月28日にコルビ選手、ケイン選手の入団記者会見が行われました。2人のコメントを質疑応答も含めてお伝えします。会見後には、ユニフォームを着用してグラウンドにての写真撮影も行われました。
◆フィールドに立つことが待ち切れない
コルビ:皆さん、こんにちは。チェスリン・コルビです(ここまで日本語で)。まずはこのような光栄な機会をいただき、非常に嬉しく思っております。先週の木曜日に家族と日本に到着したんですが、到着した日からサントリーのマネジメントスタッフ、プレーヤーの皆さんが温かく迎えて下さり、嬉しく思っているところです。このようなチャンスをいただき、フィールドに立つことが待ち切れないという思いがあります。
歴史と実績のあるクラブに入団できたことを誇らしく思うと共に、チームメイトと共に今後実績を残し、そこに自分の名を追加できることを非常に楽しみに思っています。また皆さんからの温かいサポートに恩返しが出来るようなプレーが出来ることを心待ちにしています。
ケイン:皆さん、こんにちは。サム・ケインです(ここまで日本語で)。まずは皆様、本日はお越しくださいまして本当にありがとうございます。またサントリーの皆様には私と家族を温かく迎え入れていただき、非常に感謝しています。リーグワンで自分に対しての試練を迎えることに対して、非常に楽しみに思っております。ニュージーランド以外では初めての海外でのプレーですが、大きなチャンスになると共に大きなチャレンジになることを楽しみにしています。
来日からの数日はなかなか忙しい日々を過ごしていますが、チーム全員、スタッフやプレーヤー、コーチ陣に会うことが出来て、とても楽しみにしているところです。素晴らしい方々が揃っており、またサントリーのような実績のあるチームに入団できたことを誇らしく思っております。明日がトレーニング最初の日となりますので、スパイクを履いてフィールドに出ることを心待ちにしています。(再び日本語で)ありがとうございます。
※以下、記者との質疑応答です
◆自分のスキルを磨くことが出来る
Q:日本のラグビー、リーグワン全体の印象と、東京サントリーサンゴリアスに入団を決めた理由についてお聞かせください
コルビ:まずは2019年のラグビーワールドカップ日本大会で来日をしたのですが、以来、日本のトップリーグ、リーグワンの評判は高く耳にしていました。4年が経ちましたが、日本のラグビーは非常にレベルが上がっており、チームそれぞれのスタンダードも上がっていると感じています。またリーグワンには日本のトッププレーヤーのみならず、インターナショナルのプレーヤーも数多く顔を揃えていますので、チームまたはプレーヤーに対して、自分に対してもテストのチャンスがありますし、そういった意味でリーグワンの一員になれることを楽しみにしています。
サントリーのラグビースタイルが自分にとって好ましく、近しいものがあると感じていると同時に、サントリーサンゴリアスが掲げるチームにおける価値が、自分が掲げているものと非常に近いと感じているので、ラグビーを通じて恩返しが出来ればと思っています。また自分自身の学びに繋げ、今後の成長に繋げることが出来るのではと思っています。
ケイン:自分が日本に来たのは5回目になります。これまでの経験からも、日本という国、人々、文化を非常に好ましく思っていましたので、このようなチャンスをいただき、家族と一緒に日本で過ごしたいと非常に楽しみに思って来日しました。もちろん自分の近しい友人たちが、サンゴリアスでプレーしていた経験があるからという理由もあります。ボーデン・バレット、ダミアン・マッケンジー、アーロン・クルーデンからも、サントリーサンゴリアスに関して良い話を耳にしていました。ここ2年間でリーグワンに関してもニュージーランドで放映される試合もありましたので、自分の旧友がリーグワンでプレーしているということもあり、実はニュージーランドでリーグワンの試合をずっと見ていました。
近年、スタンダードが上がっていて、レベルが上がっていると感じていた中で、このようなチャンスをいただき、自分もラグビープレーヤーとしての試練と捉えていますし、今回の経験を通じてラグビープレーヤーとして成長できるのではないかと思っております。スピードやアジリティーはリーグワンでは大きな要素となってくると思いますので、自分のラグビープレーヤーとしてのスキルを磨くことが出来ると思っていますし、そこを楽しみにしています。
◆自分らしくプレーする
Q:チームに加入することで、どのようなことをチームにもたらすことが出来ますか?
