2023年10月20日
#872 トニー アロフィポ 『5年間日本でプレーして日本代表を目指したい』
昨シーズン初キャップを獲得した試合で初トライを挙げたアロフィポ選手。その時のチームメイトたちのスタンドでの大歓声は、彼がどんな選手なのかを物語っていたのではないでしょうか。(取材日:2023年9月下旬)
◆プレッシャーよりも楽しみ
――2021-22シーズンから東京サンゴリアスに加わり、この間どんな2シーズンでしたか?
とても成長したと思います。母国オーストラリアと日本ではプレースタイルも違いますし、リーグワン自体がスーパーラグビーよりも速いテンポのラグビーです。その中でもサンゴリアスは、より速いテンポのラグビーをしています。
――2022-23シーズンにデビューを果たしたわけですが、実際にリーグワンの試合に出場してみてどうでしたか?
とても楽しかったです。そのために一生懸命やってきていますし、ナイトゲームだったのでいつもと少し雰囲気は違いましたが、プレッシャーよりも楽しみという気持ちの方がありました。
――チームメイトがスタンドで盛り上がっていたのは聞こえましたか?
聞こえていました。
――あれだけチームメイトが沸くということは、普段から一生懸命ラグビーに取り組んでいて、それをチームの仲間が認めているんだなと思いました
みんなの応援を感じられたのが、とても嬉しかったです。
◆走りながらコミュニケーションを取る
――どこが成長したと思いますか?
ワークレートとコミュニケーションのところだと思います。チームに合流した当初は走ることは出来ましたが、それを繰り返すことが難しかったですね。それはやらなければいけないことなんですが、そこが成長したかなと思います。
――コミュニケーションの部分は?
疲れていてもコミュニケーションが取れるところ、走りながらコミュニケーションを取ることです。あとハドルの中で、自分の意見を言えるようになったと思います。
――得意分野で、更に良くなったところはありますか?
いちばんの強みは、フットワークとボールキャリーのところだと思っています。あと左利きなので、そこで他の人との差が生まれると思っています。左足で蹴ったりとか、左に切れ込んだりとかですね。
――更に成長させたいところはどこですか?
ディフェンスの理解度、目の前で何が起きているかを理解出来るようになりたい。そこをもっと伸ばしたいと思います。現時点では、まだ70%くらいだと思っています。
――意外と良いですね
あぁ、じゃあ60% (笑)。
――残りの40%をどう伸ばしていきますか?
コーチたちと話して、細かいドリルなどをやっていって自信をつけていき、グラウンドでも同じことを再現できるようにしていくことだと思います。自分の居心地の良い場所から出ている時でも、どれだけプレッシャーをかけられている時でも、それが出来るかだと思います。
◆家族と初めて離れる
――日本に来ようと思ったのはなぜですか?
オーストラリアでアカデミーに残るか、サンゴリアスとプロ契約を結ぶかのオプションがあった時に、プロ契約することを選びました。スタンダードがアカデミーとプロでは全く違いますし、オンフィールドでもオフフィールドでも成長するためにです。若い時に同じ年代の選手としか対戦していないのと、経験ある選手と対戦できることでは、全く違ってくると思いました。
――オーストラリアを出ることには抵抗はありませんでしたか?
抵抗はありましたが、それはラグビーのことよりも、家族と初めて離れるという部分でした。初めて家族と離れて違う国で1人で住むという部分が、いちばん抵抗あったことです。
――家族にはどう説明しましたか?お母さんが泣いたりしなかったですか?
はい、でも全部大丈夫と言いました。電話1本ですぐに戻れるからと(笑)。
――日本に来てラグビーが上手くなるという目標があると思いますが、その先の目標はありますか?
5年間を日本でプレーして、日本のパスポートを取得して、日本代表を目指したいと思っています。
――その手応えはありますか?
ここで満足せずに常に努力してやっていければ、達成できると思っています。
◆10番と12番、どちらも好き
――21歳とまだ若いと思いますが、落ち着いて見えます。自分の性格はどんな性格だと思いますか?
自分の役割として10番か12番で、みんなをまとめなければいけませんし、仕切っていかなければいけないので、何かミスをしてもすぐに次の仕事を考えなければいけません。だから常に冷静で、次の仕事を考えるようにしています。
――グラウンド外ではどうですか?
サンゴリアスに来た当初は、とても静かだったと思います。今の環境にも慣れてきましたし、仲間と笑いあったりしていますが、落ち着いてはいると思います。
――10番と12番はずっとプレーしてきたポジションですか?
学生の時はずっと10番をやっていて、サンゴリアスに来てからは、ほとんど12番でプレーしてます。
――どちらのポジションが好きですか?
どちらも好きですが、12番の方がもっと自由に、自分の強みであるボールキャリーを活かせるかなと思っています。10番は周りを仕切ったり判断できるポジションなので、どちらも好きです。
――キャプテンなどの経験はありますか?
学生の時にはキャプテンをやっていました。あと、長男でもあります。
◆チームメイトが良いプレーをすると自分も気持ちが良い
――ラグビーの面白さはどこにありますか?
まずラグビーを始めた理由は、周りの友だちがラグビーをやっていて、自分も一緒にラグビーをやるようになって、出来るという思いからどんどん次のステップへと進んでいきました。今はいろいろな国の人と友だちになれたり、繋がりを持つことが出来るので、ラグビーが好きです。
ラグビー自体で言うと、アタックですね。アタックでキャリーが出来たり、1対1で抜けることも好きです。あとチームメイトを活かせるポジションなので、チームメイトが良いプレーをすると自分も気持ちが良いです。アタックで1m前に出られるとか、インターセプトでトライを取るとか、そういう細かい部分も楽しいですね。
――アグレッシブ・アタッキング・ラグビーが合っていますね
はい、そうだと思います。
――今シーズンの目標は?
個人的には昨シーズンよりも試合に出場すること、良いパフォーマンスをしてどんどん信頼を勝ち取ることです。チームとしては、昨シーズンは4位という成績だったので、より良い結果を残して優勝できるようにしたいと思います。
――昨シーズンよりも試合に出ることへの自信は?
達成できる自信はあります。
(インタビュー&構成:針谷和昌/通訳:樋野ジェシー興太郎)
[写真:長尾亜紀]