2023年10月 6日
#870 カラム マクドナルド 『日本に着いた瞬間から日本を愛していた』
来日2年、サンゴリアス入団1年の豪出身マクドナルド選手。優しい笑顔に隠された、ラグビーへのプライドを訊きました。(取材日:2023年9月下旬)
◆とても苦戦したシーズン
――昨シーズンからチームに加入し1試合の出場、手応えは?
サンゴリアスのスタンダードがとてもく高くて、みんなのスタンダードについて行くだけでも大変でした。1試合の出場で、ジャージを掴むまでにとても苦戦したシーズンでした。
――スタンダードについて行くことが出来たからジャージを掴めたということですか?
1年間通してハードワークをして、自分としても成長していると実感できましたし、ひとりひとりの選手、スタッフから信頼を勝ち取れたことで、ジャージを掴むことに繋がったのかなと思います。今シーズンもまたジャージを掴むことは難しいと思うので、同じようにハードワークをしていかなければいけないと思っています。
――成長した部分はどこですか?
いちばん成長した部分は、セットピースだと思います。モール、ラインアウト、スクラムですね。ホッコ(ハリー・ホッキングス)やサム・ジェフリーズのような良い選手が周りにたくさんいて教えてもらえるので、そこは本当に恵まれていると思います。
◆ディフェンスがいちばんコントロールできる
――課題は何ですか?
いちばんフォーカスする部分は、セットピースだと思います。セットピースはまだまだ成長できると思っています。今は改善点だけを意識していくのではなく、自分の強みも活かせるようにしていかなければいけないので、そこを活かしながらセットピースを更に良くしていきたいと思っています。
――活かす自分の強みは何ですか?
フィジカルのところとディフェンスだと思っています。ディフェンスやラック周りのフィジカルのところが好きで、ラグビーをやっていますし、身体が大きいので、そういうところでインパクトが残せると思っています。
――ディフェンスのどこが好きですか?
ディフェンスがいちばん、自分がコントロールできる部分だと思っていて、しっかりとぶつかると意識していればその通りに出来ますし、自分が受け身だとそういうディフェンスになってしまいます。いちばんタフに当たれる場面が、ディフェンスだと思います。
――身体の大きさも意識してのことですか?
その通りですね。相手に身体の大きい選手がいる時に、自分が対面になって勝つと楽しいですし、バックスが走り回っている時に当たると気持ちいいという部分もあります。
――コンタクトが好きなんですね
身体が大きいので、そこを活かさないとグラウンドに立つ意味が無いと思っています。
◆もっと低く入らなければ
――サンゴリアスの前に1年間浦安Dロックスでプレーしていましたが、オーストラリアから日本に来るきっかけは何だったんですか?
オーストラリアの中でプロでプレー出来る契約が無かった時に、ローリー・フィッシャーという有名なコーチに相談に行きました。「どういうことをやればプロのラグビー選手になれるのか?」と聞いたら、「どこであれ、オファーが来たらそれを取れ」と言われ、最初にオファーをしてくれたのが浦安だったので、それで日本に来ることになりました。
――日本のラグビーをやってみてどう感じましたか?
とても速いと思いました。日本人選手はボールキャリーをする時に低い姿勢になるので、自分のタックルの姿勢、ブレイクダウンに入る姿勢など、今までよりももっと低く入らなければいけなくなりました。今でも改善の余地はありますし、前向きに取り組んでいるところです。
――浦安Dロックスから東京サンゴリアスに移った理由は?
自分の目標は日本代表に選ばれることなので、サンゴリアスの方がより良い環境だと思いましたし、サンゴリアスの方が日本代表の夢が近づくんじゃないかなと思って移籍しました。
――いつ頃から日本代表を目指そうと思ったんですか?
日本に着いた瞬間からです。日本に着いた瞬間から日本を愛していました(笑)。
――日本で暮らしていくことも考えているんですか?
今のパートナーはオーストラリアで仕事をしていますし、親も帰ってきて欲しいという気持ちがあると思うので、いずれはオーストラリアに戻ることはあるかもしれません。その中でいちばん避けたいのは、日本でラグビーをやって引退した後に、一生日本に帰ってこないということは避けたいと思っています。
――日本代表の先の目標はありますか?
まずはサンゴリアスでリーグワン優勝を果たしたいと思っています。日本代表に選ばれて、そしてオーストラリアで2027年に行われるワールドカップに日本代表として出場したいと思っています。一生懸命やらなければいけないと思っていますが、現実的な目標だと思っています。そのためには、少なくともサンゴリアスで3年はプレーして、成長していきたいと思っています。
◆ラグビーをやる理由はディフェンス
――ラグビー選手には大きくて優しいというイメージがありますが、マクドナルド選手もそういう選手ですか?
優しいと思います(笑)。ラグビーする時は違いますけどね。
――野球を長い間(7歳~18歳)やっていたんですね
はい、野球一家で、父も兄もやっていました。兄は5シーズン、MLBのヒューストンアストロズなどで投手としてプレーしました。最高球速97マイル。僕はそんなに投げられなかったので、ラグビーを選択しました。
――日本のファンにどこを見てもらいたいですか?
ディフェンスです。私がラグビーをやる理由はディフェンスです。個人的に良いセットが出来て、思いっきり当たりにいく準備が出来ているのに、その前に味方がジャッカルしてしまうと、少しイラっと来る時があります(笑)。だから、試合では何回当たりに行っているか、見てもらいたいですね。
――箸本龍雅選手もディフェンスが好きと言っていました
ロッカーで隣同士なのでよく話します。それに菅平合宿でも1回、ルームメイトになりました。すごく良い選手でよく話をします。僕らのディフェンスを見ててください。
(インタビュー&構成:針谷和昌)
[写真:長尾亜紀]