コルビ:日本のラグビーのスピードは十分に足りていると思いますが、自分としてもスタンダードを一緒に上げていきたいと思っています。サントリーのラグビーは良いところばかりだと思いますが、更に良くすることが出来ればと思っています。ニュージーランドや南アフリカでは違った形、違ったレベルでのラグビーがクラブレベルで行われていると思いますし、自分自身も6年間フランスでプレーしていたこともあるので、日本のラグビーとは違った形での知識などを前向きに共有できれば嬉しいです。
それと同時にリーグワンから学ぶこともたくさんあると思いますので、そういったところを吸収することを楽しみにしています。まずは自分自身、自分らしくプレーすること、自分らしさを表現することをしていきたいですが、チームの勝利に貢献することが出来れば嬉しく思います。自分のスキルやスピードを楽しみながら、ピッチでサントリーに貢献することを楽しみにしています。
ケイン:チェスリンが言ってくれた通りですが、このような新しい環境に入団する際に大事だと思っていることは、まずは自分たちに必要な時間を取り、チームの環境、チームのスタイルに慣れることだと思います。そこから自分たちがリードして、また自分たちが持っている知識やスキルを体現しながら周りに共有できれば非常に嬉しく思っています。毎試合毎試合を重ねて、チームとしてインパクトを与えながら、一緒にハードワークしていければと思っています。
そしてサントリーサンゴリアスはアタックのマインドセットが強いチームですので、それを使いながら、自分としてはディフェンスでも貢献できればと願っています。ターンオーバーなどでボールを取り返したら、隣にいるチェスリンにボールを回してトライまで決めて欲しいと思っています。
◆応援に応えられるようなパフォーマンス
Q:ファンにどういったところを見てもらいたいですか?
コルビ:自分自身、ここというところは挙げ難くて、チームとして見てもらいたいと思っています。アウトサイドバックスとしては、アタック、ディフェンス、キックゲーム全てに関わってきますし、何もないところからエキサイティングな結果を作り出すポジションだとは思っていますが、やはりチームの結果がありきですので、良い結果をもたらせるためにパフォーマンスするところを見てもらいたいと思っています。
また、ファンの皆様にお会い出来ることをとても楽しみにしています。先週、パナソニックワイルドナイツとの練習試合に行かせてもらいましたが、スタジアムに黄色と黒の色を身にまとったファンの方々の姿を見て、自分もとても興奮しました。シーズン中も会場でお待ちしていますので、自分のパフォーマンスないしはチームのパフォーマンスを現地で見ていただければと思っています。
ケイン:自分もチェスリンと非常に似ている意見で、ここひとつということはないんですが、自分自身にチャレンジを課しながら、チームの勝利に貢献できればと思っています。アタックのみならず攻守ともにチャレンジをし続けて、チームとして皆さんに誇りに思ってもらえるようなパフォーマンスを残せればと思っています。また自分自身が身に着けるジャージの意味を考えながら、身を粉にして毎試合パフォーマンスを残せるように切磋琢磨していきたいと思っています。
またチェスリンも言っていましたが、先週のパナソニックとの練習試合に関しては、来日2日目くらいでしたが、黄色と黒のジャージがたくさん目につきました。プレシーズンの試合でも関わらず、また2~3時間をかけてスタジアムに来ている方がいるという話を聞いて、非常に興奮しました。シーズンを通して皆さんにお会いできることを楽しみにしていると共に、皆さんの応援に応えられるようなパフォーマンスが残せるように頑張りたいと思います。
◆お互いに親睦を深めていくことも楽しみ
Q:お互いが味方になって戦うことについて、またリーグワンでどの選手と戦うことが楽しみですか?
コルビ:リーグワンには南アフリカ代表の選手がたくさん在籍していますので、彼らと対戦するということは少し変な感じがします。スーパーラグビーに在籍していた時には何度か対戦したことがあるのですが、リーグワン、日本という地で対戦するということは、変な感じはしますが、楽しみに思っています。
サムと一緒に並んでプレーする、ニュージーランド代表のキャプテンとなるようなプレーヤーと同じチームまたフィールドを共にするということは、とても光栄だと思っています。サムが培ってきた経験を学んでいくことを心待ちにしていますし、お互いに親睦を深めていくことも楽しみですし、実際に楽しんでいます。パナソニックとの試合を見ても、パナソニックとの試合はとても楽しみだと思いましたし、毎週毎週フォーカスをブラさずに、挑んでいきたいと思っています。
ケイン:チェスリンと入団を共に出来るということは、自分自身も楽しみにしています。彼が走り回ることを捕まえることよりも自分の味方に付いてくれていることの方が嬉しく思っています。長年ずっと尊敬していたプレーヤーでもありますので、フィールド外でも親睦を深めていくことを楽しみにしています。リーグワンで対戦を楽しみにしている相手は、クボタスピアーズに在籍しているデイン・コールズ選手が、第1節でプレーすることを切に願っています。
Q:サム・ケイン選手への質問です。オールブラックス(ニュージーランド代表)の多くの選手がワールドカップの後、リーグワンのチームに移籍していますが、その間、オールブラックスでプレー出来るチャンスがない、もしくは少なくなってしまうかと思います。そういった意味では、オールブラックスのセレクションのポリシーを変える必要があるかということ、またそういった時期にあるかについて意見を聞きたいと思います
