2023年8月18日
#863 ハリー ホッキングス 『サンゴリアスでやり切りたい』
サンゴリアスのレギュラーとして毎年着実に成長を遂げているホッキングス選手。チームへの気持ちと目指すところを聞きました。(取材日:2023年7月下旬)
◆身体を大きくしたい
――今はどういうスケジュールで活動しているんですか?
シーズンが終わった後、ワールドⅩⅤとしてバーバリアンズとロンドンで試合をしました。その後に日本に戻って少し身体を休ませてから、家族とヨーロッパに旅行に行きました。ギリシャで知り合いの結婚式に参加して、そこから帰ってきて、やっと少しずつ身体を動かしているという感じです。
――毎シーズン、身体が大きくなっているように感じますが、意識していますか?
実際に身体が大きくなっているかは分かりませんが(笑)、目標としては毎シーズン、ジムで一生懸命トレーニングして身体を大きくしたいと思っていますし、今からプレシーズンに向けて身体を動かし、プレシーズン中に身体を大きくしたいと思っています。
――身体を大きくした方が自分のプレーが良くなるんですね?
バランスだと思っています。身体が大きくなり過ぎたり重くなり過ぎると、フィットネスやスピードが落ちてしまいます。ポジションや人によって、どのくらいのサイズが自分にとっていちばん良いのかというバランスが、とても重要になってくると思います。
――もっと身体を大きくしても大丈夫そうですか?
大きくなれる可能性はあると思いますが、S&Cコーチは専門的な人たちなので、そういった人たちに任せて取り組んでいます。今の大きさでも問題なく動けていますが、更に良くなれると思いますし、改善の余地はあると思っています。
◆全てを強みにしていきたい
――2022‐2023シーズンではベスト・タックラーを獲得しましたね
ディフェンスはチームでやることなので、個人の成績よりもチームのシステム、チームがやろうとしていることが上手く回っていたおかげで、ベスト・タックラーになれたと思っています。コーチから落とし込まれていたメッセージなど、すべて上手くいっていたんだと思います。
――タックルはもともと得意なんですか?
そうですね。全ての面を強みにしていきたいと考えていますが、強みのひとつだと思っています。ただ、ベスト・タックラーに輝くとは思っていなくて、とても光栄だと思っています。
――ラインアウトやモールはターゲットにしていたと思いますが、タックラーはテーマに出ていなかったですよね
練習では常に全てに取り組んでいるので、そのおかげだと思います。
◆個人的なスキルを1人ずつ上げていく
――ターゲットにしていたモールも良くなりましたよね
とても良くなったと思いますし、重要な場面でモールから勝ち取れた場面もあったと思います。ただ、まだ改善できるので、伸びしろがあると思っています。
――チームとしても個人としても良くなったと思っていますか?
どちらもだと思います。1人1人のスキルも重要ですが、チーム全体としてもまだ伸びしろがあると思っています。
――モールを良くするポイントは何ですか?
このひとつと決めることは難しいですが、いまアオさん(青木アシスタントコーチ)などがどこを改善するかをプログラミングしてくれていると思います。自分が考えるポイントとしては、個人的なスキルを1人ずつ上げていくことが大事だと思います。身体の入れ方、ポジショニングなどを1人1人が改善していくことによって、より良くなっていくのかなと思います。
――モールが良くなったということは、身体の入れ方、ポジショニングが良くなったということですか?
練習から1人1人が意識してモールに取り組んでくれていたことによって、1人1人のレベルが上がって、それがひとつになって上手くいったんだと思います。
――ボールキャリーをする姿も目立っていたと思いますが、目指しているプレーに近づいていますか?
まだ理想とする形がないのでやることは沢山ありますし、アオさんと一緒にボールキャリーの練習をしてきて、厳しく教えられてきたので、継続的に取り組んでいきたいと思っています。
――青木コーチは厳しいですか?
とても優しい人なんですが、コーチなので厳しくしなければいけない時には、厳しくできる人だと思います。
◆51%
――ベスト・フィフティーンに選ばれたことについてはどうですか?
そこもチーム全体のパフォーマンスや、コーチ陣が落とし込んでくれたシステムを全員がやってくれたことによって、その中で自分もパフォーマンスが発揮できたんだと思います。
――2022-2023シーズンが開幕した直後に聞いた時には、目指す姿にはまだ50%と言っていましたが、シーズンが終わってどのくらいまで上がりましたか?
51%ですかね(笑)。その1%は歳をとって賢くなった部分だと思います。
――今の課題は何ですか?
タイミング的な部分で考えると、今の時期は身体をつくる時期だと思います。出来るだけ強くて、速くて、フィットネスを上げられる状態を作っていきたいと思います。シーズンに入ると、モールやボールキャリーのスキルなどを上げていきたいと思いますが、いま取り組んでいることは身体づくりです。
――チームとしての課題は何だと思いますか?
準決勝を14人で戦ったり、3位決定戦で最後に勝てそうな場面があった中、敗れて4位になってしまいました。課題をひとつ挙げることは難しいんですが、チームとしてプレシーズンを通じて1人1人のレベルを上げて、それぞれのレベルが上がった後にチームとしてまとまり、チームとして戦えるようになっていきたいと思っています。ひとつひとつ細かくやっていくことが、とても大事だと思います。
――他の選手にアドバイスをしたり、他の選手からアドバイスを受けたりすることもあるんですか?
1人1人に自分の個性、強みがあると思うので、例えば、私だったらラインアウトについて他の選手にアドバイスをすることは出来ると思いますし、ショーン・マクマーンからボールキャリーを教えてもらうこともあります。お互いに自分の強みを教えてあげることは、大事だと思います。
◆仲間と同じ目標を持って取り組む
――毎シーズン成長していてラグビーをやっていて楽しいんじゃないですか?
とても楽しいです。
――どこが楽しいと感じますか?
このチームは職場になりますが、とても良い職場だと思いますし、毎日仲間と同じ目標を持って取り組むことがとても楽しいです。
――オーストラリア人としてもとても背が高いと思いますが、自分の身体の特性をラグビーで存分に発揮していると思いますか?
そう思います。ロックとしては身長が高い方が有利ですし、活かせていると思います。
――他のスポーツをやろうと思ったことはありませんか?
小さい頃はいろいろなスポーツをやりましたが、ラグビーをいちばんに取り組んでいました。プロのゴルファーには興味がありますけどね(笑)。
――ゴルフボールが飛びそうですね
ボールとの距離が遠いので、いつもずれてしまいますね。
――プロゴルファーは目指しますか?
ゴルフは好きですが、可能性は無いと思います(笑)。
◆出来る限り長くこのチームでやりたい
――2025年には日本代表の権利を得ますが、日本代表を目指していますか?
今は目の前にあるサンゴリアスのラグビーに取り組みたいと思っていますが、2年後にまだ可能性があるんだったら目指したいと思います。ただ、今はサンゴリアスでやり切りたいということだけです。本当に素晴らしいクラブだと思っているので、出来る限り長くこのチームでやりたいと思っています。
――2023-2024シーズンの目標は何ですか?
優勝することです。昨シーズンに取ったベスト・タックラーやベスト・フィフティーンのような個人の賞は目標にはしていなくて、チームとして優勝することが目標です。その結果として個人の賞がついてくれば光栄なことだと思います。
もちろんその中で自分が成長することは目指しています。自分の役割を果たすためには、自分自身も成長しなければいけません。
(インタビュー&構成:針谷和昌/通訳:樋野ジェシー興太郎)
[写真:長尾亜紀]