2023年10月13日
#871 イザヤ プニヴァイ 『ラグビーの魅力はディフェンス』
ニュージーランド出身の謙虚で明るいプニヴァイ選手。1年目5試合の出場に、どんな手応えを感じているのでしょうか。(取材日:2023年9月下旬)
◆もっと自分の強みを活かしていく
――昨シーズンからサンゴリアスに加わり5試合に出場、手応えは?
良かったと思いますが、今の方が自信がありますし、頼れる選手になって来たかなと思います。
――シーズンが終わってからここまでの間に成長したということですか?
見直すことは簡単なことですが、映像などを見返すと、今の自分の方がもっと良いパフォーマンスを発揮できたんじゃないかと思います。
――昨シーズンからの反省で、何かを強化したんですか?
スタッフからの昨シーズンのフィードバックとして、もっと自分の強みを活かしていくという話がありました。自分の強みとしては、ボールキャリー、オフロード、リーダーシップの3つで、今はもっとそこを意識して取り組めていると思います。
――話しぶりは大人しそうですが、リーダーシップもあるんですね
人と話すことも人前で話すことも、得意な方だと思います。今まで学生の時などにリーダーシップグループなどに参加していたことがあり、以前まではリーダーにならなければいけないという考え方でやっていましたが、今は、リーダーに選ばれたのは自分には選ばれている理由があるからと考え、自分らしくやっていけばいいとだけ思って取り組んでいます。
――それは過去から学んだことですか?
キャプテンをやったのは1つのチームだけですが、その時は良い選手がいたから良い結果がついてきました。ただ、個人的なパフォーマンスとしてはあまり良くありませんでした。その時は、リーダーシップを気にし過ぎていたんだと思います。
――サンゴリアスではリーダーの一人として、キャプテンと話すことはありますか?
リーダーシップのスタイルの話よりも、ゲームプランをどうやって伝えるかなど話したりします。
◆ニュージーランドに帰りたくない
――ニュージーランドから日本に来るきっかけは?
正直に話すと、日本に来る予定はありませんでした。怪我をしたこともあってニュージーランドでの契約がなくて、そこに運よくオファーが来たので日本に来ました。
――日本に対するイメージは?
私の彼女がニュージーランド人と日本人のハーフで、自分自身は日本に来たことはありませんでしたが、日本の情報は事前にいろいろと知っていました。それと、一度スーパーラグビーから離れてみようと思い、実際に離れたことは良かったと思っています。
――どこが良かったんですか?
クルセイダースで2年間プレーしましたが、2年間のうち1試合しか出場できませんでした。自分の成長が止まっている感じがしていて、一度リセットして、日本でやり直す気持ちを持ちたかったんです。そして日本には1年だけで、またスーパーラグビーに戻ろうかと考えていたんですが、日本の素晴らしさを感じて、また東京サンゴリアスと契約をしました。
――今後のプランはどう考えているんですか?
ラグビーを通じて新しい国、新しい人に合えるので、素晴らしいツールだと思いましたし、日本に来て1~2ヶ月で、ニュージーランドに帰りたくない、と思いました。日本は素晴らしい国で良い人がたくさんいます。周りのみんなが優しくてすぐに馴染めましたし、みんなと一緒にやっていけるところが素晴らしいと感じています。今のプランとしては、出来る限り長く日本にいたいですし、カテゴリーAになれるように努力したいと思っています。
――ニュージーランドと日本は似ていると聞きますが、実際にはどうですか?
ニュージーランドも日本も同じように優しいという部分があると思いますが、優しさが少し違うように感じます。日本は人に対するリスペクトが大きいと思います。コンビニでも駐車場でも、おもてなしがとてもありますし、道端で急に知らない人が話しかけてくることは、あまりないですよね。ニュージーランドはフレンドリーで、誰でも道端で話し合うような関係性があり、優しさのスタイルが違うように思います。
◆もっとチャレンジすべきだった
――今シーズンの目標は?
いちばんの目標は、優勝できるように自分が貢献したいと思っています。その中で個人としても成長しなければいけません。
昨シーズンは、亮土(中村)や将伍(中野)に対して、もっとチャレンジをすべきだったと思っています。1シーズンを日本で過ごしたことで自信がついてきましたし、今シーズンでは自分のパフォーマンスやレベルを上げることが出来れば、もっとチャレンジできるようになると思っています。そうなることでチームとしての競争も激しくなり、チームとしてのレベルも上がっていくと思っています。
――話を聞いていると謙虚さがありますね
そこはニュージーランドらしさなのかもしれませんし、私の親も謙虚な人たちです。
――ラグビーの魅力はどこだと思いますか?
ラグビーの魅力となると、やはりディフェンスかなと思います。ディフェンスで結果を残すことの方が、アタックで結果を残すことよりも気持ちが良いですね。相手がどんなアタックをしてきても、それを全て止められた方が強いメッセージになると思います。
――強さを見せられるということですか?
そうですね。相手が何をしてきても止められるという自信が持てます。そこをファンの人たちにも、見てもらいたいと思います。
(インタビュー&構成:針谷和昌/通訳:樋野ジェシー興太郎)
[写真:長尾亜紀]