ケイン:非常に良い質問だと思います。ニュージーランド協会の判断ですので我々が口を出すことではないかと思いますが、スプリングボクス(南アフリカ代表)のラグビーを拝見していても、リーグワンで活躍したプレーヤーがそのまま国際レベルでプレーしていて、かつ非常に良いパフォーマンスを残しているという実績もあると思います。
従って、私のように又は他のプレーヤーのように、短期間での契約を結んで日本でプレーするプレーヤーにとっては、まずは日本でパフォーマンスを残すこと、そこで本国に戻り、オールブラックスとしてまたラグビーをすること、それをすることで自分自身のラグビーを更に良くしていくこと、それこそが自分に課せられたチャレンジだと思っています。
そうやって実績を残すことでニュージーランド協会の判断も変わってくるのかなと思いますが、それと同時にニュージーランドにいる若手のプレーヤーにも、チャンスをどんどん与えていかないといけないという重要性も考えています。
◆夢を追い続ける
Q:ラグビーワールドカップのファイナルに出場していた2人として、シーズンに向けた意気込みを聞かせてください。またサム・ケイン選手については、次のオールブラックスの新しいコーチと会話をされたのか、そして次のオールブラックについての考えを聞かせてください。
ケイン:ここ数日間、チェスリンとラグビーの話はしていますが、メインとしては今後どうしていきたいかという話をしています。そして一緒にプレーすることを、とても楽しみにしています。新しいオールブラックスのコーチとは、先日も電話で長時間の会話をしました。どういったセレクションであれ、毎週自分がラグビープレーヤーとして良いプレーをすることには変わりありませんし、ニュージーランドの人たちも毎週自分のプレーを見てくれることは重々承知しているので、良いプレーをしてオールブラックスに選ばれる権利を得ることが、自分が出来る最大限のことだと思っています。
Q:世界的な選手になれた理由はどういうところにあると思いますか?特にチェスリン・コルビさんに関しては、大きな選手がいる南アフリカ代表で成功しているので、考えを聞かせてもらえればと思います。
コルビ:これまで簡単な道ではなかったとは思っています。2012年からインターナショナルレベルでプレーしていますが、自分のサイズについては、当時議論があったと聞いています。でも、自分は夢を追い続けることを決して止めず、クラブレベルからインターナショナルレベルに来るまで、様々な犠牲を払い、ハードワークを厭わず、信条高くここまでやってきたと自負しています。ここまで自分のことを信じてくれた皆様に本当に心から感謝をしています。自分の妻や子どもたち、両親は、大きな犠牲を払って自分を信じてきてくれましたし感謝してもしきれません。
夢を追うことが非常に大事だと自分でも思っています。自分のような小さなサイズ、あまり大きくないプレーヤーの皆さん、ラグビーをやっている皆さんへのメッセージになりますが、ファイトすることを止めないで欲しい。ギブアップしないで欲しい。そして信じることを止めないで欲しいと思っています。ハードワークをすることで必ず達成できます。
ケイン:自分がインターナショナルレベルでプレー出来るタイミングは、思ったよりも早く来たと思っていて、非常に感謝しています。どこを思い返しても、感謝することばかりだと実感しています。家族、自分が幼い頃からコーチをしてくれたコーチ陣、そしてチームメイトのおかげだと思っています。ずっと良いチームに恵まれて、素晴らしいコーチ陣にも恵まれたことを感謝しています。
個人のマインドセット、取り組みとしては、日々良くなること、日々精進することを常に掲げながら、自分のパフォーマンスを毎日ベターにするために切磋琢磨すること、そしてそこに自分のプライドを持つことを、常に心がけながらここまでやって来られたと思うと同時に、今後も邁進していきたいと思っています。
◆チームファーストを掲げられる個人の集まりこそが最高のチーム
Q:ここまでサンゴリアスには世界的な選手がやってきていますが、活躍するけれども優勝を逃しているという経緯もあります。自身が活躍することと優勝することの違い、その差を埋めるためには何が必要だと考えますか?
コルビ:サントリーにはとても良いプレーヤーが在籍していましたし、そういうクラブだと思っていますが、最後に優勝するようなチームに大事なことは、カルチャーかなと思います。サントリーには非常に良いプレーヤーが揃っていますし、マネジメントスタッフも非常に素晴らしいスタッフが揃っています。チームのためにベストを尽くすことを厭わない方々が多いので、プレーヤーとしてはハードワークをしながら、ゲームデイの日には自分の身を粉にして、パフォーマンスを残すことに尽きるかなと思います。カルチャー、自分の家族、環境といったもの、全てが揃って初めて新しい道を開くことが出来ると思います。
ケイン:来日してまだ日が浅いところではありますが、クラブから受ける印象は非常に勝つことにハングリーであり、勝つことを心から願っているチームだと思っています。そのようなチームの一員になれることは非常にエキサイティングだと思っています。自分の性格にも非常に合っていると思っています。
チェスリンが言った通りだと思いますが、自分としては、チームファーストを掲げられる個人の集まりこそが最高のチームだと思います。各個人がベストパフォーマンスを残す、それが集大成となることが、最高のチームを生むことだと思っているので、決勝の日にはそういった形でのパフォーマンスを残すことが出来ればと思っています。
(インタビュー&構成:針谷和昌/通訳:楠瀬紫野)
[写真:長尾亜紀]